禁止改定雑感(2022/01/25)

MTGアリーナ

2022年01月25日に各フォーマットで禁止改定が行われました。詳細な内容は公式サイトから案内されていますので、そちらをご覧ください。

ここでは改定内容に対して今後考えられる影響について雑感で述べていきたいと思います。なお、現状は当サイトではMTGアリーナでプレイできるフォーマット中心に記載してていますので(今回改定のあった)レガシーについては触れません。

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スタンダード

今回の禁止改定でスタンダードで《アールンドの天啓》《ゼロ除算》《不詳の安息地》の3枚が使用禁止となりました。スタンダードで長らくTier1を占有し続けた「イゼット天啓」「緑単アグロ」「白単アグロ」の何れに対してもメスが入った形です。

ひとまず《アールンドの天啓》に関しては禁止となることが予想されていましたし、むしろ望まれていたくらいであるようにも思いますのでこれに関しては妥当なところです。というよりやっと禁止されたか・・・というのが正直なところでしょう。


予想外だったのは他のカードにまで禁止が入ったことです。

《ゼロ除算》はパーマネントにも呪文にもというオールラウンドな性質を持ちながら、しかも打ち消されないといった青に対する常套手段の対策すらも無視できてしまうという万能感のある能力は確かにあまりにも柔軟性が高いものがありました。今回の禁止には少し驚きましたが、アルケミーの青いコントロールは《アールンドの天啓》亡き後の環境をまさに示唆しており、そこでの《ゼロ除算》の飛び交い具合をみても仕方がないように感じます。

《不詳の安息地》については勿論非常に強力ではありますが「白単アグロ」と「緑単アグロ」両方に対して1枚で弱体化を図るのであれば実際のところこのカードくらいしかありません。禁止にするほどなのか?という疑問は少しありますが、とりあえずトップメタを少しでも弱体化させることでメタゲームに変化をもたらしたいという意図があるようです。

やはり近年はメタゲームが急速に進むため、禁止改定でバランスを取ることを躊躇しないような方針になっていることを今回の改定内容からも感じることができます。

今後の環境への影響

《ゼロ除算》の禁止は他のカードまで副次的に影響している側面があります。具体的には《溺神の信奉者、リーア》の弱体化です。

自身が持つ「すべての呪文は打ち消されない」というデメリットにもなり得る効果を《ゼロ除算》が大きくカバーしていたことで《溺神の信奉者、リーア》の強さはより際立っているところがありました。《消えゆく希望》との相性の良さは健在ですが《ゼロ除算》の禁止は《溺神の信奉者、リーア》にとっても大きな痛手となります。これによりフィニッシャーとしての強さは大きく下がったように感じます。

勿論後半の強さは健在であるものの、大きくあおりを食らった形になるのは間違いなさそうです。この点は今後のコントロール構築に大きな影響を与えることでしょう。例えば《溺神の信奉者、リーア》を使わないイゼットドラゴンあたりはまた復権してくるかもしれません。


そして、青いデッキの弱体化と《アールンドの天啓》の排除によってミッドレンジデッキは間違いなく復権することになります。最もわかりやすいところで言えば黒系のミッドレンジでしょう。《アールンドの天啓》がずっと目の上のたん瘤であったアーキタイプであり、そのたん瘤がなくなったことで今後はより活躍することでしょう。


《不詳の安息地》に関しては「緑単アグロ」に対する影響よりも「白単アグロ」に対する影響のほうが大きいことが予想されます。ミシュラランドは緑単アグロは《ハイドラの巣》で充分代用できますが、白単アグロだと《フロスト・ドラゴンの洞窟》は代用として考えるには少し厳しいところがあります。《フロスト・ドラゴンの洞窟》は起動コストが5マナと軽コストで攻めるアグロにとってはかなり厳しめで、起動したくてもできないことが多々あります。白単にとっては単色というメリットが少し損なわれた感があるので、ナヤやボロスといった形へのシフトが目立ってくるようになるかもしません。

総じて今回の改訂で凝り固まったスタンダードは大きく変わります・・・が「神河:輝ける世界」のリリースが近づいているこのタイミングで、この激変したスタンダードをやり込む意味があまり見いだせないというのが大方の人にとっては正直なところではないでしょうか。もう少し改定が早ければ・・・と思わざるを得ないのはきっと私だけではないと思います。以前にイニストラード:真紅の契りがあるため《アールンドの天啓》の禁止改定は見送ると言っていた中、今回は「神河:輝ける世界」リリース直前での禁止。。となると、次セットの収録カードの強さに一抹の不安がよぎってしまいますね。

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アルケミー

かなり多くのカードについて上方or下方修正が行われました。イゼ速さんがわかりやすく一覧化されているので、調整されたカードの一覧についてはそちらをご参照ください。

既存で使ったアーキタイプの中で明確に弱体化したのは青を含むコントロールです。青コントロールの以下の重要なパーツが軒並みナーフされています。

《ゼロ除算》に関しては4マナ以下のカードを対象にしたときのみ履修が行えるようになりました。ただ大抵の場合は履修できるでしょうからこれに関してはまだまだ使用可能な範囲内の調整であるように感じます。

《船砕きの怪物》はカウンターできないことで同型対決ではマナを確保した後、このカードを先出ししてあとはインスタントで守ってあげるという流れになるとワンサイドゲームになりがちなこのカード。青同型においてはかなり弱体化しましたが逆に言えば青以外には全く関係のない弱体化なので、青同型ではこのカード以外の他の要素のやり取りがより重要になるという意味でも良調整と言えるかもしれません。

もっともナーフがきついのは《溺神の信奉者、リーア》で間違いないでしょう。インスタントソーサリーで相手の攻勢を凌いだ後にお互いにある程度リソースが失われてからこのカードを出して後はインスタントを構えて圧倒的なリソース差で勝つという黄金パターンを持つこのカードですが、そのような勝ち方をするカードに対して墓地のインスタントを相手のターンに打てなくなるという調整はあまりにも厳しいものがあります。これまでは相手の《溺神の信奉者、リーア》に対する除去を墓地から唱えるバウンスで守るというプレーは鉄板でしたが相手のメインターンだとそういったプレイもできなくなりますのでクリーチャー除去もかなりヒットしやすくなっています。ここまで来ると他の勝ち方を模索したほうが良いように感じるくらいの調整になっています。

これらのカードは全てバウンス祭りによりソフトロックを生み出すためプレイの不快感につながるという理由もあるようで、そういった意味でもナーフされたものと思われますがそれにしても青いデッキが目立ってナーフされすぎな印象も感じます。これがWizardsの方針ということなのでしょう。

上記2種もナーフされています。《恐るべき仔竜》に関しては速攻が付与されたので完全にナーフされた訳ではないですがパワー1のクリーチャーに速攻がついたところで感もありますので、ナーフと言っても良いでしょう。ただこのカードは特に先行2ターン目に出されたときにほぼ対処不可だったことで若干理不尽もありましたので個人的には良調整であるように感じます。

《審問官の隊長》に関しては割と予想されていたことなのではないでしょうか。元々《玻璃池のミミック》と組み合わせて使うことは開発側も意図していなかったのかもしれません。ヒストリックではバントブリンクでブリンクして使いまわされてもいましたがそのどちらの使い方もできなくなりました。

他にナーフされたカードとして《街裂きの暴君》《血塗られた刷毛》がありますが、どちらもそこまで問題にならない程度のナーフでしょう。特に《街裂きの暴君》に関しては字面上はナーフされていますが、特殊地形が溢れまくりなアルケミーでは実際のところ今回の変更が問題になることは殆どないでしょう。

そして今回上方修正を受けたのはダンジョン関連のカードが大半になっており、露骨に公式からダンジョンデッキを作ってくれというメッセージが入った内容になっています。中でも《ダンジョンの入口》に関しては相当な上方修正が入っています。伝説クリーチャーが多めのデッキであればダンジョンデッキでなくても使えるのではないかと思えるくらいの性能まで引き上げられていますので要注目のカードとなっています。

今後の環境への影響

青いデッキが存続できなくなった訳では全くありませんが鍵コントロールは最近メタられて若干苦戦し始めていたことでメタゲームが回っていた感があったアルケミーは、よりアグロ中心の環境になる可能性は高そうです。そして青いデッキに弱かったオルゾフのようなデッキも少し増加することになるかもしれません。

ドラゴンデッキは弱体化しましたが存在そのものができなくなるほどではなく、またエスパークレリックに関してはオルゾフ2色型が主流になることでしょう。エスパーは結構マナベースがきつい印象があるためオルゾフになることでマナベースに関しては安定しますので一概にデメリットだけという訳ではないようにも思いますが、少なくても爆発力に関しては一段下がることになります。


あとはダンジョンデッキでしょう。いまだ構築フォーマットでは全くと言ってよいほど活躍できていないリミテッド専門感もあるダンジョンメカニズム。このタイミングで構築で活躍できるのでしょうか。恐らく多くの方がダンジョンデッキの構築にチャレンジするでしょうから、何らか目新しいデッキが生まれることを期待したいところです。

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ヒストリック

そういえば「ヒストリックはアルケミーを含むためナーフという形で調整することが可能なフォーマットになっている」ということを今回の改訂を見て思い出したのは私だけ?といった感じの改訂が行われました。

コストも上がって常在型能力も弱体化しましたが初期忠誠度に関しては引き上げられています。2つのナーフに関してはかなりきつい内容になっていますが、決して使えないカードという訳ではありません。ただキャスト4マナでのバウンスとなるとアグロ相手には結構厳しい印象なのでサイドボードとして使うという方法もありそうです。

調整内容とは関係ありませんが、個人的には不快感をあおるカードを禁止等の調整をしているのにインスタントを使えなくするというやや不快感もあるこのカードをナーフしたとは言えまた使用可能にするというのは意外でした。

コメント

  1. もんもん より:

    今回のナーフでアゾリウスコントロールはかなり煽りを受けました。先手アグロの高い勝率に刺さるので、良く使っていた(それでも先手ブン周り時にはボコボコ)ですが、もう全然やる気ないレベルまでナーフされました。
    特にリーアのナーフは絶望的です。アグロ環境はさらなる運ゲーとかすので、せっかくのMTGの戦略性が皆無となってしまいます。
    そもそもデジダル版のアルケミーはそういうもんだと運営が言っているのかもしれませんが、それではその他のシャドバやハースストーンと一緒ですよ!
    まぁ沢山カード売らなきゃ運営としては経営が成り立たないので、しょうがないっちゃあしょうがないですが、、、、、バランス調整するの大変でさぁね。

    • MasaKMasaK より:

      アルケミーのコントロールにとって今回のナーフはかなり影響大きいですよね。特にリーアに関しては他のナーフの仕方はなかったのかな。。フラッシュバックコストを1上げるとかのほうが良さそうな気もしますが。
      ただ、この頻度で調整入るなら逆にリーアにバフが入って限りなく元に戻るということもあるかもしれません。

      アグロはアグロでプレイングが問われる部分もそれなりにあったりはしますが、特にアルケミーは今までのMTGとは一歩違う次元に入ったというのは明確に感じられますね。
      確かにバランス調整は難しいでしょうし、プレイヤーもある程度割り切って付き合うしかないのかもです。

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