60枚のメインデッキと15枚のサイドボードで構成されている2022/11/4発売のMTGパイオニアチャレンジャーデッキ2022。




パイオニアフォーマットでの対戦をすぐに楽しむことができる製品となっており、デッキ内容も戦略がしっかりと構築されているためパイオニアの入門に打ってつけのセットになっています。
やはりそのままのデッキリストでは大会等のイベントで勝ち切ることは難しいであろうというのが正直なところですが、これをきっかけとしてパイオニアに取り組んでみるというには適した製品で、また各デッキ共に価格(5,500円想定)に対してカード内容の価値のバランスも良く、デッキをそのまま使うだけでなくデッキのパーツを集める目的で購入する目的でも見どころのある製品です。
パイオニアチャレンジャーデッキ2022は「ディミーア・コントロール」「オルゾフ・ヒューマンズ」「イゼット・フェニックス」「グルール・ストンピィ」の4種類が存在しますが、どれがおすすめなのか解説していきます。
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デッキリスト
まずは各デッキのリストから先に紹介します。ワンポイントレベルで各デッキの特徴をあわせて記載しています。
なお、各カードの画像をリンクしていますが、実際に製品に含まれるカードとイラストが異なる場合があります
オルゾフ・ヒューマンズ

3 《平地》 4 《コイロスの洞窟》 4 《秘密の中庭》 1 《神無き祭殿》 2 《変わり谷》 4 《手付かずの領土》 4 《閑静な中庭》 -土地(22)- 2 《巨人落とし》 -クリーチャー(30)- | 4 《兵員の結集》 2 《不吉な戦術》 2 《血の長の渇き》 -他の呪文(8)- | 2 《封じ込める僧侶》 1 《巨人落とし》 2 《日金の歩哨》 3 《ポータブル・ホール》 4 《黄昏の享楽》 3 《強迫》 -サイドボード(15)- |
・デッキ概要
最序盤から軽コストのクリーチャーを軽快に展開し素早い攻めにより早期決着を目指すアグロデッキ。
クリーチャーの部族を人間に揃えることで《サリアの副官》《兵員の結集》といったカードとのシナジー効果を高めて攻撃力を向上させている。
ディミーア・コントロール

7 《島》 8 《沼》 4 《欺瞞の神殿》 2 《水没した地下墓地》 4 《廃墟の地》 1 《湿った墓》 -土地(26)- -クリーチャー(4)- | 3 《時を越えた探索》 1 《サメ台風》 2 《絶滅の契機》 2 《湖での水難》 4 《検閲》 3 《悪意ある妨害》 4 《致命的な一押し》 1 《神秘の論争》 2 《覆いを割く者、ナーセット》 2 《無情な行動》 2 《否認》 4 《考慮》 他の呪文(30)- | 2 《衰滅》 2 《神秘の論争》 2 《才能の試験》 2 《肉儀場の叫び》 2 《真っ白》 2 《塵へのしがみつき》 3 《強迫》 -サイドボード(15)- |
・デッキ概要
青の打ち消しと、黒のクリーチャー破壊や手札破壊を組み合わせて駆使することで相手のやりたいことをやらせないように妨害しながらゲームをコントロールして掌握していくデッキ。
ロングゲームに強い上に打ち消し呪文は万能的に対処できるため比較的どのような相手にも戦えるデッキだが、打ち消しは盤面に出た後には効果がないこともあり、一度脅威となるパーマネントの登場を許してしまうとズルズルと負けてしまいがちという弱点もある。
イゼット・フェニックス

6 《島》 4 《山》 2 《硫黄の滝》 4 《天啓の神殿》 4 《シヴの浅瀬》 1 《蒸気孔》 -土地(21)- 2 《弧光のフェニックス》 -クリーチャー(8)- | 3 《イゼットの魔除け》 2 《表現の反復》 4 《航路の作成》 3 《稲妻の斧》 2 《焦熱の衝動》 2 《炎恵みの稲妻》 4 《考慮》 4 《宝船の巡航》 4 《選択》 3 《パズルの欠片》 -他の呪文(31)- | 2 《焼けつく双陽》 3 《削剥》 2 《溶岩コイル》 4 《神秘の論争》 1 《侵襲手術》 3 《覆いを割く者、ナーセット》 -サイドボード(15)- |
・デッキ概要
青赤のインスタントやソーサリーを同ターン中に連続で唱えることで《弧光のフェニックス》を場に戻して攻撃を繰り返し相手のライフを削り取るデッキ。
何回死亡しようとも《弧光のフェニックス》はインスタントソーサリーを連打すれば場に戻せるのが強みで消耗戦にも強い。
グルール・ストンピィ

7 《山》 9 《森》 4 《カープルーザンの森》 1 《踏み鳴らされる地》 4 《落石の谷間》 -土地(25)- 2 《探索する獣》 -クリーチャー(26)- | 2 《反逆の先導者、チャンドラ》 4 《ミジウムの迫撃砲》 3 《削剥》 -他の呪文(9)- | 4 《燃えがら蔦》 3 《変容するケラトプス》 3 《引き裂く流弾》 1 《削剥》 4 《炎恵みの稲妻》 -サイドボード(15)- |
・デッキ概要
緑のパワータフネスに優れた優秀なクリーチャーと、赤の速攻持ちクリーチャーや火力ダメージによりアグレッシブに攻めていくアグロデッキ。
オルゾフヒューマンズと比べるとマナコストはやや重めになる分、一体一体のクリーチャーの強さはグルールのほうが優れており、クリーチャー同士のぶつかり合い(戦闘の攻防)にも滅法強い。
シングルカード価格で見ると価値が高いのはグルールストンピィ
デッキ内容のカードをシングルカード価格相場の合計で価値を判断すると「グルールストンピィ」が最もお買い得と言えます。
具体的に大手MTGショップの価格を参考に各デッキの内容物を全てシングルカード価格で算出すると以下のようになりました。
- グルールストンピィ :23,150円
- オルゾフヒューマンズ :21,700円
- ディミーアコントロール:20,500円
- イゼットフェニックス :19,300円
※注意
・価格は10月上旬頃の相場です。
・シングル相場が100円以下のカードは合計価格に含めずに算出しています。
・複数のバージョン(=バージョンにより価格差があるカード)が存在するカードは安価のバージョンから価格算出しています。
・大手MTGショップを参考にしていますがショップにより多少バラつきもありますのであくまで参考程度としてください。
正直なところこの観点で見るとどのデッキもお買い得という結論ではありますが、価格というわかりやすい指標のみで比較すればグルールストンピィが最も高値という結果になりました。
ですが、デッキ毎の価格差はあまり大きくないこともあり、結局のところご自身の欲しいカードが多く含まれているデッキを購入するのがベストだと思います。
それでも迷うという場合、チャレンジャーデッキ以外の他のデッキを構築するときにも役に立つ汎用性の高さという観点も踏まえると各デッキの目ぼしいカードは概ね以下のあたりになると思いますので、これらのカードを比較検討すると良いかもしれません。
※《蒸気孔》《踏み鳴らされる地》のようなショックランドは目玉カードとして各種1枚封入されていますので、それ以外からピックアップしています。
■オルゾフ・ヒューマンズ
■ディミーア・コントロール
■イゼット・フェニックス
■グルール・ストンピィ
汎用性の高さで考えると「ディミーア>グルール>イゼット>オルゾフ」といった印象です。
ディミーアは青いコントロールには大抵採用される《サメ台風》だけでなくパイオニア必須級とも言える高性能な除去《致命的な一押し》が4枚入っているのが目を惹きます。他にも《神秘の論争》《検閲》のように青いコントロールに広く採用されるカードが多数ラインナップされています。このあたりのアンコモンの汎用性が高い上にシングルで揃えようとすると1枚800円等それなりの価格のものもありますので、これらが欲しい方にはそれだけでも購入する価値があると思います。
グルールは《反逆の先導者、チャンドラ》《砕骨の巨人》の赤なら採用を検討するくらいの強力なカードだけでなく、ナイスサイドボードながらシングル価格だと600円前後とそれなりの価格の《引き裂く流弾》が嬉しいところ。緑もコモンではありますが《ラノワールのエルフ》《エルフの神秘家》は緑デッキを使うなら必ず持っておきたいカードです。《エルフの神秘家》はコモンながらも1枚200~300円しますので、持っていない方にとっては有難いラインナップとなっています。
イゼットは《神秘の論争》が入っていたりするもののそれなりに尖った性質を持つデッキという都合上、他のデッキでは使い辛いカードも多く《表現の反復》もパイオニアでは禁止カード(このリストそのまま持ち込む場合は大会で使用可)ですし、パイオニアの強カードである《宝船の巡航》あたりもシングル価格は100円程度と安価なこともあり、ラインナップ的にはやや見劣りする印象です。とは言えパイオニアでイゼットフェニックスを使いたいという意思が強い方には間違いなくおススメです。《弧光のフェニックス》を追加で2枚揃えたりする必要はありますが、とりあえず1デッキは買っておいて損はありません。
オルゾフは《変わり谷》なんかは汎用性も高く強力なカードだったりしますが、全体的に部族に特化したカードが多いこともあり汎用性が高いカードは少ない印象です。白いアグロデッキを組むなら欲しいカードはそれなりに入っていますが、この4つのデッキの中で見ると汎用性は一番低いと考えても良いでしょう。
デッキの強さで比較するならグルールストンピィかオルゾフヒューマンズ
前述のように今回のチャレンジャーデッキは全体的にパイオニアのトーナメントで活躍しているようなデッキタイプと比べるとパワーが劣っている感は否めないところで、実際にこの4つのアーキタイプは所謂Tier1からは程遠いという印象です。アーキタイプで見るとこの中ではイゼットフェニックスはまだトーナメントで見かけますが、他の3アーキタイプは絶滅危惧種レベルです。
しかし、この4つのデッキリストそのままの強さで比較するという観点なら、グルールストンピィかオルゾフヒューマンズのどちらかといったところでしょう。というよりこのリストのイゼットとディミーアが弱いという印象が拭えません。
イゼットフェニックスは土地枚数を減らしてその分《選択》《考慮》のような軽いドロースペルを連打して動くデッキですが、そんな動きのデッキに対して致命的となるタップイン土地の《天啓の神殿》が4枚入っている(レアの数合わせ採用?)あたりからして正直謎なところ。しかも肝心な《弧光のフェニックス》が2枚(レアリティ的に止む無し?)というチグハグっぷり。《弾けるドレイク》は弱いカードではないですが、これが4枚入っているのでもはやイゼットフェニックスというよりイゼットドレイク感すらあり、全体的にかなり中途半端な仕上がりになっていると言わざるを得ません。
ディミーアコントロールは打ち消し呪文やクリーチャー除去は粒揃いですが、ゲームを締めくくるフィニッシュ手段が《奔流の機械巨人》2枚。しかも《奔流の機械巨人》から唱えると必殺技となるくらいの強力なインスタントが入っているという感じでもないので、ゲームを引き延ばしても結局ズルズル負けてしまうこともそれなりにありそうな印象で、こちらもやや中途半端感が否めません。
それに比べるとオルゾフヒューマンズとグルールストンピィはそれぞれ「軽快に人間を並べた後のクリーチャー全体強化から一気にゲームを決める」「1マナのマナエルフからマナ加速して強力なクリーチャーを1テンポ早く展開して力押しする」というやりたいことがわかりやすい上にリストを構成しているカードもそれに沿ったラインナップとなっています。イゼットやオルゾフと比べるとこの両者のほうがデッキリストとしては強いのではないかと思います。
まとめ:自分の意向に沿ったデッキがベスト。迷うならグルールがおすすめ。
4デッキとも買って損をすることはないラインナップになっていますので、このデッキが使いたいというデッキがあるならそれにするのも良し。またこのデッキに入っているカードを使った別のデッキを組むことも視野に入れているというならそういった理由でデッキを決めるのも良いでしょう。
そういった意味でご自身の意向に沿ったデッキがベストであると思います。
もしそういった個人の都合は抜きにするという条件であれば、デッキの強さやデッキ内容のカード的にこれまで述べた理由から私としては「グルールストンピィ」がおススメです。
楽天市場:パイオニア・チャレンジャーデッキ2022
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