ディミーアコントロール解説(ZNR/ヒストリック)

ヒストリック

ヒストリック環境におけるディミーアコントロール(Dimir Control)について解説します。デッキ自体の動きは大体想像つくかと思いますが、実際にどういう点に強みがあるのか、また現在の環境に対しての立ち位置はどうかも含めて解説していきます。
※ZNR+カラデシュリマスター時点のヒストリック環境で執筆しています。

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デッキリスト

多くの方が参考にしているであろうということで、ゼンディカーの夜明けチャンピシップでWillian Jensen選手が使用したデッキを参考に取り上げます。

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どんなデッキ

古典的な青黒のコントロールデッキです。相手の脅威をカウンターと除去でいなしつつ《奔流の機械巨人》や《スカラベの神》で打ち倒すという受けに回るデッキというのが基本構図ですが、いくつか特筆すべきポイントがあります。

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デッキの強み

《覆いを割く者、ナーセット》と《暗記+記憶》のコンボ

記憶のカード効果はお互いに7枚を引き直す効果になっていますが、《覆いを割く者、ナーセット》が場にいるとその駐在効果により対戦相手は1ターンに2枚以上のカードを引くことが出来ません。結果としてこちらの手札は7枚になりますが、対戦相手は1枚のみになります。

そのため、《覆いを割く者、ナーセット》が場に状態で《記憶》を唱えることが出来ればゲームを決定付けるほどのアドバンテージを得ることができますので、是非とも狙いたいコンボになっています。

《奔流の機械巨人》が強い

このデッキのキーカードです。カラデシュリマスターで収録されたこのカードにより本デッキが生まれたといって良いです。
単純にカードそのものが強いのは勿論ですが、前述に述べたコンボのサポートをすることも可能となっており《記憶》はソーサリーですが《奔流の機械巨人》の誘発型能力を使用することで相手のターンに唱えることが出来ます。そのため、相手のドローステップ後に《奔流の機械巨人》を唱えて記憶コンボを成立させることで相手の手札を0枚にすることが可能です。

加えて、《崇高な天啓》との相性の良さがピカイチです。

《奔流の機械巨人》が場にある状態で《崇高な天啓》を唱えると、その効果で《奔流の機械巨人》をコピーすることが出来ます。すると、コピーとして場に出た《奔流の機械巨人》の効果により、《崇高な天啓》を墓地から唱えられるため、連続して《崇高な天啓》を唱えることができます。これでまた《奔流の機械巨人》をコピーすると、3体の《奔流の機械巨人》を並べつつ、《崇高な天啓》2回分のアドバンテージを得つつ・・・と、莫大なアドバンテージが得られます。これが本デッキの勝ちパターンの一つでもあります。

また、《奔流の機械巨人》が場に居なくても、《奔流の機械巨人》から墓地の《崇高な天啓》を唱えるだけで同様に莫大なアドバンテージを得ることが出来るので、どちらを唱えるのが先であっても強いというのは大きなメリットの一つです。(勿論《奔流の機械巨人》が場にいる状態で《崇高な天啓》を打つほうが理想ですが、《奔流の機械巨人》から《崇高な天啓》を唱えるだけでも充分強いです)

もう一点特筆すべきはそのボディで、いまのヒストリック環境で主に使用されている除去は《致命的な一押し》と《取り除き》になっています。どちらも《奔流の機械巨人》に当たらないこと、加えて環境に溢れている《霊気の疾風》も効かないので、現環境においては対処され辛いことも強みになっています。

青黒というカラーリングの潜在的アドバンテージ

ヒストリック環境にはスゥルタイ、ジャンドサクリファイス、ゴブリンが主要メタにあげられる環境になっているため、それら全てに有効である《霊気の疾風》が環境に溢れていて、メインボードに積まれていることも多いです。このデッキは青黒なので《霊気の疾風》が全く効かないため、それだけでアドバンテージを得ているといっても良いです。

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デッキの弱み

《奔流の機械巨人》に依存

当然ではありますが、このデッキは《奔流の機械巨人》に大きく依存しています。この巨人を出来るだけ早めに唱えて盤面に大きなクリーチャーを置いて相手にプレッシャーもかけつつアドバンテージを取るという展開にならないと、アドバンテージを稼ぐ手段が少ないためジリ貧になり負けます。そのコストの重さから4枚は採用したくないですが、6ターン目前後に《奔流の機械巨人》を出すことが出来ないと辛い展開を強いられます。

3枚なので、当然なかなか引けない場合もありますが、引けないと辛いというのは負けパターンの1つです。ドロー出来るカードもあまり多くないですから。。

カードアドバンテージを取る手段が少ない

《奔流の機械巨人》と《記憶》+《覆いを割く者、ナーセット》コンボ以外で、カードアドバンテージを稼ぐ手段がほとんどありません。
《記憶》コンボは《覆いを割く者、ナーセット》を盤面に残しておくというハードルがあるので、コンボを決めるのは簡単ではないです。

ですので、ジリ貧になって負けるという展開がよくある負けパターンの1つです。

《ヒエログリフの輝き》は普通に唱えても2枚しかカードを引けませんので、得られるアドバンテージは心もとないです。

つよわいカードの存在

《ヒエログリフの輝き》と《精神石》、このデッキにとっては特にこの2枚はつよわいカードです。

《ヒエログリフの輝き》は見ての通り普通に唱えたときの効果はそれほどでもありません。ですが、サイクリングで墓地に落としておけるという側面があるので、《奔流の機械巨人》の唱え先にしやすい点はメリットの一つです。とはいえ、繰り返しになりますがカード自体の効果はそれほどでもなく、ほしいカードアドバンテージもあまり得られません。他に良いドローカードがあれば良いのですが、いまのカードプールだと他に目ぼしいものがあまりないというのが実情で、このデッキにとってはつよわい(というか弱い・・・)筆頭です。

もう一点が《精神石》です。そもそもこのカード何でこのデッキに採用されているの?と思った方もおられると思います。
主な用途は当然マナブーストなのですが、もう一点は紛争のトリガーになることです。《致命的な一押し》が4枚採用されていますが、このデッキはパーマネントをあまり場に出さないため、なかなか紛争しません。《寓話の小道》もありませんから。

本命のマナブーストの点について、ヒストリックは早い環境だからというのもありますが、本デッキの目指す勝ちパターンが関係しており、特に《奔流の機械巨人》を出来るだけ早めに唱えたいというのが主目的です。このデッキはアゾリウスコントロールのようにだらだらと試合を長引かせて勝つというゲームプランは目指していません。目指すのは《奔流の機械巨人》を早めに唱えて、アドバンテージを稼ぎつつも相手に圧力をかけていくことにあり、そのプランにおいて1ターン早いというのは非常に価値があります。

ゲームを長引かせても、前述に述べた「アドバンテージを稼ぐ」ということに長けていないため、ジリ貧になりがちです。とりあえず相手に圧をかけるクリーチャーを展開しないとゲームに勝てないので、クリーチャーを出すターンを1ターンでも早くして、相手の脅威を対処しながら押し切ることを目指しましょう。記憶コンボは狙えたら狙うというサブプラン程度に思っておくほうが良いです。

ただし、《精神石》は《成長のらせん》と異なりアドバンテージを失うマナ加速です。いくら生け贄に捧げてカードを引ける効果があるとは言っても、1枚カードを引くという効果に対してのマナ効率が悪く、《精神石》の存在はジリ貧により負けるパターンを増やしてしまう要因にもなっています。ですので、総評すると強いけど弱いというカードになっています。(《精神石》自体は強いですが、このデッキにとってはという意味です)

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現環境の立ち位置

対スゥルタイミッドレンジ

まずトップメタであるスゥルタイに対してですが、ZNRチャンピオンシップ時点ではスゥルタイが採用している除去は《致命的な一押し》が多かったこともあり、《覆いを割く者、ナーセット》が生き残りやすくやや有利だったのですが、スゥルタイ同型の《覆いを割く者、ナーセット》の増加により《取り除き》を除去として採用するタイプがトレンドになってきています。そのため、このリストのままだと最近のスゥルタイに対してはやや不利です。
加えてこのリストだとカウンターもそこまで多くないため、《思考囲い》を絡められてしまうと、負けに直結する《世界を揺るがす者、ニッサ》の着地を許してしまうことも多いです。そのため、スゥルタイ最盛期の現時点では少しデッキリストを変更したいところです。

メインボードの《致命的な一押し》を数枚抜いて、《思考囲い》や《物語の終わり》等を差し替えたり、《検閲》を少し減らすのも良いと思います。特に《物語の終わり》はいまの環境に存在する危険なカードはほとんどが伝説カードなので、見た目以上に対象が広くお勧めです。

あと、ウーロ対策ともなる《塵へのしがみつき》ですが、ウーロ相手と考えると、墓地から取り除いてもクリーチャーなのでドローできないことから、アドバンテージで損をするのであまり強くないかもしれません。ゲームプランとしてスゥルタイに対しては《覆いを割く者、ナーセット》は非常に効果的で、盤面に常においておくことを目指したいので、メインの《覆いを割く者、ナーセット》を4枚にすることで対処をしたほうが良いかもしれません。そのあたりのデッキ変更により、やや有利にはもっていけるかと思います。個人的には《塵へのしがみつき》は1枚減らしても良いと思います。墓地もあまり肥えない上に、脱出により《奔流の機械巨人》の的を減らしたくないので。

あと、対戦相手の《覆いを割く者、ナーセット》ですが、幸いこのデッキにとっては致命傷にはなりません。あまりドローするカードが入っていないので意外とそこまで邪魔にならないのがこのデッキの良いところでもあります。といってもカウンターできる時にはカウンターしてはおきたいです。

追記)
《自然の怒りのタイタン、ウーロ》は禁止カードに指定されましたので、スゥルタイミッドレンジの記載は参考程度としてください。

対ゴブリン

《通報の角笛》が場に出てしまうと苦しいですがそれさえなければ勝負になります。ゴブリンのほうがアドバンテージを得るカードが多かったりするので、早めに《奔流の機械巨人》を着地させて攻勢に出たいところです。《上流階級のゴブリン、マクサス》が返しで場に出される可能性がないなら、《スカラベの神》はタップアウトしてでも場に出してしまいましょう。

尚、前述の《物語の終わり》は《上流階級のゴブリン、マクサス》や《群衆の親分、クレンコ》をカウンターすることが出来ますので、ゴブリンに対しても有効なカードです。

対ジャンドサクリファイス

相性的にはやや不利です。猫かまどエンジンや《真夜中の死神》でアドバンテージを稼がれてしまうと厳しいです。《影の評決》が非常に効果的なので、是非引き込みたい相手です。

前述のスゥルタイにガードを上げるために《致命的な一押し》を削ると、サクリファイス系へのガードが下がってしまうのが難点で、スゥルタイにガードを上げると、サクリファイスに対してのガードはどうしても下がってしまいます。また、《物語の終わり》はサクリファイスに対してはあまり効果がありません。

コントロールデッキの宿命ではありますが、メタ読みに合わせてそのあたりの数枚は調整していくことになります。

対パラドックス装置

相手の回り次第なところもありますが、それ込みで5分くらいかなという印象です。(このデッキに限ったことでもないかもしれませんが)《モックス・アンバー》を絡めてブン回りされるとどうしようもないときがあります。《湖に潜む者、エムリー》と《眷者の神童、キナン》の生存を許してしまうと厳しいので、《致命的な一押し》が効果的なマッチアップです。また《覆いを割く者、ナーセット》も効果的なマッチアップです。相手の盤面のクリーチャーはあまり強くないので、《覆いを割く者、ナーセット》を盤面に生かしておくプレイを目指しましょう。

尚、《パラドックス装置》と《湖に潜む者、エムリー》が主要コンボパーツではありますが、実は《大いなる創造者、カーン》による展開がこのデッキの強みだったりしますので、《大いなる創造者、カーン》はカウンターする等で対処すると良いです。《パラドックス装置》デッキは軽いアーティファクトやクリーチャーが多く、デッキが結構スカスカ(単体では弱いカードが多い)なのがウィークポイントですが、それを《大いなる創造者、カーン》で補っているような感じですね。

対アゾリウスオーラ

オーラには有利です。特にサイド後は除去に寄せたりすることもできるため、サイド後は特に有利に戦うことが出来ます。こちらも《影の評決》が非常に効果的です。

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まとめ

デッキパワーとしては《自然の怒りのタイタン、ウーロ》と《世界を揺るがす者、ニッサ》を要するスゥルタイのほうに分があります。個人的には特につよわいと表現したカードに変わる強いカードがあればデッキが一気に引き締まると思いますので、伸び白はあると思います。
追記)《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が禁止されたので、現在では除去多めの形のほうが良いかもしれません。

またコントロールという性質上、メタに合わせてデッキを調整しやすいので、そういったメタ読みに自身がある方には良いデッキかもしれません。故に調整が難しいというのはありますが、裏を返せば調整のしがいがあります。ですが、いまの環境でお勧めするかと言われると《奔流の機械巨人》以外のカードパワーがスゥルタイ等と比べると不足しているように感じますのでちょっと悩ましいのが本音です。良い形にデッキを調整できる自信のある方はトライしてみてください。

記憶ナーセットのコンボや《崇高な天啓》を《奔流の機械巨人》をコピーする動作は決まるとやみつきになるくらいに楽しいので、コントロールが好きな方は是非プレイしてみてください!

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