本記事では「兄弟戦争」を用いたリミテッド(ドラフト)の環境や、有力なアーキタイプ、カード等について考察しています。
兄弟戦争のドミナリアのリミテッド環境特徴
2色推奨環境+アーティファクトが軸となる



最近のセットでは通例になりつつあるパターンですが、この環境にも環境を示すかのようにマルチカラーのアンコモンクリーチャーサイクルが色の組み合わせ全10種全てに存在しています。
これらのクリーチャーが示すようにどの色の組み合わせであっても2色デッキが成立する環境になっています。
以下のようにアンコモンに単色を示唆するようなカードがそれぞれ各色に存在してはいますが、流石にこれらのために単色を組むという程ではありません。コモン土地に多色をサポートするカードは《進化する未開地》しか存在していないこともあり2色構築が基本。3色はタッチでもやや厳しめでボムレアが取れたとき程度が無難。1色も流れによってはありという環境と考えて良いでしょう。



加えて、特にパワーストーントークンからマナを捻出できるという仕組みを利用させるためかアーティファクトに関するカードにコストが重いカードがあったり、クリーチャーの起動コストがやたら重めに設定されているカードが散見されるのも一つの特徴です。



パワーストーンを生み出すカードは各色に存在している上に、パワーストーンを生み出すカードは普通に使えるレベルの性能を元々持っているものが多く、無理なくパワーストーンを使えるようなセットデザインがなされているのも一つの特徴です。
試作持ちはパワーストーン必須という訳ではないとは言え通常キャストなら概ねパワーストーンは必須級のコストになっており、これらのコスト重めのパワーカードをプレイするならパワーストーンを生み出す手段を合わせてデッキに入れておく必要があります。このあたりの重めのカードを使うならパワーストーンを生み出すカードも合わせてバランスよくピックしていくことが求められます。
蘇生持ちが多く墓地活用も可能
何れのカラーにも蘇生持ちクリーチャーが存在しており、墓地活用という戦術も可能になっているという特徴があります。



蘇生持ちはゲーム後半の一押しにも貢献してくれるデザインなので、これらで粘り強く攻める白赤などのアグロデッキも本環境では有力アーキタイプとなっています。
また緑は切削を持つカードも多く存在しておりそれらと組み合わせるというのもスタンダードな戦略の一つとなりますが、アンコモンにリアニメイトするスペルが存在しているのも一つ注目しておくと良いでしょう。


特に試作持ちのカードとリアニメイトスペルの相性が良く《誰も置き去りにしない》のようなカードで墓地から吊り上げると通常版として場に出てきます。試作という無理なく使えるカードがこのカードとコンボするようにも使えるのがポイントで、場合によっては狙ってみても良い組み合わせになっています。
旧枠カード/設計図カードがパックに1枚必ず含まれる
兄弟戦争にはパックに1枚確定で旧枠/設計図カードが1枚含まれるようになっています。これらはコレクター要素という側面だけでなく、パック1枚確定ともなるとリミテッドにも大きく影響を与えることとなります。



《先駆のゴーレム》のような強力なレアも勿論存在していますが、やはりアンコモン枠ともなると見かける頻度はそれなりに高くなります。
《胆液の水源》《彩色の星》といったカードアドバンテージをロスせずアーティファクトカウントを稼いでくれるカードがあったり、《自己組立機械》のように通常版にも存在する組立作業員と組み合わせるとお得なカードだったりと使えるカードもそれなりに含まれているので特別枠のカードであっても強力なカードはしっかり頭に入れておきたいです。
コンバットトリック関連
本セットの主なコンバットトリック(クリーチャー除去関連は除く)については以下の通りです。










今回はコンバットトリックの枚数自体も少な目で性能自体も控えめになっている印象ですが、蘇生も絡めてこれらのコンバットトリックを駆使したアグロデッキも強力なアーキタイプになっており決して無視できないカード達です。
緑の《巨大化》《ガイアの贈り物》2種は抜けて優秀。他のカラーだと白の《軍事規律》、赤の《旋回斬り》はコンバットトリックの中でも強力でこれらのコンバットトリックでアグレッシブに攻めるのも中々に強力な戦法です。
アーティファクトなのにコンバットトリックになる《物資投下》という変わり種なカードも存在していますが、これはアーティファクトカウントを稼げるという点で見どころのあるカードになっています。ややコストが重いので何枚も入れたくはないですが、アーティファクトカウントが欲しいときには採用してみるのも悪くありません。
なお、破壊不能や呪禁のような除去に耐性を持たせるカードが複数存在しているので、クリーチャー除去はインスタントであっても相手の土地が寝ている自分のメインターンの間に打つことも視野に入れるほうが良いでしょう。
クリーチャー除去カード関連
リミテッドでは常に重要となるクリーチャーを除去(疑似除去含む)するカード達です。


















この環境はクリーチャーも含めてアーティファクトが多いのでアーティファクト破壊もメインボードから積んでも問題ないであろう環境になっています。アーティファクト破壊に関するカードは以下になっています。



クリーチャー除去は特にソーサリータイミングのコスト重めのカードがやや目立つ印象はあるものの、インスタントタイミングのカードもありますし質も決して低くはないラインナップになっています。セットのデザインとして特にマナコストが重めのパワーカードがそれなりに目立つデザインになっていることもあり、そういったカードもこれらの除去で対処されてしまうというリスクは持っているという環境にはなっています。
赤はいつもよりコストが重めで全体的に除去の性能がやや悪いですが《採掘爆発》はパワーストーンがついてくることもありかなり優秀な一枚になっています。
アーキータイプ解説
赤白






赤白はクリーチャーを横に並べて全体強化を交えながら押し切るように戦う戦法を得意としており、それは本環境でも例外ではありません。
2マナ域からクリーチャーをドンドン展開し早期にライフを削りつつ、中後半になれば《ミシュラの猛攻》から一気にクリーチャーを強化したり《旋回切り》のようなコンバットトリックを駆使してゴリ押しする速攻デッキの構築となります。
このアーキタイプは特に2マナからクリーチャーを展開していくことが重要なので、2マナ域のクリーチャーは少なくても6枚(できれば7,8枚)は確保しておきたいところです。
クリーチャーも含め白と赤のコモンカードの質が他のカラーより一歩抜きんでている印象もあり、このアーキタイプは本環境で屈指の強アーキタイプと考えて良いでしょう。
白緑






今回の白緑はアーティファクトが場に出ることにより誘発する能力を持ったクリーチャーが多数登場しており、これらのクリーチャーとアーティファクトを掛け合わせて戦うように構築することになります。
《ヨーティアの造反者》は他のマルチカラークリーチャーと比較しても強力な効果を持っていますので、白緑なら必ずといって良いほどピックしたいクリーチャーです。
《物資投下》はこのカラーでは強く使える一枚で、コンバットトリックとして使いつつアーティファクトが場に出たことをトリガーさせるという一石二鳥な働きが期待できます。
白緑というカラーは基本的に器用貧乏なところがありいつの時代もあまり強いカラーという印象はありませんが、本環境は白も緑もコモンの質がそれなりに高いのでカラーの強さとしては中堅どころといったところでしょう。
白黒






白黒はリアニメイトが戦略の軸となっており、切削等を利用して墓地に落とした大きいクリーチャーを釣って場に出したりといった動きで戦っていくことになります。
リアニメイトするスペルには3マナ以下を対象することでボーナスが得られるようにデザインされていることもあり、必ずしも大きいクリーチャーを釣り上げるように戦わなくても良いデザインになっています。強いクリーチャーの豪快なリアニメイトだけでなく3マナ以下のクリーチャーをリアニメイトして粘り強く戦うといった方法も可能になっています。
特に《突き刺す戦耕し》のような試作持ちは序盤は普通に試作で出しつつ、後半はリアニメイトで通常の強力な状態で場に出すという動きが可能なのでこのアーキタイプにはうってつけのカードです。
ただし、どうしてもこの戦法は引きや展開に依存する部分が避けられないこともあり安定性も含めてやや戦い辛いカラーリングであることは間違いないでしょう。色の組み合わせの強さとしては下から数えたほうが早いアーキタイプではあると思います。
赤黒






赤黒お馴染みの生け贄シナジーを軸としたデッキタイプです。
パワーストーンは普通は無色用のマナ加速として用いるものですが、赤黒ではパワーストーンは生け贄のための餌としての活用も視野に入れつつ戦うことになるのは他のカラーとは一線を画すところです。
本セットでは生け贄シナジーでアドバンテージを取っていくというよりも生け贄に捧げることでパワーが上がったり、飛行等の回避能力がついたりと攻めっ気の強いボーナスを持っているクリーチャーが多いので、前のめりなデッキを意識して構築すると良いでしょう。
《拮抗する兄弟》というコモンに相手のアーティファクトやクリーチャーを一時的に奪取するカードがあるので、これでパクったカードを生け贄のタネにする通称パクリファイスな戦い方も充分狙っていくことができます。
サクリファイスデッキはカードの組み合わせのバランスが重要でそこが崩れると弱いという難しさもあり、アーキタイプの強さとしては中堅どころでしょう。
赤青






赤青と言えばインスタントソーサリーを駆使するカラー。本セットでもそれは例外ではなく、果敢持ちを筆頭にインスタントソーサリーを唱えることで真価を発揮するクリーチャーが散見されるアーキタイプになっています。
本セットではアーティファクトも多いですが、アーティファクトも(クリーチャーでなければ)果敢を誘発させることができますし《第三の道の偶像破壊者》の誘発条件から見てもアーティファクトも組み込みやすいようにデザインされているのが見て取れます。
早めにインスタントソーサリーを唱えることによるボーナスを得られるように盤面を構築していきたいので《第三の道の偶像破壊者》や軽めの果敢持ちクリーチャーの枚数をしっかり確保しておくことが重要です。
ですが果敢を中心に据えるのではなくパワーストーンを絡めてアーティファクト主体のデッキにすることも可能なのでピック受けも広いのが嬉しいカラーリングになっています。とにかく《第三の道の偶像破壊者》が鬼のように強いです。そういった要素もありこのカラーリングは本環境で強いカラーと言って良いでしょう。
青白






青白はクリーチャー部族の兵士をキーワードとして構築し、飛行クリーチャーを絡めることによる止められにくい攻めですれ違いのダメージレースを制するように戦うアーキタイプです。
青と白には兵士のタイプを参照するカードが多いので、出来る限りクリーチャータイプを兵士で統一しておくことでデッキ全体のシナジーが強くなるように構築することができるようになっています。
攻めは飛行クリーチャーが担うという側面も大きいので、飛行クリーチャーを意識して一定枚数は確保するようにしましょう。ダメージレースを制するため《機械力》のような軽めのバウンスもしっかり用意しておきたいところです。
白のコモンカードの質が高いという側面もあり、このアーキタイプも本環境で強力なアーキタイプの一つと言えます。
青黒






青黒はコントロール戦術を得意とするカラーの定番。今回のセットでもやはり中長期戦を得意としており、ゲームを長引かせつつ相手をコントロールしながらロングゲームを制するような戦い方となります。
本セットでは青黒には「1ターン中に2枚以上のカードを引いた」ことで誘発する能力を持ったクリーチャーが多数存在しているのが特徴になっています。これらのクリーチャーとカードを引く手段を組み合わせることで長期戦において相手と少しずつ差をつけていきながら戦うことになります。
また特にカードパワーが高い後半で強みを発揮するようなカードはこのアーキタイプとは好相性なので、そういった長期戦を制するための仕組みもしっかり取り入れておきたいです。
ただどうしても青のコモンカードの質が他カラーと比べると一歩劣る印象に加え、このようにロングゲームで強いデッキは速攻アグロに打ち負かされてしまうことがどうしても多くなりがちです。そして速攻アグロデッキが現状有力なアーキタイプであることもありこのアーキタイプは弱い部類に入るという印象です。
緑黒






緑黒は切削で墓地を貯め、墓地もリソース源として有効活用しつつゲームを比較的長い目で見ながら戦っていくアーキタイプです。
墓地に一定数のクリーチャーがいることにより能力を誘発するようになるクリーチャーも存在しているので、切削を駆使して墓地を一定枚数肥やしてからでないと真価を発揮しません。そのため序盤は墓地を肥やしながら耐えることが求められます。
一旦盤面さえ作れれば非常に強力なアーキタイプですが、どうしても盤面の構築に一定の時間を要することもあり構築難易度はやや高めです。ただ緑も黒もカードの質は悪くないのでアーキタイプの強さとしては中堅どころといったところでしょう。
青緑






青緑はマナ加速から大味なビッグスペルを叩きつけるランプ戦略を目指すカラーになっています。
パワーストーン等のマナ加速から大型の無色を中心としたクリーチャーを早めに展開することになるので、特にパワーストーン生み出す手段を中心としたマナ加速は重要になるため優先的にピックしていく必要があります。
ハマれば強いし上手く回れば気持ち良いものの、どうしてもマナ加速だけorデカブツだけを偏って引いてしまうこともあり安定性に欠けるのは難点です。アーキタイプの強さは本環境の最下位を争うレベルだと思いますので正直おススメはしないアーキタイプです。
赤緑






圧倒的なクリーチャーのスタッツによるパワーで相手を粉砕するのが赤緑の真骨頂です。
今回の赤緑はパワーストーンを用いることで早めに高スタッツのクリーチャーを展開することが一つの狙いとなっており、これを助長する《アルゴスの日和見主義者》《採掘爆発》の2種の優秀なコモンカードがあるのは赤緑の大きなメリットの1つと言えるでしょう。
またコンバットトリックが《ガイアの贈り物》《巨大化》《旋回斬り》のように優秀なカードが揃っているので、早期に展開した大型クリーチャーとコンバットトリックの掛け合わせによりゴリゴリに攻めていくスタイルがシンプルに強いです。
赤も緑もカードの質が高いこともあり、本環境の強アーキタイプの一つと考えても良いカラーリングでしょう。
何色が強い?
アーキタイプの解説のところで各アーキタイプ毎に強弱についてコメントを入れていますので、正確にはそちらも参照して頂きたいですが色の強弱で言えば現状は・・・
「赤>白>緑=黒>>青」
という印象で、青は単体でみると抜けて弱い印象です。
もちろん今度ある程度変わる部分はあるかもしれませんが、赤は攻めっ気の強いクリーチャー、コンバットトリック、除去、パワーストーンとバランス良く備わっており明らかに強カラーなのは間違いないでしょう。前述のようにボロスもイゼットもグルールも強アーキタイプだと思いますし、何と組み合わせても強いという印象なので赤が空いているなら積極に狙っていくのはおススメです。
各色の有力カード
以下に色別に強力なカードをまとめていますのでそちらを参照ください。

楽天市場:兄弟戦争
Yahoo:兄弟戦争
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