本記事ではMTGアリーナ専用セットである「イニストラードを覆う影・リマスター」を用いたリミテッドの環境や、有力なアーキタイプ、カード等について考察しています。
イニストラードを覆う影・リマスターのリミテッド環境特徴
2色推奨の部族環境



イニストラードを覆う影リマスターのリミテッド環境は2色推奨かつ、基本的にクリーチャーの部族にフィーチャーしていることが特徴と言えるセットになっています。
部族についてまた詳しくは後述しますが、白緑なら人間、緑赤なら狼男といったように各色の組み合わせで推奨する部族が決められています。これらの部族を集めるようにピックしていくことがこの環境の基本的な指針となりますので必然的に2色に収まりやすく、アンコモンには2色土地が存在していますがコモンには多色土地が存在していないという都合もあるため、パワーカードをタッチするという以外は基本的に2色が推奨の環境となっています。
部族クリーチャーは部族にメリットをもたらすカードがお互いにシナジーを発揮することで真価を発揮します。そのため部族デッキの場合はできる限り該当の部族クリーチャーを多く集めることが重要になってきます。
また部族クリーチャーを並べるためにも2マナの部族クリーチャーからスタートしたいところです。環境自体はどちらかと言えば速攻よりも盤面を強力に作ったほうが勝ちやすい高速寄りの中速といった印象なのでパワーカードもそれなりに重要ですが、やはりスタートに出遅れると特に後手では厳しい戦いになります。
メカニズムは「マッドネス」「昂揚」「調査」



本セットの特徴的な主なメカニズムは「マッドネス」「昂揚」「調査」の3つ。マッドネスや調査あたりは汎用性高めのメカニズムではありますが、本環境のリミテッドにおいてはどのメカニズムも概ね推奨される色の組み合わせが決まっており、セット全体の汎用的なメカニズムと言うよりは各色の組み合わせの中において存在するメカニズムと考えても良いでしょう。
具体的にはマッドネス=赤黒、昂揚=緑黒、調査=青緑といった具合です。調査あたりは無難に強いメカニズムなので何色の組み合わせでも問題ないと言えば問題ないのですが、どちらかと言えば長期戦向けの能力ですので青緑でカードアドバンテージで戦うことを目指すように活用することが推奨されています。

なお、エルドラージが持つ「現出」もメカニズムの一つですが「現出」のメカニズムでデッキが成立するという程の枚数ではありません。
とにかく後に詳細に触れていきますが、ピックするカードを的確に判断するために色毎に何の部族やメカニズムが推奨されているのか事前に把握した上でドラフトに臨むようにしましょう。
変身カードは強力なカードが目立つ



パックに1枚確定で入っている変身カードはコモンからレアまで優秀なカードが非常に多いことも特徴的です。
変身カードが比較的遅めに流れてきたらそのカラーは比較的空いているというシグナルと考えても良いかもしれません。
過去の影
MTGアリーナ専用セットというデジタル限定の特徴を活かして、パックに1枚「過去の影」枠としてレアリティ不問で特殊なカードが封入されています。これは実際にプレイする日時に合わせて収録されるカードが変わるという全体未聞の試みとなっています。
収録カード等の詳細はこちらの公式サイトに掲載されています。
やはりこの枠は強力なカードが多くなっていますが、不確定要素も多いので本ページではできる限りこれらのカードには触れない形で執筆しています。
コンバットトリック関連
本セットの主なコンバットトリック(クリーチャー除去関連は除く)については以下の通りです。










全体的にあまり質は良いとは言えませんが、かと言ってプレイできないカードも少なく程よいバランスとなっている印象です。
中でも優秀なのは一マナと使いやすい上に効果も優秀な《腕っぷし》と《未知との対決》です。この2枚は特にデッキに入れて活用していくと良いでしょう。
赤にアンコモンですが《放たれた怒り》があることには注意しておく必要があります。2段攻撃で想定外のダメージを受けて負けてしまうケースもありますので、特にゲームに優勢であればあるほど赤を含む相手のコンバットには意識して注意を払っておくほうが無難です。
クリーチャー除去カード関連
リミテッドでは常に重要となるクリーチャーを除去(疑似除去やバウンス含む)するカード達です。






















気になるのは黒の弱さです。コモンには確定除去がコストの重さ故にあまり使いたいと言えない《生命の危機》しかなく含め全体的に性能が普段よりも見劣りします。
一方で黒以外のカラーに関しては使いやすいカードも多く、黒のお家芸であるクリーチャー除去が露骨に一段劣るスペックになっているのは開発陣の意図ということなのかもしれません。
また緑はよくある格闘ではなく一方的にダメージを与えるタイプばかりなのでとても使いやすいラインナップとなっています。
アーキタイプ解説
赤白 – アグロ






赤白は軽量クリーチャー、火力、コンバットトリックでゴリ押ししていく生粋のアグロとなるアーキタイプです。
このアーキタイプに関しては部族はあまり気にせず単純に優秀なクリーチャーをピックしていくことになります。というより部族を揃えるのはなかなかに困難です。
とにかく早く相手を倒すことをイメージして構築することになりますが、後半に押し切れないような展開を防ぐことを意識しできる限り相手に守り切られないように押し込む手段を用意しておくと良いでしょう。例えば威迫飛行のような回避手段持ちのクリーチャーやブロックさせないタイプの効果を持つカードもしっかり組み合わせていきたいところです。
他のアーキタイプと比較してもかなりわかりやすいデッキで特定の必須カードもあまり必要としないため構築しやすいアーキタイプとも言えます。
白緑 – 人間






白緑は部族人間を中心としたアグロデッキとなるアーキタイプです。
人間を中心にピックしていくことになりますが、特に人間の2マナ域はコモンよりアンコモンのほうが圧倒的に強いので2マナ域をアンコモンでそれなりの枚数を埋めることができれば強力なデッキになりやすいです。また人間以外の脇を固めるカードも白緑ともコモンの質がそれなりに高く、強さ的には上から数えたほうが早いアーキタイプという印象を受けます。
またサブテーマ(?)としてオーラや装備といったカードを併用することもフィーチャーされています。特にオーラはまさにハイリターンハイリスクといった要素はありますが《鉄覆いの処刑者》のようなカードがあればそのリスクも少し軽減されつかいやすくなります。もしくは勝ち手段が乏しいデッキになってしまった場合は、リスクを取ることになりますがオーラペタペタ戦略で対処されなければ勝ちという手段を取ってみるのも一つの方法でしょう。
白黒 – サクリファイス






生け贄を伴うカードを上手く活用することで高いカードパワーを発揮するカードを持ってゲームを支配するアーキタイプです。
・・・なのですが、私的には正直ちょっと弱すぎるのでは・・・と思ってしまうアーキタイプです。というのも生け贄を捧げる手段を用意してもそれを活用するカードがあまり強くなく、そのため生け贄元を用意したところであまり旨味も感じられないという残念感が強いです。
あくまで私の現時点での印象なので間違った感想かもしれませんが、個人的にはおススメしないアーキタイプ筆頭です。
赤黒 – 吸血鬼マッドネス






赤黒を手札を捨てる手段+マッドネスを組み合わせてアドバンテージを得るプランを用いながら吸血鬼により相手のライフを削り取るアーキタイプです。
赤黒の除去で道をこじ開けながらビートダウンして勝利を目指すというお馴染みの赤黒戦略ですが、自然とマッドネスカードがそれなりにピックできると思いますので捨てる手段もピックすることを忘れないようにしましょう。捨てる手段はできる限りマナを使わない(もしくは低マナで動かせる)ものにしないとマッドネスコストを払う余裕がなくなってしまう場合がある点には注意が必要です。
マッドネスが活用できるに越したことはないものの、マッドネス持ちのカードは単体で機能する物も多くマッドネスがなくても充分回るアーキタイプなのでマッドネスを意識しすぎてデッキを歪めるよりも素直に強いカードをピックして取るほうが良い場合もあるでしょう。
赤青 – スペル






赤青と言えばインスタントソーサリーを駆使するカラー。本セットでもそれは例外ではありません。
クリーチャー以外のスペルと唱えることで誘発する能力を持ったクリーチャーをメインに。クリーチャー数は比較的少な目に採用しながら増殖を持ったインスタントソーサリーを中心にそれらのクリーチャーをバックアップするイメージでデッキを構築すると良いでしょう。通常はクリーチャー15枚くらいが目安ですが、このアーキタイプは10体前後が一つの目安になります。またスペルを構えてターンをパスしやすいので変身カードとも相性は悪くありません。
こういったスペルデッキは2~3マナ域にスペルにより強くなる強力なクリーチャーが欲しいのですが、この環境は低マナ域にこのデッキに合うクリーチャーが少ない印象です。そのため私的には割と厳しいアーキタイプという印象が拭えません。
青白 – スピリット






場に出たときに効果を発揮するスピリットで盤面を作りながら飛行によって押し切るというフライングデッキとなるアーキタイプです。
飛行というブロックにし辛さ故にダメージレースを先行できればゲームを有利に運べるアーキタイプですが、一体一体が貧弱という特徴があるので過去の影枠にある《戦場の霊》や《ドラグスコルの隊長》のようなスピリット全体強化を用いることでダメージレースを加速させていきたいところです。
このデッキで特に欲しいカードは《ネベルガストの伝令》で、このクリーチャー+瞬速持ちのスピリットと組み合わさることで相手のダメージレースの計算を大幅に狂わせることができます。
青黒 – ゾンビ






青黒は除去呪文やクリーチャーのコンバットにより守り気味に戦いながら長期戦に持ち込むことで、ゾンビお得意の消耗戦に持ち込みジワジワと優位を構築して勝利を目指すアーキタイプです。
青黒のゾンビはスタッツでは他のカラーに劣りますが墓地から戻ってきたり墓地から追放させて効果を発揮するようなカードが多いので、1:1交換で消耗戦に持ち込めば自然と優位に立つことができるようになっています。クリーチャー同士の戦闘で対処できないようなクリーチャーには除去スペルを用いて対処することも時には必要です。
裏を返せば真向な戦闘によるスピード勝負を挑んでも基本的にはあまり勝ち目のないデッキです。カードの性質的に相手に攻撃を仕掛けるよりも生き残ることを意識したほうが良い結果に繋がりやすいです。
緑黒 – 昂揚






緑黒は概ね墓地活用するアーキタイプが通例なのですが、本セットは昂揚を達成するまで自分の山札を切削しながら耐え忍び、そこから昂揚持ちのカードパワーによりゲームを捲り返すというアーキタイプです。
昂揚を達成するための手段である切削と、クリーチャーと土地以外のカードタイプを意識してデッキに入れることで昂揚を達成しやすくするための工夫が必要です。そこに加えて昂揚カードもバランスよくデッキに入れていく必要があるため構築難易度は高めです。
切削している間はとにかく守っていく必要があるので、昂揚していなくても接死により相打ちを取れる《節くれ木のドライアド》のようなカードを用いて耐えれる構成も意識しておくと良いでしょう。
青緑 – 調査






調査によりアドバンテージでロングゲームを制する気の長い戦いを目指すアーキタイプです。
調査持ちのカードで相手の攻撃から身を守りながら、調査のドローにより相手とカードアドバンテージに差を付けていくことを目指してゲームを進めていきます。そのため基本的に自分からゴリゴリ攻めていくのではなくどちらかと言えば守りを重視した立ち回りとなるアーキタイプです。
《束の間の記憶》は調査で掘り進めること自体がゲームの勝ちとなるこのアーキタイプで光るカードです。他のアーキタイプでは使えないので遅い手番でも回ってきやすいというのも一つメリットと言えるアーキタイプでしょう。
赤緑 – 狼男






狼と狼男によるパワーで相手を粉砕するパワフルなアグロデッキとなるのがこのアーキタイプです。
変身しなくても強い。でも変身すると桁外れに強いという狼男を中心に構成し可能であれば変身を狙っていきはしますが、基本的にはいつもの赤緑と同じくスタッツに優れたパワフルなクリーチャーで相手を圧倒していくという姿勢には変わりありません。
クリーチャーが強いのは勿論ですが、赤にしても緑にしてもクリーチャー除去もなかなかに優秀なものが揃っておりわかりやすい強さを持っているアーキタイプです。
ただ飛行クリーチャーですれ違いのダメージレースになってしまうと劣勢になってしまうケースも少なくないので攻めにも回れる到達持ちのクリーチャーがいると頼りになります。
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