特に近年はスタンダードにおいて禁止カードがそれなりに多く発行されるようになった印象のあるMTG。
MTGアリーナが登場したことでプレイ回数が飛躍的に増加し環境分析が早くなったことで加速度的にメタゲームが進みやすくなったことも一因としてあると言われていますが、過去からスタンダードで禁止となったカードはそれなりにありました。
そんな当時も含めてスタンダードで禁止となったカードとその理由についてスポットを当てていきます。これを見ればMTGの時代変化、スタンダードで禁止となったカードの背景などが感じ取れると思います。
なお、当時も含めスタンダードで禁止となったカードのみにスポットを当てていきますので、モダンやレガシー等のスタンダード以外のフォーマットは触れていません。内容もあくまで(当時含め)スタンダードに準拠したものとしています。
※2023年6月頃までの禁止カードを網羅して掲載しています。
- 1999年(テンペスト~ウルザ ブロック期)
- 2004年(ミラディンブロック)
- 2005年(ミラディン~神河ブロック期)
- 2011年(ゼンディカー~ミラディンの傷跡ブロック期)
- 2016年(戦乱のゼンディカー~カラデシュブロック期)
- 2017年(戦乱のゼンディカー~アモンケットブロック期)
- 2018年(カラデシュ~イクサランブロック期)
- 2019年(ラヴニカのギルド~基本セット2021期)
- 2020年(ラヴニカのギルド~基本セット2021期)
- 2022年(ゼンディカーの夜明け~ニューカペナの街角期)
- 2022年(イニストラード:真夜中の狩り~団結のドミナリア期)
- 2023年(イニストラード:真夜中の狩り~機械兵団の進軍:決戦の後に期)
1999年(テンペスト~ウルザ ブロック期)
大地の知識

マナ加速を目的としたエンチャントである《大地の知識》。パット見はそこまで強くないように見えるかもしれませんがターン中の起動回数に制限がなく、タップするクリーチャーが召喚酔い状態でも良いところが強み。
その強みを生かすことでこのカードは簡単に無限コンボを引き起こすことができるのです。
- 《繁茂》のようなエンチャントをつけた土地(つまり2マナ以上出せる1枚の土地)を準備し1マナでアンタップできるクリーチャー《カブトガニ》を用意すると無限マナ。
- コストを支払うことでトークンを生み出すカード《聖なるメサ》等と組み合わせ《繁茂》付き土地を生成したトークンでアンタップして無限にトークン生成。
組み合わせるカードも低コストのカードで済むためコンボ成立速度も早く、簡単にコンボからゲームが終わってしまうことから禁止となりました。
MoMa関連



これらのカードはMoMa(キーとなる精神力のカード名である Mind Over Matterが由来)というデッキを構成するパーツで、マジックの歴史で見ても最強クラスのコンボデッキとして有名です。
《水連の花びら》などのマナアーティファクトを並べ《トレイリアのアカデミー》やタップで3マナ生み出す《魔力の櫃》《厳かなモノリス》を《精神力》の効果でアンタップすることで手札をマナに変えながら《時のらせん》や《意外な授かり物》で手札を補充する。これらの繰り返しで生まれたマナを使ってXドローやX火力により止めを刺す。ざっくり言えばそういった動きをするデッキで、細かい動きが知りたい方はYouTubeから対戦動画を探してみてもらうほうが良いと思います。
一気にこれらのカード6枚が禁止された訳ではなく《トレイリアのアカデミー》《意外な授かり物》がまず禁止され、禁止されたことで《ドリームホール》を使ったタイプに形を変えた後は《ドリームホール》《水蓮の花びら》《時のらせん》が禁止され、今度は《実物提示教育》で《精神力》を出すタイプが・・・と禁止と変化によるいたちごっこが続いた結果、最終的にデッキ名となっている《精神力》が禁止されたという流れです。
1ターンキルも発生する可能性があるほど早く、このデッキに勝てるデッキがないためMoMaを倒すためにはMoMaを使うしかないという異常な環境を生み出したというデッキです。禁止にならない訳がありませんね。
先の《大地の知識》もそうですが、このデッキはMTGでは簡単に土地のようなパーマネントをアンタップできるということが如何に強力でコンボの温床になりやすいか、ということを如実に示しています。実際近年のカードはそういった効果を持つカードは非常に少なく、あったとしても悪用し辛いデザインになっており、デザインに気を使っていることが感じられます。
波動機
サイクリングコストを②減らすというシンプルな効果を持つカード。
サイクリングコストが②であればタダでサイクリングできることになりますが、ウルザブロックのサイクリング持ちは②でサイクリングできるカードばかりだったこともあり設置すればサイクリングし放題というありさまでした。
サイクリングという性質自体がキーカードを探し当てられることに繋がるため安定性も高く、ひたすらサイクリングを繰り返して墓地にクリーチャーを貯めて《生ける屍》のようなカードでリアニメイトするという戦術がシンプルに強力でした。
これに関しては只々刷ったこと自体が正気ではない感がありますね。わかりやすすぎるのにそれを見落とした(容認した?)ということですから。。
繰り返す悪夢
クリーチャーを1体生け贄に捧げる,繰り返す悪夢をオーナーの手札に戻す:あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とし、それを戦場に戻す。起動はソーサリーとしてのみ行う。
エクソダスの強力なエンチャントとして、また《適者生存》のお供としての印象も強いカード。
何回も繰り返し使える3マナのリアニメイト呪文という見方もありますが「場に出たときに効果が誘発するクリーチャーを使いまわせる」「エンチャントなのにエンチャント破壊で対処できない」という点が非常に優れているポイントです。
場に出たときにトークンを生み出す《錯乱した隠遁者》、場に出た時にマナを生み出すクリーチャー《ギックスの僧侶》で無限に出し入れなど、悪用しようと思えばいくらでも悪用できるようなデザインで、3マナで何度も唱えて繰り返しアドバンテージを得られるというまさに無限アドバンテージなカードです。
そして起動コストとして手札に戻すためエンチャント破壊を唱える隙がなくエンチャントなのにエンチャント破壊が実質効かないという対処が難しい厄介なカードであることも強さを支えた要因であったことでしょう。
記憶の壺
(T),記憶の壺を生け贄に捧げる:各プレイヤーは、自分の手札のカードを裏向きのまま追放し、カードを7枚引く。次の終了ステップの開始時に、各プレイヤーは自分の手札のカードをすべて捨て、これにより自分が追放した各カードを自分の手札に戻す。
ウルザズレガシー収録で発売後1か月という記録的早さでスタンダード禁止カードとなったことでも有名なカード。この不名誉な記録(?)を破ったのが後に登場する《創造の座、オムナス》だったりします。
無色5マナのアーティファクトという場に出しやすいコストで手札を失うことなく7枚引けるというだけでも相当な強さです。当時はこのカードと《偏頭痛》と組み合わせることで大ダメージを叩き出すメグリムジャーというコンボデッキが早々に考案され話題を呼びましたが、あまりの禁止の早さに結果的に大型大会では殆ど活躍せずに終わったデッキとなりました。
もし大型大会でプレイされる機会があったならMoMaに匹敵する事態となっていたことでしょう。
2004年(ミラディンブロック)
頭蓋骨絞め

ダークスティール収録の極悪装備品。
マナコストも装備コストも①という破格の軽さという使いやすさ、装備クリーチャーが墓地に置かれると2ドローという圧倒的なドロー能力、タフネスが1下がるためドロー能力を誘発させやすくむしろメリットになっている、といった点が強力で、このカードがあればアグロデッキが息切れに悩まされなくなるというアグロの弱点解消っぷりが半端ではありません。
重ね付けするとタフネス2のクリーチャーが2マナで4枚ドローに変わりますし、まさに青も真っ青になるくらいのドロー効率を発揮します。
あまりの強さにこのカードか、このカードの対策となる《減衰のマトリックス》が入ってないデッキはデッキではないと言われていたくらいで、2004年を代表するカードとなりました。
2005年(ミラディン~神河ブロック期)
親和関連
ミラディンは金属次元であるミラディンを舞台としたセットで、親和はまさにそのミラディンブロックの目玉とも言えるキーワードとして登場し親和をキーとした親和デッキは当時のスタンダードを席捲しました。他のデッキとは一線を画す序盤からの爆発的な展開力もありながら《大聖堂の信奉者》《電結の荒廃者》《爆片破》とゲームの詰めの部分まで強いという恐ろしいデッキでした。
ミラディンが登場時から生まれたアーキタイプでしたが《頭蓋骨締め》は早々に禁止されたものの、ミラディン以降にリリースされたダークスティールやフィフスドーンで《電結の荒廃者》や《頭蓋囲い》といったカードが登場し親和が強化され続けたことでメタゲームを支配するアーキタイプとなり、それ故に禁止となりました。
禁止カードの枚数で見ると8枚という多さですが、全ては親和を抑えるための措置で《ダークスティールの城塞》も含めたアーティファクト土地を全て禁止しないと強力であり続けるという点からの措置です。それくらい強いデッキであったということを物語っています。
マナコストという概念を壊す能力の危険性、ウルザブロックもそうであったようにアーティファクトはデザインを一歩誤ると強くなりすぎてしまうという点はミラディンブロックの禁止カードから得られた経験といっても良いのかもしれません。
2011年(ゼンディカー~ミラディンの傷跡ブロック期)
精神を刻むもの、ジェイス

MTGの顔とも言えるプレインズウォーカーの代表的な存在である神ジェイスこと《精神を刻むもの、ジェイス》
全ての忠誠度能力が強く極めて汎用性の高いカードで、当時のグランプリでTOP8に32枚(つまり全員4枚)入っていたということもこのカードが強すぎたという事実を物語っています。あまりにも有名なカードで取り立てて説明する必要もないカードでしょう。
当時はまだプレインズウォーカーというカード自体が出始めて間もない時期で、この新しいカードタイプを活躍させたいという意図からも強めにデザインされたようですが、特に一番上の忠誠度能力をほとんどテストプレイできておらず、これによって盤面を一度支配してしまえばソフトロックできてしまうという強さを認識できていなかったようです。そのあたりの話は公式サイトで語られていますので興味があれば読んでみてください。
あまりの強さと人気っぷりにスタンダードで一枚1万円を超えるくらい価格が高騰したことでも有名で、この時期の圧倒的なまでの目玉カードとして話題を呼びました。
石鍛冶の神秘家

カードの強さは回りを構成するカードによって一変することがある。《石鍛冶の神秘家》はまさにそういったタイプのカードとして禁止となったカードでもあります。
《石鍛冶の神秘家》はワールドウェイクで登場したときにはまだ装備品も少なく、カードを探してコストを踏み倒せるという能力の危険性は認識しながらもリリース当初は問題ないレベルのカードとして登場しました。
ですが後にリリースされたミラディンの傷跡ブロックで登場した生体武器や強力な装備品の数々がこのカードを禁止にまで追いやってしまうほどの大きなパワーをもたらしました。開発部も生体武器である《殴打頭蓋》のようなカードは《石鍛冶の神秘家》を強力にすると認識はしていたものの環境を捻じ曲げるほどとは思っていなかったようです。
先の《神秘を操る者、ジェイス》と《石鍛冶の神秘家》を使ったデッキであるカウブレードはスタンダードの歴史的に見ても強力なデッキとして名が上がるデッキとなり、環境の最強デッキの名をほしいままにしました。
2016年(戦乱のゼンディカー~カラデシュブロック期)
約束された終末、エムラクール
このあたりまで禁止カード発出の年代を遡ってみると何故か概ね5年置きというサイクルで禁止カードが出てきているという感じなのですが、このあたりの年代から明らかにそれとは違ったスパンや理由で禁止カードが出てくるようになります。
これまでは禁止カードを出すということ自体のハードルが高く、誰が見てもバランスが崩壊してしまっているといったような時にのみ出される傾向がありました。
《約束された終末、エムラクール》は対処もし辛い上にターンを奪われて滅茶苦茶にされてしまうという、プレイされることそのものに嫌悪感を感じやすいデザインになっており、多くの人が楽しめない要因になっていたカードでした。《霊気池の脅威》から出される強さと、時に霊気池ガチャと呼ばれる運ゲー感の強さはやられる側としては決して楽しいものではありません。
もちろんデッキの強さという理由もありましたが、こういったプレイヤーの不満に配慮するようになってきたのもこの頃からです。そういったこともあり禁止カードが出されるハードルが低くなったように感じるのもこのあたりからです。
反射魔導士
このカードは当時のスタンダードに存在する青白フラッシュというアーキタイプが当時存在するデッキ全般に対して強すぎるため、そのアーキタイプから禁止を出すというから点から禁止となったカードです。
他のカードも議論されたが「《反射魔導士》はそれらの中で最も不満がたまり楽しくないカードだから」というのが決め手となったようです。能力的にこれが禁止カードになるというのはこれまでの禁止カードから見ても異例と考えても良いと思いますが、そういった観点で禁止を判断するようになってきたという旨がわかりやすいカードでもあります。
密輸人の回転翼機
このカードが含まれたセットであるカラデシュの発売早々に行われたスタンダードの大型大会でTOP8全てに4積みされていたことで一気にその強さが知れ渡ったカード。
2マナ3/3飛行に搭乗1という乗りやすさと優れたスペックを兼ね備えた上に手札のルーティングという何時使っても嬉しい効果まで付いており、ビートダウンデッキは手札ルーティングという手段が少ないデッキなのにこれ一枚で解決。無色のため何色でも入れられるという汎用性もあいまって、環境を早々に席捲するカードとなりました。
あまりの強さ故に発売早々4か月で禁止。効率的すぎ、使うデッキ多すぎ、フォーマットの多様性減らす原因になっているという公式の弁ですがまさにその通りで納得の禁止措置となりました。
2017年(戦乱のゼンディカー~アモンケットブロック期)
守護フェリダー
一見しただけではどこに禁止になる要素があるのかわかり辛いカードですが《サヒーリ・ライ》と組み合わせて2枚で成立する即死コンボデッキが登場したことがその理由です。
《サヒーリ・ライ》の能力で《守護フェリダー》をコピーし、コピーした《守護フェリダー》の場に出たときの誘発能力で《サヒーリ・ライ》を明滅させる→《サヒーリ・ライ》で《守護フェリダー》をコピーする・・・の繰り返しで無限に《守護フェリダー》が増殖します。そのコピーされた《守護フェリダー》は《サヒーリ・ライ》の効果で速攻を持っているため、攻撃すれば終わるというコンボになっています。
無限コンボを持つデッキというのは禁止措置の対象となりやすいですが、コンボ成立条件とそのスピードが禁止になるかどうかの判断基準となります。このデッキは2枚で成立するという条件の軽さが特に強みで、2枚の即死コンボというのは基本的に禁止になります。最近で言えばアルケミーの《にやにや笑いのイグナス》あたりも完全な2枚即死コンボではないですがそれに該当する点で記憶に新しいところです。
このカードは本来の禁止改定日には禁止という措置とならなかったのに、その禁止改定日からわずか2日後に異例の追加発表から禁止となったカードとしても話題になりました。最近は禁止改定日以外に禁止が出るのが珍しくなくなった感もありますが、当時としては緊急で禁止となったのは《記憶の壺》以来ということで珍しいことでした。(流石に2日後ってのは未だにどうかなとは思いますが)
霊気池の脅威

先の《約束された終末、エムラクール》でも少し触れたカードである《霊気池の脅威》は結局この時期にスタンダードで禁止されることとなりました。
この時期にこのカードの相棒になっていたのは《絶え間ない飢餓、ウラモグ》。《霊気池の脅威》から出したカードは唱えたことになるので《絶え間ない飢餓、ウラモグ》が持つ唱えたときにパーマネントを2つ追放する効果も働くため、4ターン目の《霊気池の脅威》から《絶え間ない飢餓、ウラモグ》を捲ったら概ねその時点でゲームセットです。
安定性に難もありデッキの勝率自体は際立って高いという訳ではなかったですが「スタンダードにおいて健全でもないし楽しくもない」といった理由から禁止となりました。
2018年(カラデシュ~イクサランブロック期)
霊気との調和 / ならず者の精錬屋
《霊気との調和》も《ならず者の精製屋》もアドバンテージを失わずにエネルギーを得られる、エネルギーデッキにとって欠かせない重要なパーツでした。
そのエネルギーデッキは当時最強と目されているデッキとして環境を支配していました。単に最強という訳では禁止する理由にはなりませんが、公式が重く見たのは「支配している期間の長さ」「スタンダードローテーションを伴ったが弱体化されず対抗デッキも生まれなかった」「対抗策の選択肢が不足している」という状況にあったことからデッキの核となっているこの2つが禁止となりました。
つまりスタンダードを活性化させ、面白い環境としたいという意図があったのでしょう。禁止となったカードもコモンとアンコモンでカード資産の面でも配慮したのかもしれません。
このように誰が見ても異常とも言える環境になっていなくても禁止改定によってバランスを調整してくるというスタンスはこの時期から見られるようになりました。そして特徴的なのは次項のカードも同時期に禁止したことです。
暴れまわるフェロキドン / ラムナプの遺跡
先の禁止によりエネルギーデッキを弱体化させると環境がどうなるのか。データ上エネルギーデッキ以外に対して優勢という結果を残しているラムナプレッド(赤単アグロ)が環境を支配するであろう。唯一苦手としていたエネルギーデッキが弱体化するということで注意を払っておくべきだ。
こういった観点からラムナプレッドを構成するこれらのカードが禁止となりました。《暴れ回るフェロキドン》は赤単に対抗する手段を封じてしまうという点が問題視されたものですが、このカードはローテーション直前に赤単の衰退に従って禁止解除されるという珍しい運命をたどることになります。
この禁止理由を見ると、明らかにこれまでのそれとは違うことがわかります。簡単に禁止するようになったとまでは言わないですが、明らかに禁止するということに対してのハードルが下がっており、ゲームとしてのバランスを取るという点に重きをおいていることがわかります。
過去にこのレベル以上に偏った環境であっても禁止を出すことはありませんでした。どちらか良いかと言われると賛否両論あるので何とも言えませんが、少なくともこの年行った禁止改定は今後の方針を示していく上でも特徴的であったものと言えます。
2019年(ラヴニカのギルド~基本セット2021期)
死者の原野
このあたりの年代になってくると記憶に新しいところですが、このあたりの年代から現在に至るまで毎年必ずと言っても良い程禁止カードが出るようになりました。このあたりから何かあると禁止と言う方も増えたような印象で時代の流れを感じるところでもあります。
《死者の原野》は使ってみると想像以上に強かったタイプのカードと言っても良いでしょう。土地という対処のし辛いパーマネントであるにも関わず、長期戦になると圧倒的なまでのアドバンテージにより対抗するためのデッキの選択肢を著しく制限してきます。というよりこのカード相手に長期戦を挑むのが無謀とも言えるレベルです。
ゴロスランプという《不屈の巡礼者、ゴロス》を中心においたランプデッキがトップメタに君臨した要因にもなったカードで、ランプデッキが主要カードを対処されてガス欠状態になったとしてもこのカードがあれば土地置いているだけで有利になるという単に強すぎるカードでありながら、他の長期戦デッキを締め出す(これ以外アグロになりがち)という側面も問題視され禁止となりました。
王冠泥棒、オーコ

近年稀にみる程のパワーカードオンパレードとなったセットであるエルドレインの王権。それ故に禁止カードもオンパレードとなりました。
そんなセットの中においても圧倒的な強さを見せたのが《王冠泥棒、オーコ》。個人的にはあまりぶっ壊れという言葉は使いたくないですが、こればかりはぶっ壊れと言う他ありません。
3マナという軽さ、忠誠度+2という数字の印字間違ったのでは?と疑う能力にはじまり、相手の強力なアーティファクトやクリーチャーを何でも只の3/3にしたり、食物を3/3にして殴っても良しとコストが高い強力なクリーチャーの存在を全否定する能力。しかもそれすら何故か+1忠誠能力とこれも印字ミスを疑うレベル。これら忠誠度が増える要素しかないため落とされ辛く、-5能力も使いやすいという感じで可笑しいことしか書いていません。
このカードは開発側も調整ミスを認めて謝罪するというカードで、只々強すぎたカードでした。
むかしむかし
MTGも含めてカードゲームは初期手札となるカードも含めてランダム性が避けられないところがありますが、このカードが一枚手札にあるだけで圧倒的なまでの初動の安定性が向上する強さがあります。1ターン目に唱える必要もなく、他のカードを引いてから考えて使うこともできる点でも使いやすいです。
初動以外で唱える分には緑マナが必要なため緑を含むデッキ以外には入れ辛いですが、緑だけこの安定性を享受できるのは詐欺くさいというくらいに安定性の向上は強力で、そのメリットは計り知れないものがあります。
カードデザイン的に新しいことに挑戦しようとしたことが読み取れるため、新しいことに挑戦しようとした結果失敗したというふうにも見えるので個人的には止む無しかなとも思いますが、結果的には《王冠泥棒、オーコ》と同じタイミングでリリース早々に禁止されることとなりました。
夏の帳
何故にキャントリップ(唱えてカード一枚引けること)付けたのか?その一点が誰しも疑問に思うくらいの強力な色対策カード。
緑の色対策カードはいくつかあれどパワーレベルが低いものが多く、このカードはそういった点でも強めに調整されたようですが、流石に緑1マナインスタントでこれはやり過ぎといった感じで禁止となりました。これを握られていると思うと青黒を使う気がなくなってしまいます。
このあたりの年代で禁止となっているカードは単純に性能がおかしいカードが多く、開発部としてもバランス調整に特化したチームを新設して対応に乗り出すことになります。それからもしばらくの間は禁止を連発したという悲しい事実はありますが。。
2020年(ラヴニカのギルド~基本セット2021期)
裏切り者の工作員
コントロール奪取系の中でもコストが重い分、破壊されても相手にコントロールが戻るようなこともなく、土地も奪ったりすることができるためどんな相手にも無駄にならない強力な効果を有したカード。
普通に使うだけでは禁止にならないレベルではありますが《軍団のまとめ役、ウィノータ》や《銅纏いののけ者、ルーカ》のようなカードからコストを踏み倒して使われるようになり、どんなカードも盗めてしまうこの能力は多様性を減少させるという点から禁止となりました。
特に序盤に出されてしまうとどうしようもないレベルで腹立たしい存在となりがちというのも禁止理由として大きいものでした。
創案の火

この時のスタンダードは創案の火デッキが長きに渡って大きな勝率を残しており、他のアーキタイプに対して互角以上の相性を持ちメタゲームに存在感を発揮していました。
そしてこういった類のデザインは将来にわたって登場するカードによって益々強くなるタイプであり、高い柔軟性を持っていることから更に高い勝率を残すようになることが予想される。そういった理由から禁止となったのが《創案の火》です。
ようするに汎用性も高い上に強すぎたということです。ヒストリックでは5マナにナーフされて復活していますが、ヒストリックで使うと4マナだったことが如何に強かったのかというのをヒシヒシと感じます。
荒野の再生 / 成長のらせん
この時のスタンダードの《荒野の再生》デッキは環境を支配しているという程ではなかったですが、特に競技レベルの強いプレイヤーが使うことで真価を発揮するタイプのデッキでそういった競技志向のプレイヤーの中においては支配的なデッキとして君臨していました。その時の競技イベントでは7割近くを占めていたというデータがあります。
近年トーナメントでここまでの支配率を見せるようなデッキはかなりの確率で禁止カードが出るパターンが多いです。それはこのあたりからより顕著になってきた傾向にあります。
時を解す者、テフェリー

インスタントタイミングの介入を許さないというこの能力は、使っている側からすると安心、使われている側からするとストレスフル、そしてMTGの魅力である常に緊張感のあるやりとりというゲーム性を根本から潰してしまう窮屈なカードなのがこのカード。
《荒野の再生》に対してのアンチテーゼとなるカードであったので活かされていた部分がありましたが《荒野の再生》禁止と共にその負の側面からスタンダードで禁止されることになりました。
常在型能力を持つプレインズウォーカーが登場したという目新しさのあった灯火大戦ですが、相手を行動制限して押さえつけてしまうような類の能力はやはりプレイして(されて)あまり楽しいものではありません。今後もこういった類の効果を持つカードのデザインには注意されるものと思います。
自然の怒りのタイタン、ウーロ
《死の飢えのタイタン、クロクサ》と対を成すようにデザインされたカードですが、それなりに使われている《死の飢えのタイタン、クロクサ》すら大差をつけるくらいの大活躍を見せたのが《自然の怒りのタイタン、ウーロ》です。
ランプデッキは当然ながらアグロ以外の中速デッキなら大体入ってしまうくらいのカードで、ライフ回復するためアグロにもそれなりに耐性を持ちつつ無駄にならない1ドロー&ランプという汎用性の高い効果を持つカードが更に脱出からフィニッシャーとしてデッキの勝ち筋を担うという、まさにこれ一枚でゲームでやりたいことが全て完結してしまっているというのがこのカードの強さの理由です。
リソースも供給し、ライフ回復で押し切られる展開を回避し、引きに左右されない脱出からのフィニッシャーという強さ、とこれ一枚で何役こなすんだ?というスーパーマン。3マナキャストだけで最低限の仕事はするので、墓地対策されてもそこまで損をする訳ではないというあまり対策にならない対策になってしまいがちなのも恐ろしいところでした。倒しても倒しても脱出してくるので消耗戦にも非常に強く、すぐに環境を支配するカードとなりました。
この時期は青緑という色があまりにも目立ちすぎていて《王冠泥棒、オーコ》の例もあって青緑が異常に強くデザインされているという印象を抱くプレイヤーも少なくありませんでしたし、実際このカードも言ってしまえばただ強なカードでした。偶然にしては出来過ぎという感もわからなくはありません。
これだけの強さを持ちながらリリースから半年以上スタンダードで使用できたので、スタンダードで活躍した印象もそれなりに強いカードです。
僻境への脱出
赤緑というカラーにありながら実質5枚ドローという豪快な効果を有したカード。
土地を追加でプレイできるという点からもランプデッキに噛み合った性能になっており、これ単体では禁止にする程のカードではない印象ですがこの時期は長い間ランプデッキが環境を支配しており、ランプデッキを弱体化させるためという理由で禁止となりました。
実際このあたりの年代の禁止カードを見てもらえれば一目瞭然ですが《自然の怒りのタイタン、ウーロ》《創造の座、オムナス》《成長のらせん》《死者の原野》《幸運のクローバー》(からの《豆の木の巨人》)とランプに関するカードが非常に多くあります。色んなランプデッキが目まぐるしく活躍を見せたというのもこの時期の大きな特徴の一つでした。
幸運のクローバー
出来事というメカニズムはエルドレインの王権から登場したものですが、その出来事を主軸とする出来事デッキのエンジンとなるカード。
出来事というメカニズムそのものがカードアドバンテージを得られる点でも強いですが、そこに《幸運のクローバー》や《エッジウォールの亭主》を加わることで更に恐ろしいまでのアドバンテージが得られるデッキとなり当時最強クラスの戦略として環境を席捲していました。2ターン目《幸運のクローバー》からの《豆の木の巨人》の出来事×2でアンタップインの土地を2枚出してマナ加速しつつ、その2マナから《砕骨の巨人》の出来事を唱える、みたいなムーブはスタンダードデッキの動きとは思えないくらいのものでした。
後に述べる《創造の座、オムナス》も合わさった出来事デッキが環境を一瞬にして支配してしまいましたが《創造の座、オムナス》無しでも充分強すぎるという判断により《幸運のクローバー》も禁止されることとなりました。
実際禁止されずに生き残った《エッジウォールの亭主》を使った出来事デッキも充分当時のスタンダードで活躍していましたし、この判断は正しかったのは間違いないでしょう。
創造の座、オムナス

この記事を書きながら改めて思いますが、本当に2020年はあまりにも禁止カードが多すぎ・・・といったところですが、その2020年を代表するカードでありリリースから僅か25日で禁止カードに指定される最速禁止カードの称号をさらっていったのが《創造の座、オムナス》です。
何故かついているキャントリップに加え、上陸による能力が何れも強力。特に《寓話の小道》のようなフェッチランドと相性が良く、実質フリースペルのように動ける点でもバグレベルの強さを発揮していました。
瞬く間に禁止されてしまうものの禁止されるまでの短い間、トーナメントはオムナスデッキが支配しメタゲームを異常なまでに歪める存在となりました。
バランス調整に特化したチームが機能していたはずなのにこの仕打ちという・・・特にこの時期はMTGのレアは怖くて手が出せなかったり《自然の怒りのタイタン、ウーロ》もそうですが高い神話レアを折角揃えてもすぐに禁止されてしまうという、怒りを通り越して呆れる気持ちを抱えるプレイヤーは後を絶ちませんでした。結果的にはここで禁止祭りは一旦落ちましたが開発部が全く信用されていなかった時期となったのは間違いありません。
2022年(ゼンディカーの夜明け~ニューカペナの街角期)
アールンドの天啓

このあたりまで来ると記憶にも新しいところですが《創造の座、オムナス》から1年以上禁止カードが登場していなかった時期に、殆ど凝り固まっていたスタンダードに変革をもたらす意味でもスタンダードに禁止改定が行われることになりました。
ターンを得るカードに1/1とは言え飛行クリーチャーという勝ち筋が付与されている点と、予顕という新しいメカニズムがついている点でこれまでのターンを得るカードと差別化されており、マナコストもかなり重めの7マナという点で注意して調整された感はあるカードです。実際ターンを得るカードは何かと悪さをしている過去がありますから、それを経た経験から慎重にデザインしたのは間違いないでしょう。
それでも予顕がついているおかげで手札破壊が効き辛くなり打ち消し以外では対処困難という点、また1/1飛行2体という一見そこまで強くない効果でもターンを得るカードにくっつくことが如何に強力であるかというのは後の活躍が示す通りです。
登場時はスゥルタイ根本原理という、それまで弱い根本原理と思われていた《出現の根本原理》を一線級のデッキに押し上げたカードとして名をあげましたが、ローテーション後は《黄金架のドラゴン》からマナ加速して唱えたり《感電の反復》からコピーすることで追加ターン中に鳥トークンで殴り切るデッキが登場したりと、様々な形でスタンダードの中心に居続けるカードとして活躍しました。
このカードが現役の間は《アールンドの天啓》より遅いデッキは存在価値を無くしてしまうというくらい他のデッキを咎めてしまうカードでしたし、概ねどのプレイヤーもこの禁止は止む無しと納得の措置でした。
ゼロ除算

講義によりカードアドバンテージを失うことなく、コントロールデッキにとって重要な時間を稼ぐにうってつけの効果を持っているカード。
登場時点では殆ど活躍していなかったカードですが、特にローテーション後にイゼット天啓にその居場所を見つけた後はカードの強さが正しく認知され大きく活躍するカードとなりました。
特にこの時期に《溺神の信奉者、リーア》という最高の相棒が登場したことがこのカードの活躍に寄与した部分は大きく、打ち消せなくなるという《溺神の信奉者、リーア》のデメリットを全く苦にしないどころかむしろメリットにしてしまうまであるくらい《ゼロ除算》と相性抜群。繰り返し唱えることで軽いロック状態まで作り上げるカードとなり、結果的に《アールンドの天啓》と共にスタンダードから退場する結果となりました。
不詳の安息地

白単アグロや緑単アグロ等、単色アグロの火付け役となったのが《不詳の安息地》です。
《アールンドの天啓》を用いたデッキがいなくなることで単色アグロがメタゲームを支配することが予想されるため、その弱体化のために《アールンドの天啓》と共に禁止された形となりました。
・・・が、個人的には《アールンドの天啓》《ゼロ除算》はまだしも《不詳の安息地》まで禁止にした点については当時全く納得いかなかったことを強く覚えています(アグロが好きだからという理由ではありません)
《アールンドの天啓》がいなくなることで環境から締め出されていた黒いミッドレンジが復権することは容易に予想がついていたことで、実際この禁止を境にオルゾフミッドレンジが非常に幅を利かせることになりました。そんな環境なのに《不詳の安息地》まで禁止にしてしまう必要はなかったのではと未だに思っています。
禁止改定は賛否両論出るのは当然で開発側も苦心して決断しているのであろうと受け入れるしかないのが事実ですが、そういったモヤモヤを抱えることが増えたのはきっと私だけではないでしょう。これも禁止に対してのハードルが下がったことの弊害なのかもしれませんね。
2022年(イニストラード:真夜中の狩り~団結のドミナリア期)
食肉鉤虐殺事件
黒のクリーチャー全体除去としては歴代でも最高クラスと言える《食肉鉤虐殺事件》。
全体除去は基本的に自分のクリーチャーも巻き込まれてしまう点がデメリットになってきますが、このカードは修正値を自分で決められるため盤面の状況に応じて適切な値を決められるため一方的に相手側だけの全体除去として使えるケースも少なくないという便利な能力。加えてこのカードの強いところは除去以外の枠割も兼ね備えているとこにあり、特に下段に記載されている「1点ライフを得る」という部分にありました。
こういったクリーチャーを対処するカードはいくらクリーチャーを対処しても結果的にライフを詰め切られてしまうことは避けられないケースがあるのが常でしたが、このカードは盤面を捌きつつライフも得られる。しかもそのターン以降も置物としてずっと効果を発揮するため、いくら速攻でライフを削っていってもこのカードのおかげで結果的にフィニッシュに辿り着けなくなってしまうという、特にアグロからすれば悪夢そのものと言って良いカードでした。(実際MTGアリーナのアルケミーではこの部分が削除された形で調整されている)
この常在型能力と可変の修正値によりクリーチャー全体除去という効果を持つカードながらもメインに入れても腐ってしまうことが殆どなく、この頃の黒を含むデッキはほぼ例外なくこのカードがメインデッキから入っている状況となっていました。
それ故にアグロのようなクリーチャーを横に並べるタイプのデッキはこのカードのおかげで存在が許されないという歪んだ環境を作り上げる結果となり禁止の運びとなりました。
ちなみにこの頃はこのカードの価格は通常版でも10,000円程の高額となっており、環境的には禁止のほうが良いかもしれないが・・・といったジレンマを抱えたプレイヤーはきっと少なくなかったことでしょう。
2023年(イニストラード:真夜中の狩り~機械兵団の進軍:決戦の後に期)
このタイミングで以下の3枚が同時に禁止カードに指定されます。これはスタンダードローテーションが2年から3年に変更となったことで、次のローテーションで本来スタンダードから去るはずだったカードがローテーション落ちしなくなったことにも起因した措置となっています。
鏡割りの寓話
「神河:輝ける世界」収録の《鏡割りの寓話》。セットリリース直後はあまり使われておらず価格も安価だったのですが、ヒストリック等のスタンダード以外でのフォーマットで大活躍し、そのあたりから強さが認知されスタンダードでも猛威を振るい始めたカードとなりました。
強さが認知されてからは「とりあえず赤いデッキなら寓話」と言わんばかりに、赤を含むデッキはどんなデッキであっても採用されるくらいの超が付く程の汎用性の高さ。それどころかこのカードのために赤を使うと言っても過言ではないくらいスタンダード最強のカードとして非常に高い採用率となっていました。
1章は宝物トークンを生み出せるクリーチャーのため先にマナを伸ばせてテンポ面で優位に立つことも可能なためあまり放置できないクリーチャー。2章は2枚のルーティングにより仮に土地だらけのような手札でキープしても《鏡割りの寓話》さえあれば何とかなるという安定性への高い寄与。3章の裏面はほぼマスト除去と言って良い性能を持つクリーチャー、と3マナという比較的軽めのコストながら全ての章が強力。クリーチャーを出しつつエンチャントが残る英雄譚なので、出した時点でとりあえずカード2枚分以上の働きをする上、打ち消し以外では1:1交換での対処も困難。
つまり、一言で言えばとにかく雑に強すぎたカードでした。汎用性が非常に高いので環境を歪めているという言葉が当てはまる感じではなかったのですが、あまりの強さと便利さから満場一致で禁止となりました。
勢団の銀行破り
カードアドバンテージ源として多くのデッキで採用されていた《勢団の銀行破り》。この時期はミッドレンジデッキが非常に多く、それは今回の禁止カード3枚にもそれぞれ要因はありますが、ミッドレンジのような中速以降のデッキが増えていたことでカードアドバンテージを得るカードが重宝される環境となっており、そこに無色という汎用性の高さも相まってこちらも採用率が極めて高いカードとなっていました。
3回使うと1/1の搭乗要員を生み出してクリーチャー化を自己解決してしまうのも強いですが、アドバンテージ源だけでなく2マナ4/4機体という高スタッツの機体としても使えるので、パワー3クリーチャーの価値もあげる一因となっており結果的に多様性を下げていましたし、結果的にカードアドバンテージを得るカードとしてこのカード以外を使う意味が薄れる状況となっていたこともあり禁止となりました。
ここ最近のカードセットは特に無色のカードはかなり気を使って調整されている印象で、実際のところ無色で強いカードはかなり少なくなったように思いますが、このカードの顛末を見ると無色のカードは調整が難しそうと改めて感じられます。
絶望招来
この頃は前述の《鏡割りの寓話》も使用した赤黒派生のミッドレンジデッキが常にメタゲーム上位に位置しており、そんなミッドレンジデッキのマナカーブの頂点におかれたカードが《絶望招来》です。
黒のクアッドシンボルというコストながら多色土地が潤沢にあるカードプールとなっていることで黒単以外でも使われるカードとなっており、盤面を捌きながらライフを詰めつつカードアドバンテージを得るという単純に強いカードではありますが、何よりエンチャントとプレインズウォーカーに対処する手段を簡単に得られてしまうという点がこのカードの問題点でした。
黒は基本的にエンチャントに触れないカラーである上に、クリーチャー除去を多用するデッキに対しては本来エンチャントやプレインズウォーカーは対策として考えられるカードなのですが、それも《絶望招来》によって瓦解してしまうため対抗策を持ち辛くしていた要因となっていました。実際このカードのためにエンチャントやプレインズウォーカーのようなカードタイプを散らした構築はリスクがありましたし、特にコストが重めのプレインズウォーカーはこのカードによって価値を下げている側面がありました。
そういった要因もあり禁止となりましたが、禁止はプレイヤーの想定の範囲内ではあったであろうにしても黒のクアッドシンボルを含む5マナのソーサリーが禁止という事実自体に衝撃を受けたプレイヤーも少なくなく、今回の3枚の中でも禁止是非については賛否の声が多かった印象です。
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