MTGアリーナに「団結のドミナリア」がリリースされ、それによるスタンダードローテーションから長らく環境が固定されていたスタンダードに大変革が起こり賑わいを見せています。
今回は執筆時点でMTGアリーナ実装から2日程度しか経ってしないという環境度ド初期のタイミングですが、いくつか注目のデッキを団結のドミナリアのカードにスポットをあてながら紹介していきます。後半には環境雑感として現時点でざっくばらんに現環境について感じることを述べていますので、そちらも参考にしてください。
黒単ミッドレンジ





団結のドミナリアには新スタンダードの幕開けを飾るに相応しく強力なカードが多数ありますが、中でも黒はわかりやすく強力なカードが目白押しで現在の注目カラーNO1といっても過言ではないでしょう。そんな黒いカードを存分に詰め込んだのが黒単ミッドレンジです。
《進化した潜伏工作員》やお馴染みの《しつこい負け犬》といったクリーチャーから序盤から攻撃していきながら、多数のクリーチャー除去で相手盤面を弾きつつ中後半はプレインズウォーカーや《絶望招来》で締めくくるというデッキです。デッキ自体は前環境から存在しますが、序盤を支えるカード《進化した潜伏工作員》《切り崩し》から中後半に役立つカード(《ヴェールのリリアナ》《黙示録、シェオルドレッド》)と何れのレンジにも新しいカードの恩恵を受けており、わかりやすく強力なアーキタイプになっています。
注目の《ヴェールのリリアナ》ですが、かなり使い方の難しいカードでありながらも環境も選ぶカードです。デッキ的に手札を捨てさせる効果を上手く使えるかどうかというのもありますが、生け贄効果が刺さる環境かどうかというのも重要な側面としてあります。現在の環境では《婚礼の発表》をはじめとして小粒なクリーチャーが多かったり《しつこい負け犬》のように倒しても結局奇襲でやられてしまったり、と環境的にはややアンマッチ感は強いです。個人的には後半に触れる手札を捨てさせる効果を強く使えるデッキでないと割と厳しいように思います。
《黙示録、シェオルドレッド》は生き残れば半端なく強いというクリーチャーですが《消失の詩句》が環境から消えたこと、主要除去である《冥府の掌握》はライフロスの都合からデッキに4枚は採用し辛いこと、タフネスが5あることという点から《食肉鉤虐殺事件》に巻き込まれなかったりして除去しきれずに残ることもままあります。そういった背景もあって強力なクリーチャーだと感じます。
黒単にするメリットは《絶望招来》に尽きます。《絶望招来》は使い辛くなりますが似たようなラクドスミッドレンジ、オルゾフミッドレンジといった他色をタッチしたデッキもあります。
ラクドスサクリファイス



お馴染みのラクドスサクリファイスデッキ。《命取りの論争》がローテーション落ちしたのは痛手ですが、それ以外に失ったカードは少ない上に新戦力が入ったことでこちらも注目のアーキタイプとなっています。
その新戦力は大きく《甦りし悪夢、ブレイズ》と《完成化したウェザーライト》の2枚。
《甦りし悪夢、ブレイズ》はサクリファイスデッキの新しいエース級のクリーチャーで、こちらが生け贄に捧げるのは小粒な死亡しても良いクリーチャー、宝物や血トークンのアーティファクト、軽めのデッキなので中盤以降生け贄に捧げやすい土地、ととにかく生け贄のタネに困ることがほヴぼありません。そしてかなりの割合で2点ルーズ&1ドローを成功させられるので手札切れを防ぐことにも大いに貢献してくれるのでデッキの粘り強さがグンと増しました。
《完成化したウェザーライト》はクリーチャーさせるための条件がこのデッキでは比較的容易に満たせる上、7個カウンターモードになることもしばしばあります。一度7個モードに到達するとリソース獲得能力が半端ではなく、特に除去され辛い同型対決ではこれを握っているほうが勝つくらいの展開になることもしばしばです。
この2種類自体がお互いに相性が良いというのも素晴らしく《命取りの論争》落ちで失ったリソースを得るという手段がむしろ増しているくらいに仕上がったデッキになっています。前環境以上に新環境では猶更活躍を見せるアーキタイプとなる可能性も多いにあります。
なお、似たようなコンセプトで《忘却の儀式》等を使ったマルドゥ型も存在しますが、3色土地の存在しない3色デッキは構築自体はできるもののダメージランドから受けるダメージが馬鹿にならないのでデメリットも大きく個人的にはあまりおススメはしません。
グリクシスミッドレンジ


前環境終盤で大きな活躍を見せたグリクシスミッドレンジ。こちらもデッキのパーツはローテーション落ちの影響が少なく殆ど健在なため有力なアーキタイプの1つです。
これまでに触れた黒い新戦力もありますが青黒を含む期待の新カードが《復活したアーティ》です。このカードはカードアドバンテージを稼ぐタイプのカードではありませんが、その分テンポアドバンテージを稼ぐタイプのカードです。盤面だけでなく呪文に対しても使えるという非常に小回りの利く万能感のある能力が強みで、攻めつつも相手の対処も求められるこのようなデッキには打ってつけのカードです。《キキジキの鏡像》でコピーし出せばソフトロックできるというのも強みです。
このデッキの強さは前環境でも証明済みなのであまり言うことはありませんが《しつこい負け犬》が増えたことや墓地を使うデッキが少し増えたこともあり《死体鑑定士》が環境的により強くなった印象です。


他にも上記のようなカードはこのデッキの採用候補となります。《穢れたもの、ソルカナー》は時間が経てば裏切ってしまうものの概ね裏切られる前に得られるアドバンテージでゲームを終わらせにいけますし《ローナの渦》をセットで使うと最悪裏切っても手札に戻したりすることができます。
エスパーミッドレンジ


こちらも前環境から活躍を見せているエスパーミッドレンジです。ローテーション落ちの影響も少なく現環境で有力視されているアーキタイプの1つです。
《光輝王の野心家》を失った2マナ域に入ってくるエスパーならではの新戦力が《ファイレクシアの宣教師》です。2マナ2/3絆魂で出しても良し、キッカーで出しても良しという便利なクリーチャーで、このクリーチャーを展開した後のお馴染み3ターン目《策謀の予見者、ラフィーン》はやはり強力の一言です。
ただしこのデッキにとって難点なのは《切り崩し》の存在です。早くも現環境には《切り崩し》は蔓延している状況にありますが《策謀の予見者、ラフィーン》はそれに刺さってしまうのが大きな悩みのタネと言って良いでしょう。デッキの強さ自体は折り紙つきではありますが、ミッドレンジデッキの中では《切り崩し》が一番ヒットしてしまうのでそこが環境的にやや逆風です。
一方でこのデッキは前述の《復活したアーティ》が使えるというのもメリットとしてあります。エスパーなので《常夜会一家の介入者》も使えるという競合があり、非レジェンドだったりアドバンテージをロスしない《常夜会一家の介入者》ならではのメリットもあります。ですが盤面干渉できるため何時引いても使える点と、盤面の取り合いである環境という点も踏まえると個人的には《復活したアーティ》のほうが現状強いように思います。
ジャンドミッドレンジ



ジャンドミッドレンジの中でも墓地を活用する方向にシフトしたデッキが上記のリストです。ようするに《産業のタイタン》を出すデッキというタイプですが新カードにより新しいパターンから出せるようになっています。
そのキーとなっているのは新カードである《ギックスの残虐》。どのモードも使えますがこのデッキでは3章のリアニメイト効果を有効に使うデッキになっておりこれで《産業のタイタン》を釣ってくるのが狙いです。2章と血トークンを絡めると確実に《産業のタイタン》をリアニメイトできることもあり成功率は中々の高さがあります。
またこちらも新戦力である《ウィンドグレイスの魂》で土地を伸ばせるので普通に《産業のタイタン》をキャストできる可能性も上がっています。なお《ウィンドグレイスの魂》は相手墓地の土地も拾えることをお忘れなく。《鏡割りの寓話》で捨てられている場合もありますのでそういったときには貰っておきましょう。
これらのおかげで《ヴェールのリリアナ》から《産業のタイタン》や土地を捨てるという動きもこのデッキでは強い動きで《ヴェールのリリアナ》を上手く使えているデッキの1つと言って良いでしょう。
《ギックスの残虐》自体もそうですが、やはり《産業のタイタン》はミッドレンジ相手に無双の強さを発揮するのでミッドレンジ相手には概ね有利に戦えるのがこのデッキのメリットと言えます。現在は環境的にミッドレンジが多く青いコントロールも少ないので、環境的にもマッチしたデッキとなっています。
環境雑感
とにかく黒が強く環境に黒いデッキ多数
狙って黒いデッキと紹介した訳ではないのですが、特にはいまは黒が環境に溢れているというほど黒いデッキが多く有力デッキを紹介すると必然的に黒関連ばかりになってしまったという結果です。
先に述べたように新カードに明らかに黒に強いカードが多いこと、ローテーション落ちの被害が少な目であることなどもあって現在は明らかに環境を黒が席捲していると言っても良いでしょう。
これらの黒いデッキに対して優位を取るデッキが今後出てくるのではないと思いますし、そういった黒いミッドレンジに優位に立つデッキが出てくればそれが一気に台風の目となる存在になりそうです。
アグロデッキにとっては中々に厳しい環境


《切り崩し》と《食肉鉤虐殺事件》。この2種が環境にあまりにも多いが故にアグロにとっては厳しい環境になっています。
《食肉鉤虐殺事件》は前から環境に睨みを効かせていますが、序盤に付け込む隙はあるという側面がありました。そこを補完するかのように僅か1マナでクリーチャーを対処できる《切り崩し》が加わったことで、序盤の隙が少なくなりアグロは涙目といっても過言ではありません。最近のスタンダードには無かったぐらいに優秀なカードです。
そういった背景により今回はあえて紹介しませんでしたがボロスや赤単といったアグロも環境には存在はしているものの、現在は厳しいのではないかという印象です。

破壊不能の《新ベナリアの守護者》で頑張るしかないのか・・・?
ダメージランドの枚数については慎重に


久々にスタンダードに戻ってきたダメージランドですが、優秀は優秀なものの受けるダメージが重なるとそれが敗因になりえるランドでもあり重ね引くと危険です。
これらの土地により3色デッキも構築しやすくなってはいますが、特に3色ランドが存在しないカラーリングだとどうしてもこのダメージランドの採用枚数を多めにせざるを得ません。するとそれだけでゲームに負ける要因を作ってしまうことになります。
そのためニューカペナ一家以外の3色は厳しいと個人的には感じますが、何れにしてもこれらのランドの採用枚数についてはデメリットをしっかり考えた上で使うようにしましょう。
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