MTGアリーナ専用のフォーマットであるアルケミー。
テーブルトップには存在しないフォーマットであることもあり馴染みの少ない方も少なくありません。
ここではそんなアルケミーについて入門者向けに解説しています。中にはネガティブなワードもありますが、嘘偽りなく述べていますので参考にして頂けたらと思います。
アルケミーってどんなフォーマット?
アルケミーはMTGアリーナ専用のフォーマットになっており、スタンダード環境を基本としつつもカードの調整やアルケミー専用のカードを追加するといった手段を用いて環境の変化を促し、常に新鮮味のある変化に富んだ楽しみを得られることを主眼においたフォーマットになっています。(参考:公式サイトのアルケミー登場時の説明記事)
詳しくは以下の通りです。
スタンダード+アルケミー専用のカードが使えるフォーマット
アルケミーはスタンダードのカードプールをベースとして、アルケミー向けにリリースされているセットを用いてデッキを構築するMTGアリーナ専用の構築フォーマットです。
アルケミー専用のセットは基本的に実在のカードセットに合わせつつもワンテンポ遅れてリリースされており「ニューカペナの街角」に対して「アルケミー:ニューカペナ」がリリースされたり「神河:輝ける世界」に対して「アルケミー:神河」がリリースされているといった形です。現時点ではまだ歴史が浅いのでその事実はありませんが、アルケミーが続くならアルケミー専用セットもスタンダードのようにローテーションされることになります。
他にもMTGアリーナではリリースされていない統率者向けのセット「統率者:バルダーズゲート」をMTGアリーナで遊ぶために「アルケミーホライゾン:バルダーズゲート」というMTGアリーナ専用セットがリリースされるといった特殊なパターンもあります。
MTGアリーナで言えばカードプールの広さ的にヒストリックとスタンダードの中間に位置するフォーマットと考えても良いでしょう。
アルケミーではカードにバフorナーフ調整が入ることがある


デジタル専門ということを活かして、MTGのこれまでの歴史で踏み込んでいなかった領域であるリリース後のカードに対して能力を上方(バフ)もしくは下方(ナーフ)修正と呼ばれる形でカードのテキストに変更が入るのがアルケミーの大きな特徴の一つです。
スタンダード環境において少し前のカードも含めて《光輝王の野心家》《エシカの戦車》《船砕きの怪物》《食肉鉤虐殺事件》など、特定のカードが目立って活躍を見せるときがありますが、特にそういったカードはナーフ対象になりやすくアルケミーではスタンダード程には活躍していないというカードも珍しくありません。
逆にスタンダードでは全く活躍を見せていないカードをアルケミーで日の目を見れるようにしたいという開発側の思いから、意外とも言えるカードをバフ調整されるケースもあります。例えば過去には+1/+1カウンターに関するカードを持つカードだったり、ゾンビやエルフに関するカードだったりとまとめてバフ調整されるケースもあります。正直数はあまり多くないですが、このバフ調整によってトーナメントレベルの構築戦で使われるようになったカードも中には存在しています。
その他「アルケミー:バルダーズゲート」に関してはリミテッドも楽しめるカードセットになっていますが、そんなリミテッド環境を想定してカードを調整するという前代未聞な変更も行われたりすることがあります。
このバフorナーフ調整が入るタイミングは不定期ですが、アルケミーはチャンピオンシップ予選のような競技レベルのフォーマットとして使用されることもあり、特にそういった競技レベルのイベントが近いタイミングには修正が入りやすい印象があります。
スタンダードと何が違うの?
先に述べたようにスタンダードをベースにアルケミー専用カード+一部のカードのバフorナーフ調整が入ったフォーマットと聞くとスタンダードに毛が生えたようなイメージを抱くと思いますが、実際のところそれとは異なります。
その印象も間違いとまでは言いませんが、何が大きく違うのかというとアルケミー専用セットのカードが強すぎるというのが最も大きなところです。
「アルケミー:〇〇」と銘打たれたカードセットは概ねカード総数が数十枚(例としてアルケミー:ニューカペナなら30枚)とあまり多くの枚数は収録されていませんが、開発元がアルケミーの色を出したい(新しいカードを使わせたい)という意図があるためなのかスタンダードのカードよりも明らかに強めにデザインされているカードが多くあります。
スタンダードのデッキをベースとしてアルケミー専用のカードを加えたデッキもありますが、中には殆どアルケミー専用カードだらけというようなデッキもあり、実際ゲームの中心となるカードも概ねアルケミー専用カードになっています。
そのためスタンダードのゲームとは大きく異なり、良く言えばアルケミーらしさを感じることはできますが、もはやベースとなっているはずのスタンの面影がないレベルのメタゲームとなっている時も。。それくらいアルケミーとスタンダードは異なる環境となっています。
アルケミーはどんなデッキが活躍しているの?
アルケミーのメタゲームやデッキリストについては、左記の各リンク先のページに詳細を掲載していますのでそちらを参考にしてください。
アルケミーで活躍しているカードって何?
基本的に目立った活躍を見せているカードはアルケミー専用カードであり、個々の説明は割愛しますが以下のカードはアルケミーで特に目立って活躍を見せる(見せていたも含む)カードです。
なお「アルケミー:イニストラード」~「アルケミーホライゾン:バルダーズゲート」のカードを対象に執筆しています。カード画像は公式サイトから引用しています(日本語画像がないので英語版で掲載)が、調整されているカードもあり現在のテキストと少し異なる場合があります。
























アルケミーはつまらないという声も聞くけど実際どうなの?
率直に言ってアルケミーはスタンダードやエクスプローラー等の他のフォーマットと比較して人気が低いフォーマットです。その理由について考えられる点について述べていきます。
バフナーフ調整に馴染めない
MTGは紙から始まっているTCGの中でも歴史の深いゲームですが、それ故にデジタル特有のバフやナーフに馴染めないという方も多いです。


強さ故に好きというカードがあるプレイヤーも一定数いると思いますが、そんなカードがナーフされてしまうと面白味も半減してしまいます。スタンダードなら元の状態で使えるものが殆どなので、だったらスタンダードするよねって流れになるのも理解できます。開発元としてどのカードにもチャンスをもたせたいという意図があり、禁止カードもナーフして使えるようにする等も理解できるのですが、結局ナーフされたカードは殆ど使われなくなってしまうケースになるのが後を絶ちません。
しかも調整されていない版と調整されている版が同じゲーム内に混合しているというのも他ゲームとは違うところで、その点からもアルケミーを好意的に思わないプレイヤーが一定数いるものと思います。
あと個人的な意見になってしまいますが、私的に最も解せない点はナーフされた元々のカード以上に強いカードがアルケミー専用セットに散見されることです。それを見ているとナーフする意味あったの?と感じてしまうことも多く、もっとまともにバランス調整してくれたら・・・と思うことも少なくありません。
そしてアルケミーを発端としてバフナーフは始まったのにも関わらず、何故かヒストリックにまで同じように適応されているあたりも反感を持つプレイヤーも少なくありません。私的に見てもヒストリックでは修正する必要ないような内容も多いのでここは改善してほしいですね。
と、ネガティブな意見が多くなってしまいましたが、バフ調整で使えなかったカードが使えるようになるという新しい楽しさを与えてくれる部分もあります。そのため個人的には全否定する訳ではありませんが、どちらかというと面白味を感じない方のほうが多いのも事実です。
ワイルドカードがきつい
アルケミーに参入するためには実質的にアルケミー専用カードを手に入れないとキツイですが、それらのカードを手に入れるためには基本的にワイルドカードを使って手に入れることになります。
アルケミー(もしくはヒストリック)でしか使えないカードにワイルドカードを割くこと自体がそれなりに躊躇うことだと思いますが、否定的な意見が多いところはアルケミーでバフナーフ調整されたときの補填としてワイルドカードが配られないことです。
このあたりは先のバフナーフ調整と相性が悪いところで、貴重なワイルドカードを使って手に入れたカードがナーフ調整で無意味なものになってしまっては正直やる気が下がってしまうのも無理はありません。
何回もナーフしてそのたびにワイルドカードを配るというのもあれですが、このあたりはテコ入れしてほしいところです。
プレイ人口が少ない
先に述べたような理由もあってかアルケミーはプレイ人口が他のフォーマットと比べて明らかに少ないです。
プレイ人口も他のフォーマットに比べると明らかに少なく、ランクマッチをプレイしてもなかなかマッチングしなかったり、ミシック対ゴールドのようなランクがかけ離れた人とマッチングすることも珍しくありません。
それが結果的に更にプレイ人口を減らす要因になっているのかもしれません。もちろんプレイしている方も一定数おられますが、少ないのは間違いありません。
競技レベルのフォーマットに採用されることもある(このへんで無理矢理やらされている感もあるのかも)ため、そういったイベントの時にしかプレイしないという方も決して少なくは無いでしょう。
実際にプレイするとデジタル特有のカードが面白く感じることも
なかなか否定的な意見の多いアルケミーですが、実際ネガティブな側面も感じている筆者の意見としてプレイしていて面白くないということはなく、これはこれでありとは思える楽しさは持っているフォーマットだと思っています。
アルケミー(=デジタル)でしか表現できないような抽出やドラフトといったキーワード能力もそれはそれで楽しめますし、プレイしていてもMTGだという点から逸脱しているとまで感じることはありません。やはり新しいカードをプレイするのはいつだって楽しいものですし、強力なカードをプレイできるのも面白いと思います。
少なくても筆者は嫌いなフォーマットではありませんし、楽しんでプレイできています。ただ前述のような負の側面を感じることも事実です。
そのため万人におすすめできるかと言われるとそうではありませんが、少しでも興味を持った方であればプレイして楽しめるフォーマットではあると思います。
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