【MTG】ヒストリックメタゲーム解説(2021/10以前分)

ヒストリック

ヒストリックのメタゲーム解説記事です。過去ログとしてまとめています。

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10月4週目:復活のイゼットフェニックス

Red Bull Untapped 2021のJapan Contry Stopが開催されたことで、特に日本国内ではヒストリックへの注目が集まった週となりました。

丁度前週のオンライントーナメントで《ニヴ=ミゼット再誕》デッキが活躍していたこと、そして相変わらずヒストリックの中心的な存在であるジャンドフードの2つは使用者が多そうな気配がありましたが、それ以上の使用者数を記録したのはイゼットフェニックスでした。

イゼットフェニックスはTOP8にも3つ入っており、使用者数がトップながらも勝率も高いスコアを残しています。《記憶の欠落》が禁止されジェスカイコントロールが弱体化したことも相まってトップメタに返り咲いたと言っても良さそうです。

そんなイゼットフェニックスですが、基本構造は決まっているものの現状は「細部において各個人でベストな構築を探っている」という発展途上感もある状況にあります。実際のところTOP8の3つにもそれぞれ違いが見受けられます。今週はそんなTOP8のイゼットフェニックスの構築にフォーカスを当てていきます。


イゼットフェニックスの構築の差とは結論から言うとクリーチャー選択の差というのが最も大きく違いが出てくる部分になります。

当然《弧光のフェニックス》4枚は確定なのですが《ドラゴンの怒りの媒介者》《スプライトのドラゴン》《くすぶる卵》《嵐翼の精体》《弾けるドレイク》の選択に差があります。

こちらは《くすぶる卵》を採用しており、かつ《くすぶる卵》を変身させることを念頭においているやや中長期戦に長けたタイプです。

イゼットフェニックスは確かにソーサリーインスタントを連打するのですが、何れもコストが安いこともあり《くすぶる卵》の変身条件と噛み合いが悪い部分があります。それを《大魔導師の魔除け》を採用することで補っていることも特徴的です。

《ドラゴンの怒りの媒介者》を採用しているので墓地が高速に貯まっていきます。そのため《アゴナスの雄牛》は非常に相性が良く、このリストのようにこの2枚はセットで使いたいところです。

このタイプの欠点は《くすぶる卵》により序盤の攻勢が犠牲になっている点と、サイド後には必ずと言っても良いほど投入される墓地対策に弱くなるという点が挙げられます。

《くすぶる卵》は確かに変身に成功すれば一気に勝利が近づきますが変身するまでは何もしませんし、この環境に溢れる《致命的な一押し》も刺さるため変身のためのカウンターがある程度貯まったところで除去される可能性も高いです。定番の《スプライトのドラゴン》なら速攻もあり多少のダメージは叩き出してくれることも多いですが《くすぶる卵》は裏目が大きくなりやすいです。ただし同じく環境に溢れる《稲妻のらせん》や《神々の憤怒》といった3点ダメージを耐えられるというところは特筆すべきところでしょう。《くすぶる卵》ならサイドボードに取っている《神々の憤怒》も非常に使いやすくなります。

もう一点、これは《ドラゴンの怒りの媒介者》を採用しているタイプすべてに言えますが墓地対策にやや弱くなってしまう点があります。《ドラゴンの怒りの媒介者》が存在していれば確かに凄い勢いで墓地は肥えますが、ある程度スペルを使い切った中後半ともなると流石に肥やすことは簡単ではなくなります。それぐらいのタイミングで墓地を消されてしまうと《ドラゴンの怒りの媒介者》は本体も弱くなりますし、デッキ全体が大きなパワーダウンを余儀なくされます。《ドラゴンの怒りの媒介者》の強制アタック後に墓地を消されて一方的に打ち取られるのはご愛敬。特に《安らかなる眠り》は天敵です。

相手次第では《ドラゴンの怒りの媒介者》をサイドアウトすることも視野にいれましょう。

なお、このリストは本年度の世界王者高橋選手の原案だと思います。ご本人が執筆されている記事も合わせて確認ください。

こちらのリストは《スプライトのドラゴン》《くすぶる卵》のような2マナ域を一切排除しているのが特徴です。この2種の2マナ域は強い時と弱いときに若干のムラがあるというのが気になるところですが、そういった要素を嫌ったのかもしれません。

イゼットフェニックスは1ターン目と2ターン目にあまりやることがない(その分3ターン目にはやりやいことが多い)というアンバランス感が少し引っかかるデッキであるのですが、そんな数少ない2ターン目にやれることを抜いてしまうのが少し気になるところです。その分《ドラゴンの怒りの媒介者》を入れて補っているということなのかもしれません。であれば個人的には《アゴナスの雄牛》も1枚くらいは入れたいと感じます。

その変わりフル投入されているのは《嵐翼の精体》。このカードは《渦まく知識》がリーガルだった時はその相性の良さから4枚フルで使われていましたが禁止後は採用枚数がガクッと減っています。とは言え強力なクリーチャーであることに変わりはなく《致命的な一押し》が効かないことは特筆すべきポイントで特にジャンドフードにとっては手を焼かされるクリーチャーになります。墓地対策が効かないクリーチャーとしても強く安定した強さを発揮できますから現在も有力な選択肢であるのは間違いありません。

他に気になるところとしては《プリズマリの命令》と《霊気の疾風》のメイン採用でしょう。前者の意図に関しては想像が付かなかったのですが、後者に関しては現状のメタゲームにいる大半のデッキに刺さるのでメイン投入も悪くは無さそうです。

こちらは最もオーソドックスな印象を受けます。このリストは2枚にはなっていますが《スプライトのドラゴン》を採用するタイプが現状はオーソドックスなタイプと言えるでしょう。このリストでは減らした2枚分を《弾けるドレイク》に当てているようです。

《弾けるドレイク》も墓地対策が効かない点で如何なるときにも頼れるフィニッシャーとなります。割と容易にパワー10くらいまで育つのでこのデッキでは一撃で致命的なダメージを与えることも多いです。

このデッキでは《厚かましい借り手》をメインに取っているのは少し珍しい点です。《厚かましい借り手》は汎用的に強いカードではあるのですが、特に《サメ台風》やアゾリウス/オルゾフオーラを想定してサイドボードに取ることが多いカードです。特にオーラ系のデッキにはオーラで育ってしまったクリーチャーを対処できる唯一の手段になりえます。


以上、今週はイゼットフェニックス特集としてお送りました。

なお、あまり取り上げていませんでしたが最近注目されている《ニヴ=ミゼット再誕》について筆者も実際に回してみましたが、確かに《縄張り持ちのカヴー》によって大きく強化されてはいるもののどうしてもマナトラブルやタップインにより序盤のもたつきから負けてしまうケースが避けられませんでした。回れば強いのは間違いないですが。。

回していてとても楽しいデッキなのとは裏腹に不安定な面を持つので、使用するときにはそういった面を覚悟したほうが良さそうです。私には回せる自信がないので使用を断念しました。

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10月2週目:《記憶の欠落》一時停止措置による環境の変化

10/14日付けで《ティボルトの計略》《記憶の欠落》が使用禁止となりました。《記憶の欠落》に関しては正確には一時停止措置ですが、これまでの傾向から禁止措置と言って差し違いないでしょう。

《ティボルトの計略》は以前から特にBO1で一定数見かけるカードでしたが、JumpStart:Historic後からは《混沌の辛苦》からの続唱で繋がるようになったことで安定度が比較的に増しました。と言っても《ティボルトの計略》の効果で捲れるカードそのものがギャンブル感満載なことには変わり有りません。このカードはプレイの駆け引きによるゲームではなくただのガチャ的な要素のゲームを生み出すカードだったので、勝負も運要素が大きすぎて勝とうが負けようがやられているほうも不快感が相当に高いものでしたから個人的にはこの禁止は大歓迎です。というより「やっと禁止になったか」というのが正直なところです。

他にもJumpStart:Historicで実装されたデジタル専用のカードにアッパー調整が入ったり《夕暮れヒバリ》と望ましくない引き分けを「永久に」の除去を相手にだけ入るよう調整が入りました。ただこちらはそこまでメタゲームそのものに影響することはあまりないでしょう。


つまり今回の改訂はアッパー調整を除くと、不快なゲームをもたらす要素を排除するものであると言えます。ある一つのカードを除いては。当然ながらそのカードは《記憶の欠落》です。


《記憶の欠落》は青いディフェンシブなデッキには必ずといっても良いほど採用されていたカードで、特にヒストリックのベストデッキと言って間違いないジェスカイコントロールの躍進を担うカードの1つだったのは間違いありません。2マナで確定で一時凌ぎの打ち消しが出来るのは時間を稼ぎたいデッキにおいてこの上ないカードです。《ドミナリアの英雄、テフェリー》を出したターンでも確実に相手の脅威に構えられるというのは強力すぎる組み合わせでした。

他にも《不屈の独創力》デッキといったデッキでも使用されていましたが、勝率の高かった青いコントロールを狙った措置なのは間違いないでしょう。この禁止措置によって特にジェスカイコントロールは弱体化を余儀なくされます。と言っても《検閲》のように変わりのカウンターがない訳ではないので完全にTier1から落ちるという訳ではないと思いますが影響は決して小さくないでしょう。《渦まく知識》もそうでしたがストリクスヘイヴン以降強くなりすぎた青いデッキが徐々に弱体化させられているという形です。

現在のヒストリックはジェスカイコントロールを除くと「ジャンドフード」「白単等の人間デッキ」がやや頭一つ抜け出しており、そこから「セレズニアカンパニー」「オルゾフ・アゾリウスオーラ」「シミックマーフォーク」「不屈の独創力コンボ」「イゼットフェニックス」「ラクドスアルカニスト」等々、色々なアーキタイプがひしめき合っています。

この中を見ると多くのデッキに優位が取れる「ジャンドフード」は今回の改訂により更に有力な選択肢となったと考えても間違いではないように思います。

スタンダードが落ち着いてくれば次はヒストリックのシーズンに入ってきます。10月末のアリーナ予選ウィークエンドはヒストリックですし、10/23に行われるRedBullUntapped国内イベントもヒストリックです。イベントに参加される方はしっかり調整していきましょう。

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9月2週目:環境に現れた2つの部族

「Jumpstart: Historic Horizons」導入後にはじめて開催された大型イベントとしてSCGチャンピオンシップ予選がヒストリックで行われました。またMTGアリーナオープンもヒストリックで開催されたことから特にヒストリックに注目された週末となりました。

これによって「Jumpstart: Historic Horizons」がもたらした環境への変化が浮き彫りになってきました。

前週記載していたようにやはりジェスカイコントロールがトップメタなのは揺るいでおらず、そのジェスカイコントロールも《大魔導師の魔除け》を4枚フルで採用することでその恩恵を受けています。

どのモードも強力ですが、中でも1マナ以下のパーマネントを奪えることでメインでは対処できなかった猫かまどのパーツである《魔女のかまど》に触れるようになった等、痒い所に手が届くようになりました。特にジャンドフードへの相性はこれにより向上したと言えます。

ただ今週最も注目を集めたのは「Jumpstart: Historic Horizons」によって登場した2つの部族でしょう。それはマーフォーク人間です。

マーフォークは昔から青いデッキに強いアグロデッキとしての立ち位置を確立している感のあるデッキで、それはヒストリックでも例外なく特にジェスカイコントロールには滅法強いデッキとなっています。特に破壊不能と護法に加えてドロー能力まで備える《海と空のシヴィエルン》はジェスカイコントロールにとって天敵です。

またロードクリーチャーが3種類もいることで打点が高いのも特徴的で複数ロードが並んだときの爆発力は目を見張るものがあります。また強引にクリーチャーをタップして押し込むことも可能で見た目以上に攻撃的なアグロデッキです。しばらく人気となりそうなデッキです。

人間デッキは「Jumpstart: Historic Horizons」で登場した《サリアの副官》を中心に《エスパーの歩哨》と《イーオスのレインジャー長》によって成立した部族デッキです。白単で構成しているものもありますが、アブザン(白黒緑)型のほうが好成績を残している印象です。

《エスパーの歩哨》と《スレイベンの守護者、サリア》によって非クリーチャースペルを自然と妨害することに加えて《イーオスのレインジャー長》の能力や《精鋭呪文縛り》によって《神の怒り》といったスペルも遅らせることが可能でコントロール相手に一定の耐性を持っています。コントロールに限らずオーラデッキにとっても悪夢の組み合わせです。

そして何より《サリアの副官》の存在がアグロデッキとしての攻撃力を支えており攻守ともに抜かりのない構成となっています。《サリアの副官》は一気に自軍のサイズを膨れ上がらせることができるので脅威の一言です。

この2つの部族デッキはジェスカイコントロールに対して待ったをかける形でメタゲームが形成されました。こうなるとやはりあのアグロキラーデッキも頭角を現してくることになります。それは先週おすすめデッキとも述べていたジャンドフードです。

上記はアグロデッキを狩り倒し見事にSCGチャンピオンシップ予選を優勝したリストです。優勝者は一度もジェスカイコントロールにマッアップせず9割型アグロデッキとマッチするという幸運も後押ししたのは間違いないでしょうが、目を引くのは《貪欲なるリス》の採用です。

ガチョウを普通に使っているだけでも大きくなりますし猫かまどが成立すると猛烈に巨大化していきますので、シナジーが要求されはするものの不足していたパンチ力を上げてくれるだけでなく、マナがかかりはしますが《パンくずの道標》の変わりとして食物からアドバンテージを稼ぐことも可能です。変わりに抜けたのは《悲哀の徘徊者》で特に《初子さらい》が使い辛くなりますが《致命的な一押し》型であればそれも気にはなりません。

《悲哀の徘徊者》も優れている点も多いので《貪欲なるリス》が今後の定番になるかどうかはまだ断言できませんが、要注目のカードであることは間違いないでしょう。

やはりこのデッキはアグロデッキが流行ると必ず浮上してきます。特に人間デッキはサイドに《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》を多めに積むようになってくるかもしれませんね。



このようにヒストリックはジェスカイコントロールを狩るアグロ、アグロを狩るジャンドフードと見事までに三すくみな環境になっています。特にジャンドフードはまた数を伸ばしそうな気もしますので対策はしっかり行っておきましょう。

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9月1週目:Jumpstart: Historic Horizons導入後の環境は?

「Jumpstart: Historic Horizons」がMTGアリーナに実装されたことで、少なからずヒストリックのメタゲームに影響を与えています。

まだ導入されてから日が浅くどういったメタゲームに進んでいくのかが予想しきれないところはありますが「Jumpstart: Historic Horizons」で強化されたデッキはいくつかあり、その中でもセレニズアカラーのデッキは特に恩恵を受けている印象です。

8月末の「Jumpstart: Historic Horizons」リリース直後にヒストリックで開催されたイベントではセレズニアのデッキが活躍していました。そのイベントについての紹介は今年度の世界選手権に出場される高橋選手が記事を執筆されていますのでそちらを確認されることをおすすめします。

他には直近でヒストリックの大型イベントは開催されていないこともありヒストリックのメタゲームはあまり進展はありませんが、今週末にはヒストリックでMTGアリーナオープンが開催されることもあり、ヒストリックに注目が集まっているところです。

そこで今週末のMTGアリーナオープン向けにメタゲームの予想とおすすめする(BO3の)デッキについて考察していきます。

まず、ヒストリックで最も警戒すべきデッキなのはジェスカイコントロールで間違いないでしょう。

ジェスカイコントロールは「Jumpstart: Historic Horizons」で受けた恩恵は殆どありませんが、現在のところ「Jumpstart: Historic Horizons」によって強化されたデッキがTier1になる程であるとは思えません。そういった背景もあり「Jumpstart: Historic Horizons」リリース前のトップメタデッキであるジェスカイコントロールが引き続きもっとも人気となるデッキであろうことは想像に難くありません。

「Jumpstart: Historic Horizons」で強化されたであろうセレズニアのようなアグロに対しても《神の怒り》といった回答を持ち合わせているのも、このデッキの人気を支え続ける理由の一つです。どのデッキにも対抗できる強さがウリです。オパス型、サメ型などのバリエーションはありますがジェスカイカラーのコントロールデッキがトップメタと言えるでしょう。

ただ、どのデッキにも対抗できるということは、どのデッキを意識したデッキ構築とするかということに注意しないといけないというデメリットもはらんでいます。同型と対アグロでは効果的なカードが全然違ってくるため、使用する場合にはそういったメタ読みも重要な要素になります。



全体的なメタゲームとしてはジェスカイコントロールから、セレズニアアグロ(カンパニー)、ジャンドサクリファイス、オルゾフ/アゾリウスオーラ、黒単アグロ・・・あたりが続いてくるであろうと思われますが、管理人がMTGアリーナオープンでおすすめするのはジャンドサクリファイスです。

ジャンドサクリファイスも「Jumpstart: Historic Horizons」での恩恵は受けていませんが、ジェスカイコントロールには殆ど5分でありながらアグロをはじめとした他のデッキもろもろに強いというのがおすすめする理由です。特にアグロに強いというのはMTGアリーナオープンではおすすめできる要素だと思っています。

MTGアリーナオープンは参加条件不問という点もあることから様々なデッキにあたることが多く、特にアグロデッキはそこそこ多い印象です。勿論アグロだけを意識するべきではありませんがジャンドサクリファイスは現ヒストリックの中ではデッキパワーも相当高い部類に入りますので、MTGアリーナオープンという環境下では高い勝率が見込めるデッキの一つだと思います。



あと、これはメタゲームという観点ではありませんが「Jumpstart: Historic Horizons」で可能性を感じるのは《ドラゴンの怒りの媒介者》です。

このカードの強さ自体は下環境でも証明済みではあるのですが、特にイゼットフェニックスの復権に関係するかどうかに注目しています。

イゼットフェニックスは《渦まく知識》の禁止の影響を大きく受けたデッキでそれから鳴りを潜めてはいますが《渦まく知識》の禁止だけでデッキそのものが壊滅してしまった訳ではなく、デッキのパーツ自体は健在です。

《ドラゴンの怒りの媒介者》は間違いなくイゼットフェニックスに噛み合う素晴らしいカードで、《渦まく知識》不在の穴を他のキャントリップスペルで埋めつつ、このカードを採用することでメタゲームに復帰してくる可能性はあるかもしれません。そういった構築にチャレンジしてMTGアリーナオープンに臨むのも良いかもしれませんね。


いよいよ「Jumpstart: Historic Horizons」リリース後に本格的に動き出すヒストリックに今後も注目です。

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7月3週目:フォーゴトン・レルム探訪リリース後も青いヒストリック

フォーゴトン・レルム探訪がリリースされましたが、ストリクスヘイヴンのミスティカルアーカイブのようなヒストリックに大きな影響を与えるカードは殆どなく、リリース後もヒストリック環境への影響はなさそうです。

実際に今週行われたInsight Esportsのヒストリックイベントを見てみると、ストリクスヘイヴンリーグウィークエンドと何ら変わらないメタゲームが展開されています。

イゼットフェニックスがトップメタであることは勿論、続くデッキはアゾリウスオーラジェスカイコントロールディミーアコントロールジャンドフード・・・と現在のヒストリックはとにかく青を中心とした環境となっています。

そんな中「Insight Esports Presents: Tier 1 $5,000 Historic Open」を優勝したのはジェスカイコントロールだったのですが、デッキリストを見ると正にこの青い環境を有利に戦い抜くためのリストとなっているのです。

基本的にはオーソドックスなジェスカイコントロールなのですが、メインボードに3枚入っている《パルン、ニヴ=ミゼット》は注目に値します。

パルン、ニヴ=ミゼット|カードギャラリー|マジック:ザ ...

打ち消されず、場に出て一度生存すると尋常ではないくらいのアドバンテージ差をつける《パルン、ニヴ=ミゼット》は青同士の対決において切り札となるカードです。

実際、このデッキ以外のTOP8を見るとイゼットフェニックス、ジェスカイコントロール、ディミーアコントロール、アゾリウスオーラとなっており、アゾリウスオーラ以外には非常に効果的なカードであるため《パルン、ニヴ=ミゼット》は相当活躍したことでしょう。

特に規模がそれなりに大きいトーナメントにおいてこういった相手によって強さが大きく変わるカードを採用するのは中々に怖いことでもあるのですが、青いメタゲームに対して一歩踏み込んでこういったアプローチを取ったことが優勝という結果をもたらしたことでしょう。素晴らしいデッキリストとなっています。

ですが、やはりヒストリックの本命デッキは以前としてイゼットフェニックスであることに変わりはありません。勝率も抜きんでていますしヒストリックの最強デッキあることは明らかでしょう。

イゼットフェニックス一強とまでは言わないですが、デッキの地力が非常に高いのでMTGアリーナのランクをとにかく上げたいという目的であればヒストリックでイゼットフェニックスを使うというのはおすすめする方法の一つです。イゼットフェニックスを使いこなすことが出来ればミシックランクには比較的容易に到達できると思います。

ヒストリックは青いデッキ、もとい実質《渦まく知識》が支配している環境であり、禁止等の措置がない限りはこの青い環境が当面続きそうです。

追記)

《渦まく知識》ですが上記更新後、早速使用禁止となりました。

加えてヒストリックは8/13頃に「Jumpstart: Historic Horizons」というヒストリック専用のカードが実装される予定となってます。これらのカードは相当強力なカードが含まれそうなので、環境が大幅に変わることは間違いありません。

そのため次回は「Jumpstart: Historic Horizons」リリース後に本記事を更新する予定です。

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7月1週目:ストリクスヘイヴンリーグウィークエンド

ストリクスヘイヴンリーグウィークエンドが行われました。このウィークエンドでは良くも悪くもイゼットフェニックスに注目されていたことでしょう。

両リーグのヒストリックフォーマットのメタゲームは以下となっています。

両リーグ合計では、やはり注目のイゼットフェニックスが使用率TOPでおよそ3割。続いてやや予想外とも言えるディミーアコントロールが約17%。ティムール不屈の独創力、黒単アグロ、アゾリウスオーラ、バントカンパニーが続いているメタゲームとなっています。

イゼットフェニックスは誰しもがトップメタという認識ですが《時間のねじれ》禁止改定後には環境を支配するであろうと想像されていたほどには現状至っていません。

イゼットフェニックスが強いデッキなのは間違いありませんが、いくら強いデッキであってもマークが厳しくなると辛いのは当然です。《不屈の独創力》デッキやアゾリウスオーラあたりはイゼットフェニックスを倒すために存在しているといっても過言ではないくらいです。

そういったように少しずつメタゲームの偏りが薄くなってきたことで「イゼットフェニックスを使うのか」「イゼットフェニックスを倒すのか」「イゼットフェニックスを倒しにきたデッキを倒すのか」というアプローチの選択が生まれてきます。

ざっくりですが、イゼットフェニックスを倒すデッキとしては「アゾリウスオーラ、《不屈の独創力》コンボ、バントカンパニー」、イゼットフェニックス以外を倒すデッキとしては「ディミーアコントロール、黒単アグロ」あたりとなるでしょう。

そんな各デッキですが、デッキ毎の勝率を統計したところ以下となっていました。なお、各アーキタイプ毎の勝率内訳についてはデータが取れていないので未掲載です。

Arche TypeTotal
WinRate
Deck
Count
% OF FIELD
Izzet Phoenix51.2%1429.2%
Dimir Control56.3%816.7%
Temur Creativity40.0%510.4%
Mono-Black Aggro41.7%48.3%
Azorius Auras54.2%48.3%
Bant Campany54.2%48.3%
Jeskai Control50.0%36.3%
Selesnya Campany58.3%24.2%
Izzet Creativity50.0%12.1%
Five-Color Niv-Mizzet16.7%12.1%
Esper Control66.7%12.1%
Temur Aetherworks33.3%12.1%

各デッキの勝率を見ていると思っていた以上に現在のヒストリックはバランスが取れているのかもと思わされる結果となっています。

中でもやはり注目は高い勝率を収めているディミーアコントロールでしょう。

ディミーアコントロール

イゼットフェニックス以外を倒しにきたデッキと形容はしましたが、イゼットフェニックスを相当に意識したデッキリストにはなっています。

イゼットフェニックスには裏目のない除去として《破滅の刃》が採用されており、その他の除去も追放する効果を持つものを意識して取られています。また《覆いを割く者、ナーセット》をフルで採用することでナーセットを守ってイゼットフェニックスを機能不全にすることで勝ち行くプランを取っています。

全体的にカウンターよりもクリーチャー除去を多めに取って盤面を意識する構築となっています。これによりアゾリウスオーラや《不屈の独創力》といったデッキにも有利に戦うことができるようになっていますので今回の好成績も納得がいきます。まさにいまのメタゲームを読みきった構築が光ります。

メタゲーム上のデッキ全体を通してみると、ここまで意識されていながらもやはりイゼットフェニックスは比較的好成績を残していますから今後も当分の間はトップメタであり続けるでしょうが、私の考えとしては今回不在だったものの今後伸びそうなデッキとしてジャンドサクリファイスを挙げます。

ジャンドサクリファイスはイゼットフェニックスが不利なのですが、それ以外のデッキには大抵有利がつきます。今回使用率の高かったコントロールデッキ、黒単アグロ、アゾリウスオーラ、バントカンパニー、といったデッキはすべからずジャンドサクリファイスのほうが有利なのです。

そのためイゼットフェニックスの使用率が下がってくるほどにおすすめするデッキの一つです。対イゼットフェニックスには飛行クリーチャーを対処できるカードを厚めに取りたいところですね。

そして、もうすぐ「D&D:フォーゴトン・レルム探訪」がリリースされますが、ヒストリックに関してはストリクスヘイヴン(ミスティカルアーカイブ)ほどの影響はないであろうと思わるものの、このメタゲームに一石を投じるカードが現れるのかどうか注目しています。

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6月3週目:イゼットフェニックス包囲網

ストリクスヘイヴンチャンピオンシップで圧倒的なパフォーマンスを見せたジェスカイターンはキーカードである《時間のねじれ》が早々に使用禁止措置を取られたことにより、またもメタゲームが大きく揺れ動いています。

とは言うものの、この改定でより顕著になることは当然イゼットフェニックスが更なる支配を見せるであろうということです。ジェスカイターンはイゼットフェニックスのアンチデッキという側面も大きかったので、ジェスカイターン亡き後はイゼットフェニックスにどうやって対抗するのかというところから使用するデッキを考える必要があるのは誰の目からみても明らかです。

そのようなメタゲームの中、どのようにしてイゼットフェニックスに対抗するのかに注目して今週の結果を見ていきたいと思います。

今週はそこまでサンプリング数は多くはありませんが、Insight Esportsのヒストリックのイベント結果を確認していきます。

トーナメントのメタゲームと勝率を集計した結果、使用率としてはイゼットフェニックスがトップメタ、次点でジェスカイコントロールとなっていますが、これは予想通りの結果なのでその他のデッキに着目していきたいと思います。

「Insight Esports Tier1 $5000 Historic Open」を制したのはイゼットフェニックスではなくアゾリウスオーラでした。

アゾリウスオーラ

オーラデッキはここしばらく黒白のオルゾフカラーが主流となっていましたが、ストリクスヘイヴンチャンピオンシップで一部のプレイヤーがアゾリウスオーラによりイゼットカラーに対抗できることを証明してからはアゾリウスカラーが増えてきました。そして今回はイゼットフェニックスやジェスカイコントロールといった青赤のデッキが圧倒的にトップメタとなることは誰の目から見ても明らかであるため、このデッキを選択することは理にかなっていると言えるでしょう。

イゼットカラーの除去は基本的に火力なのでオーラでサイズが大きくなってしまうと手が付けられず、また破壊不能を持つクリーチャーも対処することが難しいです。オルゾフと比べるとアゾリウスオーラはクリーチャーを強化するという意味でのオーラの質に優れており、飛行を容易に付与できるため《弧光のフェニックス》に対処しやすく、またダメージレースはライフリンクにより優位に立つことが出来ます。またサイドから投入される《紺碧のドレイク》はプロテクション赤により火力や赤いクリーチャーには無敵であるため、対赤という観点から見るとオルゾフよりも優れていると言えるでしょう。

実際、今週の勝率は対イゼットカラーに圧倒的な数値を叩き出しています。これが環境のベストデッキという訳ではないと思いますが、現在のメタゲームにおいては良い選択の一つであることは間違いなさそうです。

そして、他にもこれとは違ったアプローチで打倒イゼットフェニックスを試みたデッキが登場してきています。

デッキ名はイゼットコンボとなっていますが《時間のねじれ》が抜けたジェスカイターンとも言えるデッキとなっています。

基本構造はジェスカイターンとほぼ同じで、メインはカウンター無しのイゼットフェニックスには容易にコンボを決めることができ、サイド後には打ち消しに強いカードを多めに取るというアプローチでイゼットフェニックスに対抗するデッキとなっています。

ジェスカイターンはコンボを決めた後にターンを相手に返さないままゲームを決めてしまうという点で隙を少なくしていましたが、このデッキに関してはそういった立ち回りが出来ないため速度も早いイゼットフェニックスにどこまで対抗できるのかはまだ何とも言い切れないのですが、イゼットフェニックスに対するアプローチとしては注目すべきデッキです。上記は2色ですが、3色にして《星界の大蛇、コーマ》を使用する形も存在しています。

今週の勝率を見る限りではジェスカイターン程はイゼットフェニックスに有利を取れていなさそうにも見えますが、まだまだ今後にデッキが洗練されている可能性もありそうです。

さて、このように散々対策されているイゼットフェニックスなのですが、それでも今週は圧倒的に高い勝率を残しています。やはり現在のヒストリックの中でも最強との呼び声が高いこのデッキは簡単には攻略出来なさそうですが、今後も当面環境を支配していくことになるのか注目です。

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6月1週目:ストリクスヘイヴンチャンピオンシップ

競技シーンでは今シーズン最後となるチャンピオンシップであるストリクスヘイヴンチャンピオンシップが行われました。

特にヒストリックはイゼットフェニックスが圧倒的なトップメタと予想されていた中、参加者がどのようなデッキを持ち込むのか注目されていました。メタゲームとしては以下の通りとなっていました。

Strixhaven-Championship-Historic-Metagame.jpg

やはりイゼットフェニックスが圧倒的な使用率を叩き出しています。この参加者数でここまで支配的な数値となったのは直近では珍しいのではないでしょうか。ただどちらかと言うと注目なのはイゼットフェニックスを使わなかったプレイヤーがどのようにイゼットフェニックス攻略を行ってきたのかということです。

使用率で少し意外だったのはジェスカイターンが2番手であったことでしょう。多くのプレイヤーはジェスカイコントロールのほうが多いと思っていたのではないかと思います。

ジェスカイターンは《ヴェロマカス・ロアホールド》を《不屈の独創力》によりコストを踏み倒して唱えることと《ミジックスの熟達》で《マグマ・オパス》のコスト踏み倒し兼、オーバーロードという必殺技を兼ね備える比較的大味な動きをするデッキです。戦前では少なくてもサイド後はイゼットフェニックスに不利なのではないかと思われていたのですが、やはりジェスカイターンを持ち込んだトッププロの調整力と着眼点、およびプレイングは伊達ではなくイゼットフェニックスに大きな勝ち越す結果を残しています。

メインは打ち消しが少ないイゼットフェニックスにはコンボを決めることが容易なため有利。サイド後には火力で除去されやすい《ヴェロマカス・ロアホールド》を《原初の潮流、ネザール》に差し替えるプレイヤーが多くいました。イゼットフェニックスでは《原初の潮流、ネザール》を除去することはほぼ不可能ですし、インスタントやソーサリーを連打するイゼットフェニックスでは大きなアドバンテージをすぐに取られてしまいます。

イゼットフェニックスはサイド後に打ち消しが増えるとは言え、ジェスカイターン側も除去が増えることで盤面を裁かれやすくなります。裁かれてしまうとどうしてもクリーチャーを展開するためにタップアウトのリスクを取ったプレイをせざるを得ないターンが生まれやすくなるため、その隙を狙ってジェスカイターン側がコンボを決めやすくなります。長期戦になってもカートパワーの都合でイゼットフェニックスが不利であることもあり、サイド後もイゼットフェニックス側が厳しい戦いを迫られがちになります。こういったようにしっかりジェスカイターンを磨いてきたプレイヤーが結果を残しており、決勝ラウンドもジェスカイターンのミラーマッチ。正に本大会の勝ち組と言えるでしょう。

とは言え、イゼットフェニックスもこれほど意識されているにも関わらずジェスカイターン以外の殆どのデッキには勝ち越しているあたり、引き続きトップメタの一つであることは揺るがなさそうです。

しかし最も注目すべきはほとんど青いデッキが環境を占めてしまっていることです。これは概ね《渦まく知識》が引き起こした結果であると言えます。

渦まく知識
諸悪の根源?

ヒストリックの青いデッキは軒並み《渦まく知識》を採用しています。《渦まく知識》は一見地味ではあるのですがヴィンテージで制限カードとなっているくらい強力なカードで、恐らくヒストリックではお供のフェッチランド(=ライブラリシャッフル手段)が使えないために現状は使用が許可されているのではないかと思います。このカードが真価を発揮するためには戻したカードのリセット手段が必要なのですが《寓話の小道》というシャッフル手段があるだけでなく《表現の反復》とも相性が抜群なのです。それが青いデッキ・・・もとい青赤デッキだらけになっている要因でもあります。

ストリクスヘイヴンの最強カード

《渦まく知識》は安定性とアドバンテージのどちらも得られる強力なカードであり、ヒストリックのカードパワーでは青くないデッキはハンデを背負ってる感も少し感じてしまうくらいです。そのため《渦まく知識》に関しては使用が禁止されてもおかしくないように思います。これがリーガルなら暫くヒストリックは青一色になりそうです。管理人はあまり禁止肯定派ではないのですが、いまのままだとバランスが悪いとは思います。

そういった意味でもヒストリックの動向は今後も注目されるところです。イゼットカラーの支配は今後も続くことになるのでしょうか。

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5月5週目:イゼットフェニックスの圧倒的な強さ

先週にオラクルパクトのキーパーツである《タッサの神託者》が大方の予想通り禁止となったことでまたヒストリックのメタゲームが大きく動いています。

オラクルパクトが禁止された後はイゼットフェニックスが有力デッキとなるであろうというのも、大方予想されていたことなのですが今週の勝率を見るとその予想は間違いではなかったようです。

今週はヒストリックの大会が多く開かれましたが「Insight Esports Presents: Historic $2,000 Invitational Qualifier」「CFB Pro Showdown May 2021」「Hooglandia Historic Open」の3つのヒストリックフォーマット大会の内、特に CFB Pro ではトップ8中4つ、 Insight Esports ではトップ8中5つイゼットフェニックスという圧倒的な強さを見せています。CFB Proではイゼットフェニックスは優勝は逃しているものの、Insight Esports ではワンツーフィニッシュを飾っています。「Hooglandia Historic Open」に関してはイゼットフェニックス自体が少数派で、他とは少し違ったアグロ寄りのメタゲームとなっていました。

イゼットフェニックスは一見墓地対策されるとかなり厳しいデッキのように見えるのですが、実は墓地対策されてもその上から勝つパワーを秘めているデッキです。確かに墓地対策は有効なのですが《スプライトのドラゴン》《嵐翼の精体》《弾けるドレイク》には無力ですし、かつこれらのクリーチャーもイゼットが繰り出す手数の多いスペルの数々により強烈な打点を叩き出します。またイゼットフェニックスは後半にも強く、《信仰無き物あさり》《渦まく知識》《表現の反復》といったドロースペルの数々により中々息切れすることもないという点がないのも強みの一つです。

《信仰無き物あさり》や《渦まく知識》が使えるので、モダンのイゼットフェニックスよりもヒストリックのイゼットフェニックスのほうが強いという事実が何とも恐ろしく感じますね。

「CFB Pro Showdown May 2021」は優勝デッキがジャンドフードで、リストを見ると《初子さらい》が全て《致命的な一押し》に置き換えられているあたり環境をしっかり読んでいる素晴らしいリストとなっています。《初子さらい》はイゼットフェニックス相手には《スプライトのドラゴン》しか対象に取れないこともあり、現在のメタゲームであれば《致命的な一押し》のほうが適切であると言えるでしょう。ただジャンドフードは飛行を止める手段に乏しくイゼットフェニックスとはやや相性が悪いデッキではあります。メイン戦だとタフネス3という点で《波乱の悪魔》が処理され難いので《波乱の悪魔》がしっかり引ければ良い勝負が出来る流れにはなります。(イゼットは2点火力が中心)

イゼットフェニックスに続くデッキとしてはほぼ間違いなくジェスカイコントロールでしょう。ジェスカイコントロールは《マグマ・オパス》を踏み倒して唱える《マグマ・オパス》型と、純コントロールとも言える《サメ台風》型の二つに構成が分かれています。オパス型よりもサメ型のほうがイゼットフェニックスには有利に戦えるように見受けられますので、サメ型のほうが少し多いような印象です。デッキの強さもそうですが、コントロールデッキ自体が好きなプレイヤーも多いですし、そういった意味でも今後も活躍するデッキとなりそうです。いま現在のヒストリックはジェスカイコントロールとイゼットフェニックスの2強環境とも言えるでしょう。

他にもヒストリックは相変わらず多くのデッキが存在しており、ジャンドフード、セレズニアカンパニー、ラクドスアルカニスト、ジェスカイターン等があります。そんな中、今週末にはいよいよストリクスヘイヴンチャンピオンシップが開かれます。2強が中心となるメタゲームにはなりそうですが、順当にこの2強が勝ち上がるのか、もしくは他の既存デッキが勝ち上がるのは、はたまた今週はあまり活躍しなかったヒストリックアンソロジー5のカードを使ったダークホースが出てくるのか、注目です。なお、管理人もストリクスヘイヴンチャンピオンシップに出場予定です。勝ち負けはともかく楽しみたいと思います。

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5月3週目:オラクルパクト一色のリーグウィークエンド

ストリクスヘイヴンリーグウィークエンドが行われました。両リーグのヒストリックフォーマットのメタゲームは以下となっています。

《汚れた契約》と《タッサの神託者》の2枚コンボを主軸としたオラクルパクト。青黒と青黒赤の2つのカラーリングはあるものの同一タイプのデッキであり、合計すると両リーグ共に50%オーバーという圧倒的な使用率となっています。デッキの存在は以前から認知されていたものの、そのデッキパワーが認知されるやいなや先週頃から一気に普及したデッキです。ヒストリックは多くのデッキが存在しておりデッキ相性も各々異なるという(一言で言うとカオスな環境)特徴があり、ここまでの使用率を見せたデッキというのは殆ど前例がありません。ちなみに、カラーリングの違いは主に土地が理由になっていて、ハイランダーデッキという都合上2色だとタップイン土地が多くなってしまうというものです。

そして、いつもの勝率まとめは各選手の詳細な勝敗がわからないので集計できていませんがオラクルパクトの使用者は総じて好成績を収めているようです。とうとう群雄割拠のヒストリックで圧倒的トップメタデッキが現れました。

・・・が、おそらく《汚れた契約》は禁止になるのではないかなぁ・・・と思われます。勿論確定ではありませんが、最速3ターン決まるコンボで、かつ手札破壊か打ち消し以外で対処出来ないという環境を歪ませる条件が揃っているデッキです。加えて、元々ミスティカルアーカイブは運営側も動向に注意することを明言しています。歴史的に見ても2枚コンボデッキというのはヤバいデッキが多く、かつ禁止されることも多々あるというのが通例ですから、オラクルパクトもご多分に漏れず・・・となりそうな感はあります。次の最も大きな大会であるストリクスヘイヴンチャンピオンシップが6月4日頃から行われるのですが、それまでに禁止されるかどうか注目が集まっています。

そして5月27日にはヒストリックアンソロジー5がリリースされます。オラクルパクトの動向はさておきとしてもこれによりメタゲームがまた変わる可能性もあります。中には《もみ消し》という往年の名カード、かつオラクルパクトに対抗出来なくもないカードも出てくるようです。まぁ仮にこれが対策だと言われても結局青いデッキしか対策出来ないんですけどね。。

それにしても本当にヒストリックはスタンダードと比べても変化が目まぐるしく付いていくのもやっとですね。これはこれで楽しいと言えるところでもあるので、今後も動向を追いかけていこうと思います。

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5月1週目:先週の勝ち組は今週の負け組

今週はSCGストリクスヘイヴン予選がヒストリックフォーマットで行われたため、ヒスリックの注目度が高い週となりました。

ストリクスヘイヴンのミスティカルアーカイブにより、青を中心としたデッキの大頭→それを狩るグルールアグロの復権と流れていたメタゲームでしたが、今週はそんなグルールアグロに強いデッキが存在感を発揮した週となりました。まさに先週勝ち組みであったグルールアグロはメタゲームのトップとなりましたが、その結果狩られる側となってしまったのです。ラクドスアルカニストも墓地対策をされはじめてしまうと途端に苦しくなってしまいます。

特にグルールアグロに強いデッキと言えば、前環境のトップメタであったオルゾフオーラです。オルゾフオーラは再びメタゲームに返り咲き、使用率で言えば4位となる程度まで伸びました。オルゾフオーラはデッキパワーも高いデッキで、グルールアグロ以外にもやや重めのコントロールであるジェスカイコントロールといったデッキ相手にも有利に戦えることも復権となった要因でしょう。ミスティカルアーカイブでの収穫は《コジレックの審問》くらいですが、オルゾフオーラにとって相手に干渉する手段は重要なため強化されたデッキとも言えるかもしれません。

そして、結果としてSCG予選を制したのはアグロに強い前環境の覇者でもあるジャンドフードとなりました。

SCG予選優勝:ジャンドフード

リストは前環境から変わりはありません。ジャンドフードはミスティカルアーカイブの恩恵を受けていないデッキであり、他のデッキは強化されたことで相対的にメタゲームから脱落していたデッキだったのですが、まさかの再び優勝という結果を残しました。これには驚きましたが、デッキ自体は当然強くガードが下がれば結果を残す力は以前として持っているということを証明した形を言えるでしょう。特に《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》が環境から姿を消していたことが今回の結果に結びついたのは想像に難くありません。

ジャンドフードの勝率を見ると、ジェスカイ、イゼット、ディミーアと青いデッキ相手にも全て勝率は60%近い値を示しています。

このように先週目立ったデッキに強いデッキが次週を制するという傾向となっているということは、言い換えると特定のデッキが結果を残しているのではないためメタゲームが健全であるということを示しているとも言えます。ミスティカルアーカイブによって特に青いデッキが環境を席捲することになるのではないかと危惧されていた部分もありましたが、現在のところヒストリック環境に程よい刺激をもたらす良調整という結果になっていると言えそうです。

また、今週は勝率という視点で見るとイゼットフェニックスも以前として高い勝率を示していますので、今後トップメタに躍り出てもおかしくはなさそうです。同じくディミーアコンボも急浮上してきていますから、まだまだメタゲームは変化していきそうです。

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4月4週目:グルールアグロの復権

今週も「Insight Esports Presents: $5,000 Historic Open」が行われました。

先週に優勝という結果を残したディミーアローグがトップメタ、またイゼットフェニックスやジェスカイコントロール等、特に青赤黒というミスティカルアーカイブの優秀なスペルの恩恵を受けたデッキ達。ヒストリックがモダンやレガシーといったフォーマットにデッキパワーがグッと近づいたことでヒストリックはいま最も熱いフォーマットと言えるでしょう。

そんなコントロール色の強いデッキが台頭するというメタゲームが明らかになったことで、それをメタるために多くの選手が選択したデッキは・・・そう、ヒストリックのコントロールキラーの代名詞とも言えるグルールアグロでした。

上記は大会9位となったトッププロのPaulo Vitor Damo da Rosa選手が使用したグルールアグロ。リスト自体は以前と大きな変更はありません。優勝こそ逃したもののTOP16までに4人を送り出しており、今週の勝ち組デッキとなっています。特に現在はジャンドサクリファイスは使用率を大きく落としており立ち位置が良いデッキとなっています。実際に特に青いデッキ相手には良い勝率を叩き出しています

そんな中で大会を優勝したのは、ラクドスアルカニストマスターであるLuis Salvatto選手が操るラクドスアルカニストでした。

ラクドスアルカニストも《信仰無き物あさり》と《コジレックの審問》によりミスティカルアーカイブで恩恵を受けているデッキの1つで、若干見落とされている感もあったこのデッキがラクドスアルカニストマスターによって結果を残しました。ラクドスアルカニストはディミーアローグには当然有利なデッキで、とにかく墓地対策さえされなければ地力は強力なデッキです。これまでも墓地対策が薄くなってくれば結果を残すという、まさにメタゲームを読んで使用することに適したデッキの1つになっています。

その他はセレズニアカンパニーやイゼットフェニックスといったデッキが先週と同様に結果を残しました。本大会のみの結果なので試合数という母数は若干少なくはありますが、各デッキの勝率を確認すると現在のヒストリックでは上記で述べたディミーアローグ、セレズニアカンパニー、イゼットフェニックス、グルールアグロがそれぞれ高い勝率を収めており、これらのデッキは現在のヒストリックを牽引する存在となっています。

総じてミスティカルアーカイブによりヒストリックの環境は激変してはいるものの、特定のデッキが支配するような偏ったメタゲームとはなっておらず、より刺激のある健全なフォーマットに生まれ変わったと言えるかもしれません。《渦まく知識》をはじめとしたレガシー級のスペルを使えるヒストリックは一部ではスタンダードを超える盛り上がりを見せています。(スタンダードがあまり環境に変化をもたらさなかったという要因もあるかもしれませんが・・・)

ヒストリックをプレイされたことがない方は、ぜひ強力なスぺルを唱えることが出来るこのフォーマットを楽しんでみてください。

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4月3週目:ミスティカルアーカイブにより激変するヒストリック

ストリクスヘイヴン:魔法学院が4/16にMTGアリーナにリリースされ、リリース前からヒストリック環境に革命を起こすであろうと予想されていたストリクスヘイヴンのミスティカルアーカイブ達。やはりミスティカルアーカイブによるヒストリックへの影響はこれまでのヒストリック環境を大きく変えてしまうほどのインパクトをもたらしました。

4/18に行われた「Insight Esports Presents: $5,000 Historic Open」。これはMPLやMRL所属選手も出場するほどハイレベルな大会となっていますが、この結果を中心にヒストリックの変化を見ていきます。

まずトップ8には先週までのトップメタであったジャンドサクリファイス、オルゾフオーラのどちらも姿はなく、様々な青を含むデッキが多くを占めました。

優勝したのはディミーアカラーのクロックパーミッションデッキとなりました。一見スタンダードのローグデッキの延長のように見えますが、《物語への没入》や《湖での水難》といった優秀なスペルを使用するために切削を持つクリーチャーを採用しているという見方のほうが正しく、ローグというよりはクロックパーミッションのほうが適切でしょう。ミスティカルアーカイブにより《コジレックの審問》《渦まく知識》《記憶の欠落》といった優秀な低コストのスペルを得られたことで増えた手数とスペルの質がそのまま強さに直結しています。7位にも多少リストは異なりますが、限りなく同型のデッキが入賞していますので、その強さは本物と言えるでしょう。

準優勝のデッキはセレズニアカンパニーでした。

こちらは前環境からある程度姿を見せていたデッキで、ミスティカルアーカイブは採用されていないもののストリクスヘイヴンから《精鋭呪文縛り》が採用されています。やはり《精鋭呪文縛り》はアグロデッキに採用されるスペックを備えているということがこれにより証明されたといえるでしょう。またこのデッキには《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》がサイドも含めて1枚も採用されていないあたり、メタゲームが大きく変わったことが伺えますね。

そして、ミスティカルアーカイブとストリクスヘイヴンにより大きく強化されたのは何と言っても青と赤を含むデッキ達です。

こちらは3位入賞のジェスカイコントロール。また6位にもリストは異なりますがジェスカイコントロールが入賞しています。《稲妻のらせん》という優秀な軽量除去カードを手に入れたことでデッキがグッっと引き締まっただけでなく、ストリクスヘイヴンから強力なスペルである《マグマ・オパス》が採用されています。この《マグマ・オパス》は多くの青赤デッキで採用されており、ストリクスヘイヴンでもっとも注目されているカードの一つです。

2マナでディスカードしながら宝石トークンを生み出せる効果が《奔流の機械巨人》と相性抜群で、《奔流の機械巨人》がまた一段と強くなったと言えます。他のリストでも《奔流の機械巨人》は4枚採用しているリストが多く、《マグマ・オパス》と組み合わせて戦略の中核に据えています。今後はコントロールの主流はジェスカイになっていくかもしれません。

また《マグマ・オパス》はティムールカラーの瞬足型クロックパーミッションデッキにも採用されています。

こちらは4位入賞という結果を残しました。こちらも《マグマ・オパス》と《奔流の機械巨人》をセットで採用しており、これはもはやコンボとも言える組み合わせと言えるでしょう。このデッキは低速のデッキに対して有利なデッキとなっており、ジャンドフードには不利であるもののこれもメタゲームが変わったことを示す結果ということでしょう。

他の入賞デッキはグルールアグロとゴブリンということで、これらもジャンドサクリファイスが衰退したというメタゲームを表す結果になっています。また今回は8位圏内の入賞はなかったものの、目立ったデッキとしてイゼットフェニックスが挙げられます。

イゼットフェニックス自体は前環境から存在はしていたものの優秀な低コストスペルが不在だったためほとんど息をしていませんでしたが、ミスティカルアーカイブにより大幅にパワーアップして帰ってきました。こちらは9位という結果ではありましたが、モダンでも使用できない《信仰無き物あさり》と《渦まく知識》という本当にヒストリックなの?と思ってしまう程の優秀なスペルにより、最速3ターン目に大量のフェニックスを走らせることが出来るデッキとしてメタゲームの一角に復活しており今後もしばらく見ることになりそうです。

このようにミスティカルアーカイブによって特に強化されたのは、やはりインスタントやソーサリーが優秀な青を含むデッキとなっています。他にも入賞はしていないもののミスティカルアーカイブの《汚れた契約》と《タッサの神託者》と組み合わせたコンボデッキや、ストームデッキも出てくるかもしれません。

開発元もミスティカルアーカイブによるヒストリックへの影響については警戒していると明言しているため、また禁止改定が行われる可能性はありますがデッキパワーが一段階も二段階もあがった感のあるヒストリックが今後どのような展開を見せるのか注目していきます。

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4月2週目:多様性のあるメタゲーム

カルドハイムチャンピオンシップの結果から、ジャンドフードとオルゾフオーラがヒストリック環境のツートップであることが示されました。

今週のメタゲームもツートップであることを意識して展開されていますが、そのツートップがメタゲームを完全に支配しているわけではなくデッキのアーキタイプとしては多様性のある結果となっています。

何より今週爆発的に増加したのはスタンダードでも猛威を振るっているスゥルタイ根本原理です。

スゥルタイ根本原理

スタンダードと比較するとマナ加速から《出現の根本原理》を早期に唱えるという構成は変わりませんが、マナ加速などの脇固めるカードが優秀になったことでデッキが60枚になっていることが大きな違いです。これは4月のストリクスヘイヴンリーグウィークエンドで一部のプロがこぞって使用したことが爆発的に増加した理由です。除去に《暴君の嘲笑》を採用しているのが面白いところで、これはオルゾフオーラの《ケイヤ式幽体化》を意識しているためでしょう。除去しても追放しても場に戻ってくる《ケイヤ式幽体化》ですので、バウンスすることで時間を稼ぎつつオーラを剥がすことが出来ます。そしてこのデッキの構造上ジャンドフードには有利がつきます。

ですが、このデッキも最強という訳ではありません。ミッドレンジキラーではありますがコントロールデッキや高速なアグロデッキはかなり厳しいのです。

と言うのも、このデッキに限らずヒストリックの大きな特徴としてデッキ毎の有利不利の相性がはっきりしているという点があります。勝率をまとめている結果を確認頂ければ一目瞭然ですが、どのデッキも見事なまでに有利なデッキには有利だが不利なデッキには不利という結果が出ています。これはスタンダードをまとめている結果と比較するとわかりやすいです。ヒストリックはカードパワーが高いだけにデッキの特性が出やすい傾向にあり、尖った特徴を持つが故に相性もはっきりしやすいです。そして強すぎるカードは禁止措置が取られているためこのような結果になっているのでしょう。

来週からはMTGアリーナにストリクスヘイヴンがリリースされ、かつストリクスヘイヴンにはミスティカルアーカイブで優秀なスペルが収録されておりそれらは一部を除きヒストリックで使用可能ということでメタゲームに一石を投じることになるのは間違いありません。ストリクスヘイヴンのリリース後の環境が楽しみですね。

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3月4週目:カルドハイムチャンピオンシップ開催

3/26~28にカルドハイムチャンピオンシップが開催されました。

スタンダードとヒスリック混合で行われた本大会のヒストリック部門では、事前の予想通りジャンドサクリファイス(食物型)がメタゲームの26%とトップメタとなっていました(カンパニー型を含めると31%)が、オルゾフオーラが2番手で15%を占めるほどのメタゲームとなることまで予想出来ていた人はそれほど多くはなかったのではないでしょうか。

1オルゾフオーラ

オルゾフオーラを調整したグループはジャンドvsジャンドメタデッキという構図であると環境を予測の上「ジャンドフードに5割」という意図で構築を行ったデッキを持ちこみました。ジャンドフードをメタりにきたデッキに対しては有利が付くことが多いため、ジャンドフードさえ何とかなれば良いポジションで戦うことが出来ます。

大会全体のマッチ勝率を見るとジャンドフードに対しては若干5割を下回っていたものの、それ以外のデッキに対しては抜群の勝率を収めていることから本大会で成功したデッキの1つであることは間違いありません。

ですが、ChannelFireball所属プロが揃って持ち込んだアブザンミッドレンジはメタゲームを読み切った強烈にボードコントロールに特化したデッキとなっており、ジャンドサクリファイスにもオルゾフオーラにも大きく勝ち越す結果を残しました。

アブザンミッドレンジ

これでもかと言わんばかりの除去カードのオンパレード、そして《空を放浪するもの、ヨーリオン》によりアドバンテージを得るギミックも搭載しておりボードコントロール力に特化した構築となっています。それ故にジャンドサクリファイスやオーラ、アグロといった盤面展開するタイプのデッキ全般に有利が付きます。この手のデッキを思いつくのはまだしも、それをしっかりした形に仕上げて実績を残すあたり流石とした言いようがありません。

なお、このデッキは強いデッキというよりはメタゲームを読んだ上で構築されたデッキであるという側面が強いデッキです。例えばコントロールやランプといったデッキを相手にした場合はデッキ内のカードの大半が不要牌となってしまうことにもなるため、大きく不利が付きます。MTGアリーナのラダー等で使うのには少し不向きだと思うので、その点は注意が必要です。

尚、禁止前のヒストリックトップメタの一角であったゴブリンは最近鳴りを潜めています。本大会でも8名程度の使用者がいましたが、ジャンドサクリファイスがキツイというだけでなく、それ以上にオルゾフオーラが割とどうしようもないレベルで不利です。忘れた頃にまた浮上してくる可能性がある程度にはデッキパワーはありますが、しばらくは寒い冬を過ごしそうです。

総じて、ジャンドサクリファイスをメタると他のデッキに弱くなりやすいというジレンマを持ちやすい環境になっている。その中でオルゾフオーラーはそういったジレンマから一歩抜け出した実績を残したという状態です。しばらくはこの2強が続くかもしれません。

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3月3週目:ジャンドサクリファイスの席捲

ヒストリックで《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が禁止になってからヒストリックでは初めて競技レベルの大会として3月3週目にSCGストリクスヘイブン予選が行われました。

今後のヒストリックを占う上で世界から注目を集めたであろう本大会ですが、結果としてはやはり概ねウーロ禁止直後に記事で考察した通りの内容であったと言えます。

具体的にはウーロ禁止前からトップメタの一角であったジャンドサクリファイスがヒストリックを牛耳るという結果です。

SCGストリクスヘイブン予選優勝:ジャンドフード

競技としては環境初期とも言える時期であるため様々なデッキが試されてはいたものの、やはりジャンドサクリファイスはヒストリックで随一とも言えるデッキパワーを証明するという形で大会を優勝しています。予選本選ではジャンドサクリファイス同型を意識して《集合した中隊》タイプではなく、《パンくずの道標》と《フェイに呪われた王、コルヴォルド》を採用した食物型のほうが多くを占めていました。

誰からもトップメタとして意識されている中でも勝率トップを叩き出しているあたりその強さを伺うことができますね。

また、次点としてアゾリウスコントロールが数を伸ばしていました。ただ今回はジャンドサクリファイスを始めとしてあまり優位とする相手がメタゲームに多くなく全体的に満遍なく戦える(満遍なく負けるとも言える)結果になっており目立った活躍は見えませんでした。

やはりアゾリウスではジャンドサクリファイスの猫かまどを防げる手段は基本的に《墓掘りの檻》くらいしかありませんし、《パンくずの道標》や《真夜中の死神》といったアドバンテージ源にも手を焼かされるため大きく優位を取ることは難しいです。

そして、サクリファイスキラーと言えば《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》ということで、《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》を採用したデッキも数多く表れています。具体的にはセレズニアカンパニーの出現です。

セレズニアカンパニー

セレズニアカンパニーは使用者により大きく形が異なっていますが、SCG予選8位に入賞したセレズニアカンパニーはメインは《エメリアのアルコン》4枚が目を引く構成になっており、《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》はサイドに落とされています。セレズニアカンパニーの難しいところはジャンドサクリファイスに寄せた構成にすると、ジャンドサクリファイス以外のデッキに対して弱くなってしまうことです。加えて《集合した中隊》ともアンシナジーであるため上記のリストではサイドに落とされています。また《傑士の神、レーデイン》の裏面である《守護者の盾、ヴァルクミラ》も《波乱の悪魔》を完封できるという点で有効です。ただ猫の一点ドレインが無効化出来ないのは残念ではありますが。。

また、コントロールも前環境からあるように《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》をタッチしたバントカラーのタイプが多く使用されていました。前環境の4色ミッドレンジのような《世界を揺るがす者、ニッサ》を中心としたタイプであったり、アゾリウスコントロールに緑をタッチしたタイプだったりと色々なバントコントロールが模索されてはいますが、今回は目立った活躍は見受けられませんでした。

他にヒストリックで多く試されたのはスタンダードのトップメタであるスゥルタイ根本原理です。

スゥルタイ根本原理

SCG予選3位となったのが上記のリストです。ヒストリックにおいてもランプから《出現の根本原理》を唱えるという構成は同じですが、回りを構成するパーツがヒストリックでは強化されています。特に大きいのは《探検》や《成長のらせん》といった2マナのランプカードの存在でスタンダードよりも安定してランプの動きが取りやすくなっています。このデッキも使用者により細かい構成は大きく異なるので伸びしろはありそうですがスタンダード同様に速度が早いデッキを苦手としていて、ジャンドサクリファイスに関してもフード型なら有利ですが、カンパニー型は厳しいという結果になっています。特にグルールはかなり厳しい相手と言えます。

その他で数が多かったのはグルールとオルゾフオーラですが、グルールはオルゾフオーラ、オルゾフオーラはジャンドサクリファイスを極端に苦手としています。致命的に勝てないというレベルの相性差があるので、使用するときには割り切って使用することが求められます。

カルドハイムチャンピオンシップでもジャンドサクリファイスはトップメタになるであろうことはほぼ間違いないと思いますが、どのような対抗勢力が出てくるのか楽しみです。

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