ファイレクシア完全なる統一がリリースされて凡そ一週間程度というタイミングで執筆していますが、ファイレクシア完全なる統一のカードを実際に使ってみて(もしくは使われてみて)プレイ前に抱いていた感想よりも想像以上に強かった、弱かったといったカードも出てきました。
そんなカードを中心に個々にカードを取り上げて解説していきたいと思います。
雑記として書いていきますので私的な感想も多分に含みますが、主にスタンダード目線で述べていきますので中にはスタンダードのプレイの参考になる部分もあるかと思います。
完成化した精神、ジェイス

プレビュー時点で抱いていた感想はかなり微妙・・・と思っていましたが、実際のプレイを経た現在では想像していたより倍くらい強かったという印象でとても驚いたカード。そういった意味では本セットで最も意外だったカードです。
まず思っていた以上にクリーチャーの攻撃で落とし辛く、+1でかなり粘れるという点がグッド。これを落とすためにクリーチャーを追加で出していかざるを得ないようなシーンを作り出してくれますし、それにより《集団失踪》のようなクリーチャー全体除去の巻き込みを誘導していけたりもします。
中段の能力は字面の通りといったところですが、特に-Xの奥義がこれだけで(ジェイスだけで)勝ち手段となりえるという点がとても強力。もちろん他の切削の手段と併用するとより強力ではあるものの《完成化した精神、ジェイス》4枚だけでもデッキの勝ち手段となりえるという点がとても素晴らしいです。上手くいけばゲーム中に《完成化した精神、ジェイス》2枚くらいで-Xからライブラリーアウトで勝ちを狙えるくらいの印象です。
このカードを中心に据えたコントロールデッキというのも実際使ってみると決して悪くないといったところです。
ただ現在のスタンダードではお供となる切削手段にあまり有用なものがないという点だけは懸念材料です。しいて言えば《損切り》を補助的に使うのは悪くないかもしれません。
永遠の放浪者

プレイ前はコストが重すぎで結構しんどそうな印象もありましたが、こちらも使って/使われてみて評価の上がった一枚。
やはり-4の奥義は強力で、実際使ってみると限りなく《告別》のような全体除去として機能しますし、それどころが自分も有用なクリーチャーをコントロールしているなら全体除去を凌駕する便利さがあります。
このように盤面が劣勢であったときに使いやすい効果がありつつ、盤面が劣勢でなかった場合は2/2二段攻撃というそこそこ強いトークンを出して良し、《夜明けの空、猗旺》のような止めずらいクリーチャーが相手にいるときには+1能力でお茶を濁しておくのも良し、と同じマナ域である《告別》のような受け身の全体除去とは違って盤面有利不利問わずいつ出しても強いというのがこのカードの強さの理由の一つとしてあげられます。
やはり《絶望招来》だけはネックな存在ですが、逆に言えば《絶望招来》を有していない相手にとっては非常に強力なプレインズウォーカーです。
栄光のドミヌス、モンドラク

こちらは逆に思っていた以上に弱かったクリーチャー。
とは言え能力が強力なのは間違いなく、自然とトークン関係のカードが多くなりがちな現スタンダードではこの能力が有用なのは間違いありません。
ただやはり単体で機能しない点で辛いとなるタイミングも多く、破壊不能を付与するのもお互い消耗しあうようなゲーム展開になりがちなゲームでは条件が決して容易ではありません。何より破壊不能を付与したところでスタンダードに溢れる《税血の収穫者》だったり《放浪皇》だったり(これはプレイで避けることも可能ではありますが)で結局倒されてしまうので使い辛いといった要素も使い辛さの要因の一つでしょう。
単体で機能しなくても1,2ターンで対処しないとかなり不味いという能力ならまだ良いですが、この能力は力を発揮するためにそれなりに時間がかかりがちなのもマイナス要素でしょう。
今後メタゲームや登場するカードによっては活躍する可能性はありそうですが、少なくても現在はやや厳しそうな印象です。
機械の母、エリシュ・ノーン

セット目玉のカードである《機械の母、エリシュ・ノーン》
こちらに関しては(少なくとも個人的には)予想通りで、やはり現状のスタンダードにおいてはコストの重さに対して中途半端な能力であることが否めません。対策カードとしても能力的に刺さるデッキに対しては刺さるという側面もあるので、たまに使われることはあると思いますがスタンダードで大きく活躍するということは当分なさそうに思います。
気まぐれな呪文踊り

能力的にはかなり強いクリーチャーなのは間違いなく、低コストのソーサリーインスタントが強いレガシーのようなフォーマットでは既に活躍を見せていたりするクリーチャー。
ただスタンダードではこのクリーチャーと相性の良いお供のインスタントソーサリーが弱く、どうしても使い辛いです。私も色々試してみたものの中々難しいなという印象から抜け出すことができませんでした。
例えば《嵐風招来》のコピーを狙ってみるのも面白そうなのですが。。いつか活躍する可能性は充分にありますが、しばらくはやや厳しいかもしれません。
溌剌としたヒューズリング / 処刑者の族長、ヴラーン


後に触れるデッキの都合もあって並べて紹介していますが、特に《溌剌としたヒューズリング》は思っていた以上に強いカードという印象を受けています。
然るべきデッキで使えばグングンパワーが上がっていきますし、多色が進む現在のスタンダードは序盤が弱めのデッキが多いという傾向も加わって1マナにしてはなかなかのダメージを稼いでくれます。その然るべきデッキというのはラクドスサクリファイスで、例えば私は以下のようなデッキを構築して使っています。

このデッキはこちらも新カードである《ウラブラスクの溶鉱炉》も一つのキーカードとなっています。これら新戦力である《溌剌としたヒューズリング》《処刑者の族長、ヴラーン》《ウラブラスクの溶鉱炉》を続けて並べただけでも相当なダメージとなることはすぐに想像できるところであろうと思います。
やはりサクリファイスデッキは軽コストが重要であり《溌剌としたヒューズリング》はそれを埋めるピースとなる一枚ではあるでしょう。
上記のデッキは実際に使っていますが見た目以上に強いデッキではあるという印象です。上記のリストはさておきにしてもラクドスサクリファイスは本セットで強化を受けたアーキタイプとなっているのは間違いないでしょう。
硬化した屑鉄喰らい

見た目通り2マナのマナクリーチャーですが、思っていた以上にスタンダードでプレイアブルなカードです。
タフネス3という点がまず重要で《税血の収穫者》の効果(少なくても一枚では)倒されない点で生存率が結構高く、現スタンダードの2マナ域が弱いといわれる中ではマナクリーチャーで展開をブーストしていくのも悪くありません。
墓地からカードを取り除くのも役に立つシーンが多く《偉大なる統一者、アトラクサ》の登場により以前より流行を見せるボロス招来だったり、《傲慢なジン》だったり《死体鑑定士》だったりと、これらに対して意図せずとも対策として機能する点で優れています。
同じ2マナ域のタフネス3マナクリーチャーである《ラノワールの壌土語り》を加えると8枚体制で使えますし、8枚となるとデッキの動きの安定性を一段階上げてくれる枚数でもあります。2ターン目をこれらのマナ加速にあてるミッドレンジも現スタンダードの一つの選択肢となるでしょう。
進化したスパイノダーム / 進化する適応体


これはカード単体で見れば想像通りに強い・・・のですが、どうしても緑を中心としたアグロデッキはメタゲーム的に厳しそうです。
緑特有の重量級のやや中速な攻めは現環境で通用し辛く、例えば現在増えてきているボロス招来のようなデッキは手を焼きますし、こちらも同じく増えている印象の白単ミッドレンジを相手にすると《婚礼の発表》を乗り越えるのが辛かったりと、私も緑を中心にしたアグロデッキをいくつか試してみたものの少なくても今は緑アグロは厳しいというのが結論でした。
カードの性能としては悪くなくてもメタゲーム的に辛いとどうしても活躍するのが難しいですが、その典型系なカードが現在の緑関連のアグロ向けカードといったところでしょうか。
スタンダードローテーションを迎えるくらい大幅にメタゲームが変われば活躍するかもしれませんが、しばらくは冬の時代となりそうです。
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