機械兵団の進軍 レビュー(Part3+総括)

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2023年4月21日に発売となる新エキスパンション「機械兵団の進軍」について、発売前レビューとしていくつかのPartに分けて各カードを考察します。本記事はPart3+セット全体の注目カードを含めた総括となります。

基本的にはスタンダードに焦点を当てて考察しています。

※Part2はこちら

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マルチ

クロクサとクノロス

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★★★

強力な性能を持つクリーチャーに加えて墓地からリアニメイトと、これ一枚で盤面が一気に強力になるクリーチャー。盤面への影響力から考えても6マナというコストに充分見合った性能は持っています。

こういったクリーチャーを入れるデッキは基本的にミッドレンジのような中~低速デッキになるでしょうし、そういったデッキにとって警戒や絆魂といった守りに向いた能力を備えているのも好評価です。

リアニメイトする場合は常に5枚追放を要求するため6ターン目にキャストしたときには枚数が足りないこともしばしばありそうなのはやや難ですが《鏡割りの寓話》(の2章)がそこを補完してくれるということもあり、マルドゥカラーの新しいフィニッシャー枠として活躍する可能性は充分あるでしょう。

伝承師、クイントリウス

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★★

クリーチャーと土地以外という条件が赤白というデッキの色的にも結構辛い印象が否めないところがありますが、能力は生き残っていれば勝ちに近付くと言えるほどには強いものを持っています。

このマナ域で見ると特別強いというほどではないですが弱くもというくらいで、構築戦で使えなくはないレベルにはあるクリーチャーでしょう。やはり使うなら基本的にミッドレンジになりそうですが、再録の《僧院の導師》とも相性は悪くなさそうなのでセットで使ってみるのも良いかもしれません。

ランクルとトーブラン

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★★

先制を持っていることにより最下段の能力が使いやすくなっているという面白いデザインのクリーチャー。

上段中段の能力はサクリファイスデッキに相性の良い見たままの効果といった感じですが、こちらが攻撃したターンの発動となるため最下段に関しては基本的にメリットしか書いてありません。攻撃時誘発なので自身を選ぶことが実質できないのが残念ですが、先制を持っていることでブロックされていない非先制攻撃の中からブロックされなかった攻撃クリーチャーを選択することになります。

そのため攻撃クリーチャーを他に要求することにはなるものの、恐らくセットで使うであろう小粒なクリーチャーでも+2ダメージはなかなかに有効なのでラクドスサクリファイスのフィニッシャー枠の新戦力となるでしょう。

サリアとギトラグの怪物

  • 構築   :★★★★★
  • リミテッド:★★★★★

安定と信頼の先制&接死持ちである戦闘では実質無敵の強力なクリーチャー。

アブザンカラーはクリーチャーを中心としたパーマネントに強い性質がありますが、このクリーチャーは自分の展開を助長しつつ相手をスローダウンさせられるので攻めと守りを両立するミッドレンジには打ってつけの性能を持っています。アブザンはカラー的にクリーチャーを軸とした真っ向勝負にはめっぽう強いのでメタゲーム次第では新たに登場するかもしれません。

やはりイメージ的には《グリッサ・サンスレイヤー》と被るところがありますが《グリッサ・サンスレイヤー》があまり活躍できていないのはスペックよりも緑黒というカラーがやや難を持っているという側面が大きいように思えます。このクリーチャーはもしアブザンミッドレンジを組むなら概ね入りそうなくらいの強さは持っているので《グリッサ・サンスレイヤー》とセットで活躍が見られることに期待したいです。

ヤーグルとムルタニ

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★

ただただデカいの一言に尽きるクリーチャー。

普通に使っても弱いので、やぱりパワーを参照してダメージを与えるカードのようなものと組み合わせるコンボパーツとしての使い方が主になるでしょう。少なくてもスタンダードではあまり希望はなさそうですが、カードの種類の多い下環境においては使われる可能性はあるかもしれません。

ジモーンとダイナ

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★

一つ目の能力は悪くはないものの《黙示録、シェオルドレッド》と比べるとどうしても見劣りはしますし、やはり2つ目の能力が重要なところでしょう。

その2つ目の能力ですが、スゥルタイというカラーなのにクリーチャーを要求してくるというやや使い辛そうなトリガー条件。しかも効果が1ドローと土地タップインという渋さ。8つ以上ならもう一回というのはおまけと言えますから、スゥルタイ3色を要求するマナ域にしてはやや大人しい印象です。

弱くもないが強くもないという感じのカードで、そのくらいのレベルのカードなら今のスタンダードでは厳しいかもしれません。

ズルゴとオジュタイ

  • 構築   :★★★★★
  • リミテッド:★★★★★

5マナ4/4飛行速攻枠のよくあるドラゴンですが、今回は出たターンに関しては呪禁な上にカードアドバンテージを得られる効果が備わっておりかなり有用なクリーチャーに仕上がっています。

いざとなれば攻撃して自身を手札に返せるので、毎ターンマナさえ払えるのであれば対処困難な攻撃を繰り返せるのがかなり強そうです。実際いまのスタンダードにはいくら呪禁であっても《絶望招来》のようなソーサリータイミングの厄介なスペルが多いですし、そういったやられ方を避けるように使えるのは大いに役に立つシーンも少なくないでしょう。

ジェスカイカラーの新しいフィニッシャー枠として期待の新戦力となりそうです。

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TDFC/バトル

シェオルドレッド

  • 構築   :★★★★★
  • リミテッド:★★★★★

まず表面のシェオルドレッドは非トークンとは言え相手が選べるタイプの能力なので、可もなく不可もなくといったところ。表面が弱すぎてデッキに入らないということはないレベルではあるでしょう。

やはり滅茶苦茶に強いのは裏面の英雄譚。どの章も強いことしか書いてない上に3章に至ってはゲームセット級。明確な勝ち筋となりえる強さなので、この裏面を一つの勝ち筋に据えてデッキが組める水準は充分持っています。もちろん裏面の変身はリスクは大きいですが、黒なので《強迫》のような手札破壊を組み合わせて使うことでリスクヘッジも不可能ではありません。

現在の黒の強さも相まって個人的には本セットで最も期待値の高い法務官です。

原初の征服者、エターリ

  • 構築   :★★
  • リミテッド:★★★

コストに対して無難に強い効果は持っていますが構築フォーマットの7マナとしてみると流石に厳しく「土地でないカード」なので狙ったカードを捲って使うこともできないため構築戦では使えないカードでしょう。

カルドハイムへの侵攻

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★

表面にしても裏面にしても能力的にあまりクリーチャーを多く採用したデッキでは使い辛そうですが、そのカードがバトルになっているという時点で使い辛さが否めません。

表面は実質4マナソーサリーで盤面に全く影響なしと使う暇があるのかは怪しいところですが、うまく使えばかなりのアドバンテージは得られるので上手い使い方が見つかればワンチャン・・・といったカードでしょう。

カーサスへの侵攻

  • 構築   :★★
  • リミテッド:★★★★

《兄弟仲の終焉》の完全な下位互換の表面を、裏面のクリーチャーを得られる(可能性)点のほうを重く見て使うケースがあるのか?というのが判断基準となりそうなカード。

その判断がYesとなりそうなケースが正直あまり思い当たりません。。

タルキールへの侵攻

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★

表面はソーサリータイミングではありますが、2マナで最低2点。デッキ次第では3点以上も可能と(おまけがあるなら)スタンダードでも使えるスペックは持っていると言えます。

5と破壊するのは中々に骨が折れる値ではあるものの裏面のドラゴンは充分強力なスペック。表面が2マナ2点でしか使えないデッキでも使えなくはないですが、流石にドラゴンが一定数入ったデッキのほうが望ましいですしそういったデッキなら充分使用に値する一枚でしょう。

使い辛いカードが目立つバトルの中でも使いやすそうな一枚です。

ウラブラスク

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★★

表面の変身コストが赤1マナという点にビックリしたものの、インスタントソーサリーを同ターンに3つと実際にはかなり厳しい条件を持っているカード。

インスタントソーサリーでダメージが飛ぶだけでなく赤マナを生んでくれるので一見強そうに見えなくもないですが、必然的にインスタントソーサリーを多めのデッキで入れることになります。となるとどうしてもクリーチャーが少なくなりやすく、相手の持つクリーチャー除去が他のクリーチャーに飛ぶことが少なくなるため結果的にこのクリーチャーが除去されやすくなるという、テキストだけではわからない弱さを持っていると言えるでしょう。

そういった背景を踏まえると、場に出て少なくても1回はターンが帰ってこないと厳しいタイプのカードなので実際にはあまり活躍できないカードになりそうと感じてしまいます。能力にはやはり下環境のほうが強そうで、スタンダードではちょっと厳しい印象です。

イコリアへの侵攻

  • 構築   :★★
  • リミテッド:★★★

表面がそこそこ使えるサーチカードという感じですが、そこそこ使えるというレベルからは出ることはなくスタンダードでは決して使いたい水準のカードではないでしょう。

このようなキークリーチャーを探してきたいカードに対してバトルを破壊するのは簡単ではありませんし、その上に6点という要求値の高さ。しかも裏面もデカいなぁ・・・で終わるようなクリーチャーですし色々とダメそうなカードです。

イクサランへの侵攻

  • 構築   :★★
  • リミテッド:★★★

表面は至って無難なカードという感じですが、2マナソーサリーというコストには間違いなく見合ってはいません。基本的にはバトルを貼れる代償にテンポロスしているだけのカードです。

このテンポロスとバトルが組み合わさっているというのがどうしても「う~ん」となってしまいます。そこまでして裏面を得るチャンスを得たいのかどうか。リスクとリターンがあまり見合っているようには思えません。

シャンダラーへの侵攻

  • 構築   :★★★★★
  • リミテッド:★★★★

再供給》を彷彿とさせる表面。パーマネントしか戻せなくはなりましたが、1枚で3枚戻せるのは破格なので上手く使えればかなり強力なカードと言えます。

裏面はコストを踏み倒して使えるという有用な能力を持っていますし、戻した3枚を効率良く使うこともできるデザインになっており表面とも良い感じに噛み合っています。総じて上手く使えば優秀なカードと言えそうで、このカードを軸にしたデッキが登場しても不思議ではないくらいに思える一枚です。

ポルクラノスの再誕

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★

カードとしては見たままのマナシンボルがきつい分強い3マナクリーチャーといったところです。そういったデッキなら使えるクリーチャーではあるでしょう。

ほぼ緑単専用のカードですが、最近の土地の充実振りを踏まえると緑単でなくても使えるかもしれません。

アラーラへの侵攻

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★

表面が2枚から選ぶとは言え不安定要素が高く唱えるにはリスクがついてくるカードで、このコストで唱えるに対しては流石にキツイ印象を受けます。盤面次第ではギャンブル気味に打たざるを得ないというのが厳しいですね。

裏面が読むのが面倒になってしまうくらい色々詰め込まれており流石5色バトルの裏面といったところではありますが、5色デッキで7のバトルを壊せる状況にある時点でこの裏面がなくても勝ってるのでは・・・と思ってしまいます。

新ファイレクシアへの侵攻

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★★

2/2をX体出すという効果とバトルはそれだけで完結している効果とも言えますのでそういった点で好印象のカード。

アゾリウスのアグロデッキに挿すカード、もしくはアゾリウスコントロールのフィニッシャー枠、ジェスカイやバントトークン、といったデッキでの使用が考えられそうな一枚ですが、やはり表面の効果でバトル破壊がしやすいからなのか裏面のテフェリーはかなり控えめ性能。-2の効果を考えると基本的には前のめりなデッキで使いたいカードでしょう。

全体的に悪くはないカードですが、突き抜けた強さもなくあと一歩感も感じられるカードではあります。《婚礼の発表》とも相性が良いカードということを考えると使用に値するバトルではあるでしょう。

トルヴァダへの侵攻

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★★

表面はパーマネントのリアニメイトと対象範囲が広いリアニメイトなので使い道がありそうなカードに仕上がっています。反面、裏面のカードはどちらかといえば細かくクリーチャーやトークンを展開するデッキ向けで、表裏の相性があまり良くないのは気になるところです。とは言え裏面は雑に強いのも間違いありません。

表面だけでも使えなくはないカードという時点でそれなりのバトルではあるでしょう。

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まとめ

新メカニズムのバトルが楽しみなセット

今回から新しいメカニズムとしてバトルが登場していますが、アンコモンも含めバトルカードの収録枚数が非常に多くリミテッドではこのバトルを制するものがゲームを制すると言えそうなくらいのインパクトを持っているという特徴のあるセットに仕上がっています。

ただこのバトル関連カードは恐らくかなり調整が難しかったのであろうというのがカードを見ているだけで伺いしれるような性能になっており、特に構築フォーマット目線で見ると活躍するカードは収録枚数に対してかなり少なそうな印象は受けます。

とは言え中には各色の神話レアのバトルを中心にスタンダードでも使えそうなカードは見受けられます。このバトルカードがどれくらい次期スタンダードで見られるようになるのか楽しみです。

全体的にミッドレンジ向けのカードが目立つ

今回のセットは3色以上のカードも含めた多色カードが非常に多く、多色がフィーチャーされたセットになっています。多色になると必然的にマナコストが重かったり制約が厳しいものになりますので、スタンダード目線で言えばミッドレンジや多色デッキに恩恵の大きいセットとなりそうです。

実際マナコストが軽めで強いカードというのはかなり少ないように感じます。そういった意味ではスタンダードの環境が大きく変わるとまではあまえり思えませんので、ミッドレンジ環境という傾向は本セット後も続くのではないかと思います。

ちまたではカードパワーの低いセットという声が強い本セットですが、新しい試みの多いセットでもあるのでそういった感を抱いてしまう部分もあるのかもしれません。確かにわかりやすく強いカードはあまり多くない印象は受けますが、わかり辛いからこそ後々に評価されそうなカードが多いセットなのかもしれません。

余談ですが、今回はセットに土地のレアカードが登場しないという最近では珍しいセットになっています。多色カードがこれほどまでに収録されているにも関わらずレア土地(=構築フォーマットで使える多色土地)が一枚も登場しなかったのはここ最近の多色土地の充実振りによるものなのでしょうね。

注目カード

筆者が本セットの中からスタンダード目線で特に注目しているカードです。個々のカードの説明については個別に説明している箇所をご参考ください。注目度の高い順番で降順に掲載しています。

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