MTGは先手有利。では後手で勝つためはどうすべき?

強くなるためには

特に近年のMTG(ここでは兄弟戦争リリースあたりのスタンダードを例としています)では「先手ゲー」という声もよく聞かれるくらい先行が有利という風潮があります。

実際、私も先行後攻どちらを取ると聞かれると大半で先行を取りますし、先行で相手より一歩早く強力なカードを押し付けることでイニシアチブ(主導権)を握ったまま押し切ってゲームに勝つというのは先行の特権と言えるでしょう。特に最近のスタンダードのカードはクリーチャーを始め強力なパーマネントが多いため、基本的に盤面を握っているほうが勝つという結果になりやすいのは間違いありません。

では後手でゲームに勝てないのか?と言われると決してそうではありません。先行が有利なポイントがあるように後手が有利なポイントもあります。

先行でも後手でも同じゲームプランで臨むのあれば当然先行が有利なので、後手で勝つには後手で勝つためのポイントを知っておくことが望ましいです。いくら先行が有利であったとしても後手で勝つためのプランを意識することにより後手の勝率を上げることは可能です。

字面にすれば当たり前のような内容もありますがそれでも文面で整理することにより理解しやすいこともありますので、以下では先手後手の有利不利に触れながら後手でゲームに勝つために意識しておくべきことについて述べていきます。


尚、MTGは一言で括れないくらい例外も多いゲームですし、使用するデッキにおいて変わる部分もあるので全てにおいてこれから述べることが当てはまるという訳ではありません。ですが基本的な考え方として通ずる部分でもあるのでこういった要素もあるということで参考になればと思います。

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先手の有利な点

相手より一足先に強力なカードを展開できる

MTGはマナコストという制約があり、マナコストが多いカードのほうが基本的に強いデザインになっています。そのマナコストが大きいカードを相手より一足早く唱えられるのが先行の特権であり、強いカードを一足早く使ってゲームの主導権を握っていきやすいのはやはり先行側です。

MTGはゲームで主導権を握ることが一つの鍵となると言っても良いくらい主導権を握っている側のほうが有利です。ここでいう主導権を握るというのは「攻めている側」という言い方もできます。現在攻撃ターンを迎えている側という意味ではなく、盤面の見えている情報でこのままゲームが進むと先に相手のライフをゼロにできる側ということです。

なお、この「現時点で攻めている側はどちらか」という意識や見極めは今回の先手後手のテーマに限らずMTGでは極めて重要なことなので、普段あまり意識できていない方はこれを意識してゲームすることを強くおススメします。ここが意識できるようになると戦闘時にクリーチャーを攻撃に回すかブロックに回すかという判断の正確さも大きく変わってきます。


先行側は特に意識せずとも普通にプレイしているだけで攻めている側に立てるメリットがあります。攻撃できる回数も先行のほうが多いですし、相手より強いクリーチャーやパーマネントをコントロールしているのも基本的には先行側ですから、攻め側に立ちつつ盤面優位を保ったままゲームに勝てるのは先行の強いところです。

先行で強いカードの存在

先行で出すほうが強いというカードが存在していることも先行を有利にしている一つのポイントです。例えばプレインズウォーカー全般はわかりやすく先行で強いカードの一つと言えます。

互いに同じプレインズウォーカーを出し合っている事例として、《放浪皇》は瞬速持ちのためやや性質が変わる部分はあるものの、後攻は2/2トークン一体に対し、先手は2/2トークンに+1/+1カウンターを載せた3/3という一方的に打ち勝てる有利な状況で攻撃に行くことができます。

《不笑のソリン》だと2/3トークンをお互い出しあった後、先行側は+1でカードを探しつつ相手の2/3トークンをクリーチャー除去で落としながら2/3トークンで《不笑のソリン》を落とすということが可能です。

勿論毎回そんなケースとなる訳ではありませんが、このように相手のクリーチャーに落とされるというプレインズウォーカーの弱点の突かれやすさ(守りやすさ)は先手後手で大きく違うのは間違いありません。


他にも例えば攻撃時に能力が誘発するクリーチャーは、先に攻撃をしかけることになる先手側のほうがやはり有利に働きやすいです。現在の環境では《鏡割りの寓話》はその代表格である一枚でしょう。

1章の2/2トークンは攻撃時に宝物トークン生み出すので使えるマナのアドバンテージまで伸ばしてくれます。お互いに《鏡割りの寓話》を出し合うという展開は最近の構築シーンでは頻繁に起こりやすいですが、こうなったときの先手の有利さは誰しもが経験していることでしょう。先行側だと仮に相打ちでも宝物トークン一個分有利になりますし、他にも相手の2/2をクリーチャー除去で退かして攻撃するという選択もできます。

これに限らず、近年は押し付け側に比べると受け側のカードが弱めにデザインされている傾向にある印象です。ゲームを動かすのは押し付ける性質が強いカードが適していますので、ゲームをダイナミックにするためにもあえてそういったデザインにしているのかなと筆者は感じています。

ロンドンマリガンが先手有利に働きやすい側面もある

現在のマリガンは7枚引き、マリガン回数分山札の下に戻すというルール(通称ロンドンマリガン(※))になっています。

※ロンドンの大会で導入されたことからこう呼ばれています。公式の参考記事はこちら


昔のマリガンはマリガン回数分引き直す手札が少なくなるという内容でしたが、そのときと比べると同じ枚数であってもロンドンマリガンは手札の質そのものは担保されやすいルールになっています。

これは先手に優位に働きやすいルールとなっている部分も少なからずあるでしょう。先行はカードアドバンテージではなく先行の利で押し付けていく展開が強力で、そのためには枚数よりも質のほうが重要になりやすいです。(勿論カードアドバンテージは重要ですが、どちらのほうが重要かといえばという意味)

正直この点に関してはルールなので何らかでカバーできる話でもなくどうしようもない話ではあるのですが、こういった部分もあるというのは知っておいても良いかもしれません。

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後手の有利な点

カードアドバンテージに優れる

ご存じの通り、後攻は1ターン目からカードを引けることもあって相手より1枚多い状態でゲームがプレイできます。そのためカードアドバンテージに優れているのが後攻のメリットです。先手が有利なことは色々ありますが、後手で有利なことは殆どこの一点に尽きると言っても良いでしょう。

つまり相手とカードを1:1で相殺するような展開になれば後手が有利ですし、先に述べた主導権を一度握れさえすればカード枚数で勝る後攻側がその状況をキープしやすいといったことが言えます。


もっと言えばゲームがカードアドバンテージの勝負という土俵になれば有利になるのは後手ということになります。最近は少なくなりましたが、カードアドバンテージがゲームの鍵となりやすいデッキ同士の対決であればあえて後攻を取ることが推奨されるケースもあります。その一例として盤面を積極的に取りに行かない青いコントロールデッキ同士の対決があります。

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後手で勝つためには

先に述べたように何も考えず同じようなゲームプランでぶつかり合えば先手が有利なのは当然です。そのため後手で勝つには後手で勝つためのプランを描く必要があります。

攻める側に立つためのプレイング

先に述べたようにMTGでは「攻める側に立つ」ということがゲームで勝利を狙うには非常に重要な要素となっています。

先手では特に意識せずとも自然とそういった流れに乗りやすいため直観的に先手ゲーと感じやすい部分もあると思いますが、後手になると「攻め」という立場をどこかで先手側からひっくり返すことが必要になってきます。

マナが使える量の多さは当然先手のほうが多い上に行動も先なので、2マナのカードに対して2マナのカード、3マナのカードに対して3マナのカード・・・という感じで同じマナ域のカードをぶつけ合っていても必ず遅れを取ることになり、この繰り返しでは主導権を握ることは困難です。

そういった中で主導権を握る一つの方法として「相手の3マナのカードを2マナのカードで対処する」というように相手より低いマナのカードでそれより大きなコストのカードを対処する方法が考えられます。これができれば相手が一歩先に展開してくる強いカードを無効化した上で、返しにこちらが展開するカードにより主導権を握ることも可能になります。

具体的に以下のようなクリーチャー除去、打ち消し呪文といったいわゆる受けのカードは、そのカードより高マナの相手のカードを対処するのに適している性質を持っています。《強迫》のような手札破壊も(相手の手札にもよる部分はありますが)実質的に1マナで相手のカードと1:1で対処できるカードと考えることもできます。

現在のスタンダードを一つ題材にすると、現在のスタンダードでは以下のように3マナのクリーチャーを含めたパーマネントが非常に強力で、3マナというのは一つゲームの鍵を握るターニングポイントになっておりこのラインのパーマネントを先に置いた側は有利になりやすい傾向があります。

一方で2マナ以下のクリーチャーはあまり強くありません。なお、ここでの強さというのは一枚でゲームを支配するくらいの強さという意味で捉えてください。以前のスタンダードではお馴染みであった《光輝王の野心家》はこのラインにいるカードでしたが、現状のスタンダードではこのクラスのクリーチャーはいないと言っても良いでしょう。例えば《税血の収穫者》は間違いなく強いクリーチャーではありますが、《光輝王の野心家》と違ってしばらく対処しなくても大きな問題にはならないタイプのクリーチャーです。

つまり、相手の3ターン目に展開してくる3マナのカードを2マナのカードで対処することが出来れば後手でも優位に立ちやすい環境と言い換えることができます。

例えばグリクシスミッドレンジの同型対決だった場合の2~3ターン目の話として、こちらが後手番だったときに手札に《税血の徴収者》と《かき消し》が両方ある場合、先のように3マナが一つの鍵となるとどちらを優先すべきかというのも一つ指針が見えてきます。

■相手が2マナを浮かして(何も展開せず)ターンを渡してきた場合
 →そこに対してこちらが《税血の収穫者》をプレイすると・・・
  相手の浮いたマナからインスタントで返しに対処される。
  →次ターンに相手が展開する《鏡割りの寓話》で主導権を握られ取り返し辛くなる
■相手が《税血の収穫者》を展開してきた場合
 →そこに対してこちらが《税血の収穫者》をプレイすると・・・
  →次ターンに相手の《税血の徴収者》で《税血の収穫者》を対処され
   更に相手が展開する《鏡割りの寓話》で主導権を握られ取り返し辛くなる

このように後手で《税血の徴収者》を展開すると鍵となる3マナパーマネントで相手に主導権を握られてしまうことになるのは容易に想像できるところでしょう。ここでは“概ね”《かき消し》を構えおくほうが望ましいです。相手の《鏡割りの寓話》を《かき消し》して、こちらの《鏡割りの寓話》を着地させることができれば先手後手をひっくり返すことに繋がります。こちらの手札に打ち消しだけでなくインスタントのクリーチャー除去も持っているなら尚更です。

さて、ここで“概ね”と記載しましたが、文字通り必ず《かき消し》を構えておくほうが良いかというとそうではありません。

例えば相手が2ターン目に何も展開してこなかったとしても土地の色マナやタップイン土地の都合から、こちらが後手2ターン目に展開する《税血の収穫者》が返しのインスタントで対処される可能性が低い場合《税血の収穫者》を後手2ターン目に展開するほうが正解でしょう。

こちらの《税血の収穫者》が生存したまま相手の3ターン目に入れば、仮に相手が《鏡割りの寓話》を出してもこちらの《税血の収穫者》で《鏡割りの寓話》の2/2トークンを倒した上で《鏡割りの寓話》を後手で出し返せば主導権はこちらにあると言えます。もし《税血の収穫者》を3ターン目に相手が何らかの除去で対処してきてもその除去のためにマナを使わせることで《鏡割りの寓話》は展開できないことになります。




これはあくまで一例ですが、このように後手側が攻める側に立つためにはどこかでそのためのターニングポイントを作り上げる必要があります。先手側は攻めるためのパーマネントをドンドン展開していくことが正になりやすいですが、後手番になるとそれでは勝てないので先手とは違ったプレイングが求められます

サイドボーディングを先手後手で変える

1ゲーム目の敗者が先手後手を決める都合から、2ゲーム以降はゲーム開始前から先手後手が概ねわかっている状態となります。

そのため、ゲームの合間に行うサイドボードの入れ替え(=サイドボーディング)は、次のゲームが先手なのか後手なのかで変えていくことが望ましいです。

前項で述べたように先手は先手の早さの利を活かしてドンドン相手に対処を押し付けていくように攻めて行くというスタイルがそのまま有利になりやすいです。押し付けていくカードをデッキに多く入れておくほうがそういった展開に繋がりやすくなりますので、先手の時はできるかぎり受けよりも押し付けるカードを多めにしたサイドボーディングを行っていくべきでしょう。もし先手で受けのカードが手札に多めに来てしまうとせっかくの先手の利を活かすことができなくなってしまいます

逆に後手の場合は押し付けるカードよりも受けのカードを先手より多めにしておくほうが望ましいでしょう。これも理由は前項で述べた通りです。1:1で交換していくことができればカードアドバンテージに勝る後攻側が有利に立ちやすくなりますので、そういった展開を目指したサイドボーディングが後攻では向いていると言えます。


このように先手後手でサイドボードを変えることは少なからず勝率に影響してきます。先手後手に関わらず相手のデッキ次第でサイドボーディングは常に同じという場合は、その内容を少し見直ししてみると発見があるかもしれません。

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まとめ:先手有利ではあるが後手が工夫できることもある。意識して勝率アップを目指そう。

MTGは基本的に先行が有利なゲームであることは間違いありません。それは大半のプレイヤーが選択権があるときには先行を取ることからもわかる通りです。

かと言って後手だからこそできる工夫もありますし、そういった一見細かに見える積み重ねが勝敗に繋がることも決して少なくありません。

先に述べた例だけでなく、意識していれば後手ではこの戦い方が強そうという発見が見えてくることもあると思いますので、先手ゲーと一括りにすることなく後手なら後手なりに工夫することを考えてみると良いと思います。


最後に、少しでもこれらの内容がお役に立てれば幸いです。

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