2023年2月3日(日本以外は2月10日)に発売となる新エキスパンション「ファイレクシア:完全なる統一」について、発売前レビューとしていくつかのPartに分けて各カードを考察します。本記事はPart4+セット全体の注目カードを含めた総括となります。
青
ファイレクシア病の前触れ

- 構築 :★★★
- リミテッド:★★★
これまで毒を与えるというのはクリーチャーによる戦闘ダメージという手段に頼っていましたが、スペルのおまけとして毒カウンターを無条件に付与できるという画期的なカードが登場します。
このカード以外にもいくつかスペルで毒カウンターを付与できるカードがあるので、増殖と組み合わせることであまり戦闘に頼らず(=相手からすると防ぎ辛い)に毒殺を目指すデッキが作れたりするかもしれません。
歪められた好奇心

- 構築 :★★★★
- リミテッド:★★★★
条件付きではありますが1マナ2ドローは流石に強力。堕落なしでも《予言》ですから最低限のスペックは備えています。
言うまでもなく堕落を満たせるかどうかが重要ですが、前述の《ファイレクシア病の前触れ》のように直接ダメージを与えなくても毒を付与できる手段もあったりと意外と堕落を満たすことはできそうにも思います。またこのカードがあることでディミーア毒性みたいなクロックパーミッション寄りのデッキが構築できたりするかもしれません。
大変成家、アンクタス

- 構築 :★★★
- リミテッド:★★★
3マナなのに能力が3つもついている伝説クリーチャー。
一番上の能力が地味に一番有用な感じに思えますが、何れの能力も可もなく不可もなくといったところ。決して強いとは言いませんが、アーティファクトのタフネス4は意外と除去され辛いのでそういった意味でも無難にまとまったスペックは持っていると思います。
黒
修羅のドミヌス、ドリヴノッド

- 構築 :★★★★
- リミテッド:★★★★
パワー8のタフネス3と非常に頭でっかちなスタッツを持っているため破壊不能カウンターを置かれると非常に厄介な存在となりえますが、その破壊不能を付与する条件も割と容易な部類に入りそうなので、なかなかに強そうなクリーチャーという印象です。
上段の能力は《税血の収穫者》《甦りし悪夢、ブレイズ》といったカードと相性が良く、破壊不能のためのクリーチャー3枚という条件も鑑みてラクドスサクリファイスに突っ込むとかなり良い仕事をしてくれそうです。
赤
完全なる統一

- 構築 :★★★
- リミテッド:★★★★
能力は非常に強力ですが、5マナかつ設置ターンに仕事をしないのでどうしてもタイムラグに悩まされそうな置物。
このタイプのカードはたまに使われる程度でそこまで活躍しないというのが通例ですが、このカードも同じ道を辿りそうな気がします。
焼炉の懲罰者

- 構築 :★★★★
- リミテッド:★★★
現在のスタンダートは多色デッキが非常に多く、基本地形を殆ど使わないデッキも珍しくありません。さらに今回ファストランドが収録されることでこの傾向は更に加速するのではないかと思います。
そんな中ですからこの能力はかなりの割合で誘発が見込めるでしょう。相手のアップキープ誘発なので場に出てからすぐにダメージを与えていけますし、赤いアグロデッキで使える性能は充分に有しています。
赤の太陽の黄昏

- 構築 :★★★
- リミテッド:★★★
余程のメタにならなければメインから入ることはまず無いでしょう。基本的にはナイスサイドボードカードです。
擾乱のドミヌス、ソルフィム

- 構築 :★★★★
- リミテッド:★★★★
能力も強力、本体サイズも優秀。どうみても普通に優秀なクリーチャーなのは間違いないでしょう。これが場に居れば《稲妻の一撃》で6点ですから火力トップデッキからのリーサルもかなり現実味を帯びます。
4マナは結構激戦区ですが、このクリーチャーも充分選択肢に入る性能は持っています。
緑
沈黙を破る者、スラーン

- 構築 :★★★★
- リミテッド:★★★★★
打ち消されない能力持ちなのでそういったデッキに対しての対策カードかと思いきや、打ち消されない以外の能力があまりにも強いので普通にメインデッキに入れても充分強そうな今回のスラーン。
何気にトランプルを持っているのも偉く、緑の攻撃的なデッキに入れると確実に仕事をしてくれるクリーチャーでしょう。
飢餓のドミヌス、ゾパンドレル

- 構築 :★★★
- リミテッド:★★★
重い、デカい、強い。
そんな緑らしいクリーチャーですが「重い」の比重が大きめなので実際問題として使うのは難しそうです。せめて《ラノワールのエルフ》のようなマナクリーチャーが充実している環境なら良かったのですが、現在のスタンダードでこの重さを克服するのはなかなか厳しいかもしれません。
マルチ
迷宮壊し、ミグロズ

- 構築 :★★★★★
- リミテッド:★★★★
3マナ4/4という良スタッツに、優れた能力が備わっており普通に強いといった印象のクリーチャー。
中段の能力があることで非常にブロックし辛いので、マナを毎ターン注がなくても充分な強さを発揮してくれます。攻撃をどうしても通したい時やブロックにも回りたいといったケースにも対応できますし、現在のスタンダードでアーティファクトエンチャント破壊が有効なのは言うまでもありません。油カウンターを追加せずとも単体で充分強力なので使いやすいです。
刃砦の災厄、リーア・イヴォール

- 構築 :★★
- リミテッド:★★★
現在の構築フォーマットでは4マナ域は非常に強力なカードがひしめき合っていますが、このカードは明らかにそういった激戦区の4マナ域の中においては見劣りします。能力も戦闘開始時点でクリーチャーを選ばないといけないので自分のクリーチャーが一方的に戦闘で勝てるようなケースじゃないと使い辛いです。
場に出てすぐに能力を誘発させられるのは評価できますが、どうしても「うーん・・・」といった印象が拭えません。
無色
魂なき看守

- 構築 :★★
- リミテッド:★
どう見てもサイドボードカードですが、スタンダードだと少なくても当面の間は使わなさそうな効果です。
かと言って下環境だと《墓掘りの檻》のようなカードのほうが強そうですしあまり出番はなさそうなカードです。
土地
ミレックス

- 構築 :★★★
- リミテッド:★★★
基本的に無色ランドではありますが、アンタップインかつ一回目だけでも有色マナが出るとなると使いやすさはグッと上がります。
毒性デッキでなかったとしても受け気味なコントロールデッキに入れる土地としても悪くないと思いますし、なかなかに使いやすい土地という印象です。
まとめ
セット独自のメカニズムが光る個性的なエキスパンション


毒性、堕落、油カウンターと本セット独自のメカニズムを持ったカードが非常に多く、他のセットと比較しても個性的なセットに仕上がっているというのが第一印象です。
単体でもそれなりに強い油カウンター関連のカードと違って、特に毒性に関しては他のセットのカードと組み合わせることが難しく本セットのカードを多数採用した毒性デッキがまず間違いなくスタンダードで試されるデッキとなるでしょう。毒性はゴルガリベースが作りやすそうではありますが、5色全てに存在しており何色の毒性が活躍するのか楽しみです。
ただしその分セット全体を通して汎用性の高いカードは少なく、例えば《黙示録、シェオルドレッド》のように何に入れても強そうなカードは現状見当たらずそういった意味では強いエキスパンションかと言われると悩ましいというのが本音です。その分デッキ構築を考えさせられるカードが多くカードゲームの醍醐味を感じられるという意味では良セットだと思います。なお、装備も本セットでフィーチャーされていますがそちらは個人的には期待薄かな。。
一方でファストランドの登場は大きく、これにより更に多色デッキが構築しやすくなることで単色デッキよりも多色化のメリットのほうがますます大きくなりそうです。
油カウンターに関しては「改善」と組み合わせるのも面白そうです。そういった意味では《西の樹の木霊》あたりは今後よく姿を見るようになるかもしれません。特に最近緑は元気がなかったですが、本セットで大きく強化されそうなのでスタンダードで見る色になるかもしれません。
ただ、やはりグリクシスやエスパーといったメタゲームは大きく変わらなさそうにも思えるという印象も正直拭えません。。が、それでも新しいデッキの登場に期待したいですね。
注目カード
筆者が本セットの中からスタンダード目線で特に注目しているカードです。個々のカードの説明については個別に説明している箇所をご参考ください。注目度の高い順番で降順に掲載しています。ファストランドは省いています。










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