3月17日(日本時刻では3月18日)に実装される「アルケミー:神河」のカードについてレビューしていきます。
アルケミー:神河全体の印象
前回の「アルケミー:イニストラード」は率直に言って強力なカードのオンパレードという印象でしたが、今回の「アルケミー:神河」は一見したところ露骨に強力と思われるようなカードは少なく「アルケミー:イニストラード」と比べるとかなり大人しくなったという印象です。
「アルケミー:神河」は使い方を問われるようなカードが多く、新しい使い方を模索して見つけたもの勝ちといったような楽しみ方ができるカードセットなのかもしれません。
次節以降でカード単位で内容を確認していきます。
白

Dragonfly Pilotが戦場に出たとき、《蜻蛉鎧機》という名前のカード1枚をあなたの手札に創出する。
Dragonfly Pilotは、パワーが2大きいかのように機体に搭乗する。
機体デッキに組み込めるようなデザインがなされていますが、機体にフィーチャーしてなかったとしても《蜻蛉鎧機》がおまけについてくる1マナ圏のクリーチャーとして使えそうなデザインになっています。とは言え白単アグロのようなデッキに入れるなら他の1マナ圏のクリーチャーを押しのけて入れるかというと悩ましいところ。
機体デッキで使うなら《有能な整備士》と比べると搭乗が3までという点はありますが、それでも大抵の機体に搭乗できるので《有能な整備士》よりも優れているということも多いでしょう。

装備しているクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
Inchblade Companionがクリーチャーにつけられた状態になるたび、この能力を持たないことを除き、Inchblade Companionのコピーであるトークンを1体生成する。この能力は、毎ターン1回しか誘発しない。
換装(2)
換装を繰り返すほど増殖していく装備品。序盤は弱いスペックになっていますが、その分中後半以降になると地味に活躍してくれるような効果を有しています。
1マナクリーチャーでもここまで中後半に強い効果を有するタイプは最近では珍しいですね。見た感じはそこまで強そうに見えない印象ではありますが、使ってみると思っていたより強いパターンのカードかもしれません。

Kami of Transmutationが戦場に出るか戦場を離れるたび、以下から1つを選ぶ。
・あなたの手札にある各パーマネント・カードは永久に他のタイプに加えてアーティファクトになる。
・あなたの手札にある各パーマネント・カードは永久に他のタイプに加えてエンチャントになる。
一見どうやって使うの?と思ってしまう効果ですが、この能力が手札の土地まで波及するという点が注目すべきところでしょう。
例えばナヤルーンのようなデッキに入れると《気前のいい訪問者》や《樹海の自然主義者》をより活かしやすくなりますし、ヒストリックならアゾリウス親和に入れると面白いかもしれません。そのためにこのためのカードスロットを割くかどうかまでは現時点で何とも言えませんが、良い使い道が見つかれば活躍する可能性はありそうです。

トークンでないアーティファクト1つかクリーチャー1体かエンチャント1つを対象とし、それを追放する。それのコントローラーは、自分のライブラリーからそれよりもマナ総量が小さいクリーチャー・カード1枚を無作為に選び、タップ状態で戦場に出す。
1マナインスタントの追放除去としては対象に取れる範囲が破格となっているカード。《剣を鍬に》を彷彿とさせるカードですね。
勿論デメリットもその分厳しいものになっていますが、相手によっては2マナあたりのパーマネントに対して唱えれば実質デメリットなしとして使うこともできそうです。というよりデメリット無しで使うという使い方でないと使いたくないカードでしょう。リスト公開制のほうが使いやすそうなカードです。

この呪文を唱えるためのコストは、あなたの手札に他のクリーチャー・カードがない場合か、あなたの手札にある他のクリーチャー・カードが《Mothrider Cavalry》という名前のカードのみだった場合、(2)少なくなる。
飛行
あなたがコントロールしている他のクリーチャーは+1/+1の修整を受ける。
効果としては非常に強力なものを有しているクリーチャー。4マナで唱えるには若干重いですがそれでも及第点はありますし、2マナで唱えられたら破格のスペックです。
ただある程度2マナで唱えられるようなデッキではないと採用し辛いように感じます。そういった意味では白単アグロのようなデッキは《審問官の隊長》とも相性が悪いですし使い辛いかもしれません。例えばクリーチャー少なめのトークンクリーチャー主体のデッキであれば相性が良さそうです。
青

対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーから、マナ総量がX以下のクリーチャー・カード1枚を無作為に、あなたのコントロール下で戦場に出す。それの基本のパワーとタフネスは永久にX/Xになり、それは永久に護法(1)を得る。
相手のデッキ依存。コストも重め。お情けのようにつけられた護法①。とてもじゃないですが使い物にならないカードでしょう。このカードが強いシーンが思いつかないです。

瞬速
この呪文を唱えるためのコストは、あなたの手札にインスタントやソーサリーであるカードがない場合、(2)少なくなる。
Saiba Syphonerが戦場に出たとき、あなたの墓地からインスタントかソーサリーであるカード1枚を対象とする。そのカードをあなたの手札に戻す。
Saiba Syphonerが死亡する場合、それを代わりにあなたのライブラリ―に加えて切り直す。
コスト軽減効果付きで唱えることが出来れば、殆ど《瞬唱の魔道士》の上位互換と言っても差し支えない性能を持っています。ただその条件を満たすことは決して容易ではありませんし、インスタント主体のデッキにとっては手札バレしてしまうというデメリットも大きいでしょう。
完全受け身のコントロールタイプのデッキに入れるのが一番良さそうに感じます。

護法②
青, カードを2枚捨てる。Experimental Pilotの呪文書からカード1枚をドラフトする。
Experimental Pilotはパワーが2大きいかのように機体に搭乗する。
ドラフトできるカードの中には《勢団の銀行破り》といった当たりと言える機体もありますが、如何せん2枚ディスカードというのは中々に厳しいコストです。ディスカードすること自体を有効活用できるデッキと組み合わせて使いたいところです。

(青), あなたの手札からHolographic Doubleを追放する:あなたの手札にあるクリーチャー・カード1枚を選ぶ、それの複写をあなたの手札に創出する。
水増しすると強いクリーチャーが多いデッキで使うといったところでしょうか。正直なところ良い使い道があまり思いつかないです。

瞬速
Futurist Spellthiefが場に出たとき、対象の呪文の複写をあなたの手札に創出する。そのカードは「あなたはその呪文を唱えるためにマナを望む色のマナであるかのよう支払っても良い」を永久に得る。
カードアドバンテージが得られる3/2瞬速クリーチャーを考えると決して悪くない性能を持っていると言えます。能力的に基本的に構えるタイプのデッキじゃないと使い辛いですが、例えば前述のSaiba Syphonerと合わせてイゼットの構えるタイプのテンポデッキあたりが作れそうな感じはしますね。

Semblance Scannerか装備しているクリーチャーがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、それがトークンでないなら、それの複写をあなたの手札に創出する。
換装(1)
能力はそこそこ強力で換装コストも安いので使いやすいような印象は受けるものの、如何せん本体が3マナ3/1という時点で使用に値するスペックではないかな・・・といったところです。
黒

カードを2枚引く。その後、あなたの手札にあるマナ総量が3以上のカードは「この呪文を唱えたとき、あなたは1点のライフを失う」を永久に得る。
黒の2マナ2ドローとしては比較的使いやすそうなカード。デメリット的に2ターン目には唱え辛そうですが、デッキの構築次第ではカバーできる部分もあるでしょう。

忍術(1)(黒)
接死
Swarm Saboteurがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、《ウイルスの甲虫》という名前のカード1枚をあなたの手札に創出する。
接死を持っているので後半でもある程度の活躍もしてくれますし、本体にダメージを通したときの効果は中々に強力です。使い道は充分ありそうな忍者です。

Kami of Mourningが戦場に出たとき、あなたがコントロールしているクリーチャー1体か、あなたの墓地にあるクリーチャー・カード1枚を対象とする。それは永久に「あなたがコントロールしていてこのカードよりもマナ総量が大きいクリーチャーが1体死亡するたび、このカードをあなたの墓地からタップ状態で戦場に戻す」を得る。
3マナ3/2という微妙なスペックのクリーチャーに微妙な能力の組み合わせ。そのようなカードは微妙と言わざるを得ません。。

対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。その後、そのプレイヤーは追加でカードを1枚捨ててもよい。そうしなかったなら、そのプレイヤーのライブラリ―にあるカード1枚を無作為に選び、それの複写をあなたの手札に創出する。それは「あなたは、この呪文を唱えるためのマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。」を永久に得る。
狙ったカードを捨てさせることはできませんが「2枚捨てさせる or 1枚捨てる+複写創出」なのでどちらに転んでもアドバンテージを得ることはできるカードになっています。普通に使っても悪くないカードですが、手札を攻めるデッキで使えば更に強力なカードとなるでしょう。

プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーはトークンでないクリーチャー1体を生け贄に捧げる。そうしたとき、あなたはカードを1枚捨ててもよい。そうしたなら、生け贄に捧げられたクリーチャーの複写をあなたの手札に創出する。それは「あなたは、この呪文を唱えるためのマナを望む色のマナであるかのように支払ってもよい。」を永久に得る。
生け贄に捧げるクリーチャーは相手が決めるので相手に依存してしまうタイプのカードです。そういったカードは総じてあまり強くない傾向にありますが、このカードは相手にクリーチャーが少数入っているデッキであれば有効に働きそうな能力は持っています。
相手から勝ち手段をこのカードで貰ってくるというデッキも面白いかもしれません。

飛行、威迫
あなたの終了ステップの開始時に、あなたの手札にある土地でないカード1枚を無作為に選ぶそれは「この呪文を唱えたとき、あなたは3点のライフを失う」を永久に得る。
デメリットは中々にきついものを持っていますが、その分本体スペックは異常の一言。攻撃的なデッキで使うと輝くデーモンです。
赤

あなたがコントロールしていて改善されているクリーチャーは威迫を持つ。
Artillery Enthusiastが戦場に出たとき、あなたはカードを1枚捨ててもよい。そうしたなら、そのカードのマナ総量に等しい点数のマナ総量を持つカード1枚を抽出する。
下段の効果はメインで使う程のものではないので、改善もある程度活用できるデッキでないと使用に値しないカードです。
赤緑の改善アグロで使うというのがもっともらしい使い方でしょう。

先制攻撃
装備しているクリーチャーは先制攻撃を持つ。
あなたのアップキープの開始時に、あなたの手札にあるアーティファクト・カード1枚を無作為に選ぶ。それは永久に「この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる」を得る。
換装(赤)((赤):これを、あなたがコントロールしているクリーチャー1体を対象としてつけるか、クリーチャーからはずす。換装はソーサリーとしてのみ行う。ついている間、これはクリーチャーではない。)
アーティファクト主体のデッキであれば充分活躍してくれそうなクリーチャー。攻撃的な性能をしているのでアーティファクト中心のアグロデッキというデッキが構築できればこのカードはエース的な活躍をしてくれそうです。

トークンでないアーティファクトがあなたのコントロール下で戦場に出るたび、あなたのライブラリ―からそれよりマナ総量が小さい土地でないアーティファクト・カード1枚を無作為に選んで追放する。次のあなたのターンの終了時まで、あなたはそのカードを唱えてもよい。
3マナ3/3なのでこのカードも前述のカードと同様にアーティファクト主体の攻撃的なデッキで使いどころがありそうなカードです。
ただ如何せん本体がただの3マナ3/3という平凡スペックなので見劣りするといった印象が拭えません。

開始時のIntensity 1
Bellowsbreath Ogreが攻撃するたび、クリーチャーかプレイヤーかプレインズウォーカーのうち、1つを対象とする。これはそれに、これのIntensityに等しい点数のダメージを与える。その後、これのIntensityを永久に1増やす
2回以上攻撃できたら破格の性能になりますが、それまでの道のりが結構遠い印象。アーティファクトであるという点が活かせるデッキであればワンチャンあるかもしれません。

クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とする。Molten Impactはそれに4点のダメージを与える。この方法で余剰のダメージを与えていた場合、次にあなたがインスタントかソーサリーである呪文を唱えたとき、クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体を対象とする。Molten Impactはそれに余剰のダメージに等しい点数のダメージを与える。
「アルケミー:神河」の中でもわかりやすく強力なカード。《轟く叱責》の完全上位互換と言っても良く《轟く叱責》も構築でしばしば使用されるカードですから、その時点で強いと言えるでしょう。
このカードを唱えた後は余剰ダメージによっては《表現の反復》といった盤面に全く影響しないカードであっても除去として機能させることもできると考えると相当優秀です。1点しか飛ばない《棘平原の危険》といったカードの除去可能範囲を広げることもできますし何かと便利なカードです。特に白単のようなサイズが小さいデッキにとってはきついカードとなるでしょう。

飛行
装備しているクリーチャーは飛行を持つ。
Forgeborn Phoenixか装備しているクリーチャーが死亡するたび、それは「あなたがコントロールしている装備しているクリーチャーがプレイヤーやプレインズウォーカーに戦闘ダメージを与えるたび、このカードをあなたの墓地からタップ状態で戦場に戻す」を永久に得る。
換装(赤)
換装コストが軽いのは評価点ですが、装備してもパワータフネスの修正が全くない上に2/3飛行というスペックなのであまり使いたいと思えるカードではないといった印象です。
最近のフェニックスシリーズは微妙な性能が多いですが、このカードも例に漏れずといったところでしょうか。
緑

Kami of Bamboo Grovesが戦場に出たとき、あなたはあなたの手札から土地カード1枚をタップ状態で戦場に出してもよい。
魂力 – (2)(緑), Kami of Bamboo Grovesを捨てる:《森》という名前のカード2枚をあなたの手札に創出する。
本体があまりにも弱いですが、1ターン目に出すか魂力か、と2つの使い方を備えているためランプデッキに入れるカードの候補にはなるでしょう。
最近はレアの土地が優秀すぎて基本地形をあまりデッキに入れなかったりしますが、このカードの魂力はデッキ内のカードは問わないという点が偉いですね。

Chronicler of Worshipが戦場に出たとき、あなたのライブラリ―の一番上から7枚のうち、無作為に祭殿カードを1枚選び、それをあなたの手札に加える。それは「この呪文を唱えるためのコストは(1)少なくなる」を永久に得る。あなたのライブラリ―を切り直す。
(T):好きな色のマナ1点を加える。
祭殿デッキに入れてくださいと書いてあるカード。確かに神河:輝ける世界にも祭殿はありますが、その祭殿は構築フォーマットで使えるレベルにはあまり達していないと思いますのでどちらかというとヒストリックで使うほうが良さそうなカードです。

Boseiju Pathlighterが戦場に出たとき、Boseiju Pathlighterの呪文書からカード1枚をドラフトする。
能力付きの土地をドラフトできるカードになっていますが、手札に持ってくるためにこのバニラクリーチャーを使うかと言われれば・・・というところでしょう。場に出せるのであれば強いですが。。

Jukai Liberatorがプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、土地カードか土地でないカードかを選ぶ。選ばれた種類のパーマネントカード1枚を抽出する。
忍術コストが安く、2ターン目から早々に能力を誘発できれば相当に強力です。《執拗な仔狼》から忍術して2ターン目に出すと流れはかなり強そうですね。

開始時のintensity1
エンチャント(土地)
エンチャントされている土地がマナを出す目的でタップされるたび、それのコントローラーはRunaway Growthのintensityの数に等しい量の(緑)を加える。その後、これのintensityを永久に1増やす。
毎ターン生み出せるマナが1増えていくというユニークな効果を持っているカード。
ただそれにしても本体のコストが4マナというのは流石に重すぎるように思います。これなら3マナでも良かったのではと思うのは私だけでしょうか。

この呪文を唱えるためのコストは、あなたの手札に土地カードがない場合、(2)少なくなる。
Forceful Cultivatorが戦場に出たとき、あなたのライブラリーから基本土地カードを1枚探し、そのカードをタップ状態で戦場に出し、その後ライブラリーを切り直す。
2ターン目に出せる可能性はあまり高くないでしょうし、4マナで唱えるには弱すぎるとなると使い辛いカードという印象が拭えません。個人的にはこれで何で神話レアなんだろうという感が凄いです。
マルチ

二段攻撃
あなたがコントロールする侍や戦士のうち1体が単独で攻撃するたび、Imperial Blademasterの呪文書からカード1枚をドラフトする。
このクリーチャー自体は2/2二段攻撃というスペックに加えて能力が有用なので優秀だと思いますが、侍というメカニズム自体がリミテッドでも弱アーキタイプに入るほどあまり強くないというのがネックです。
もう少しお供になる侍に強力なクリーチャーがいればまだ話は違ったかもしれません。
コメント
神河アルケミーは枚数も強さも控えめですよね。
正直イニストラードアルケミーを押し退けて使うほどかというと微妙。
アルケミーイニストラードはナーフされたカードより強いカードだらけという意味不明な感じでしたよね。
今回は使えるカードはいくつかあるものの前回の反省を踏まえた内容にしているのかもしれません。