MTGは30年近い歴史を持つゲームでカードの種類も16,000以上に上ります。
そんなMTG歴史上でもあまりにも強かったカード達を紹介していきます。
強い(もしくは強かった)カード達を知ることは、MTGというゲームではどういった傾向を持つカードが強いのかを知ることにも繋がります。今後新しいカードがドンドン発行されていく中で初見でカードの強さを判断するときにも参考となります。
そういった意味でも現在は使わない過去のカードであっても知っていて得することもあるに違いありません。
今回はインベイジョンブロック(2000年~2001年)であるインベイジョン、プレーンシフト、アポカリプスのカードを中心に紹介します。なお、今後に少しでも役に立つことを趣旨としているので当時は活躍したが現代基準で見ると弱いというカードは含めていません。
嘘か誠か

あなたのライブラリーの一番上からカードを5枚公開する。対戦相手1人はそれらのカードを2つの束に分ける。あなたは一方の束をあなたの手札に加え、もう一方をあなたの墓地に置く。
MTGの歴史上でも相当に強力なドロー呪文で、いまだに多くのプレイヤーの心に刻まれているであろう有名なカードです。青い4マナのドロー呪文が新しく登場するとついついこのカードと比較されてしまうのは仕方のないことなのかもしれません。FoFといえばこのカードです。
パッと見ただけでは一見強さが分かり辛いところがありますが「自身の選択次第で5枚の中で欲しいカードが必ず手に入る」「自身の選択次第で3枚以上のカードを確実に手に入れることができる」「相手の束の分け方によってはより得をすることがある」「選ばれなかったカードは墓地に行く」といったあたりが強さのポイントになります。
対戦相手はあなたの手札を知らないので、束の分け方には非常に悩まされます。例えば手札に土地がなくて土地が欲しいかもしれませんしまたはその逆かもしれません。概ね2:3の束に分けますが3の方に土地やスペルをどういったバランスで分けるかというのは中々に難しいです。そのバランスを間違えれば唱えたプレイヤーの欲しいカードばかり3枚手に入るということも珍しくはありませんでした。また状況的に絶対欲しいであろうカードを1にして他を4にして束を分けたが、実は1にしたカードは既に持っていて裏目になるということも割と頻繁に起こるようなカードでした。


こちらも悪名高い《サイカトグ》と組み合わせて墓地に落ちるカード含めて+6/+6の修正を与える使い方だったり、墓地に落ちるほうがノンコストで場に出せてお得な《冥界のスピリット》を組み合わせた青いデッキは当時大流行でした。当然リアニメイトするといった使い方とも相性抜群です。
あまりにもこのカードを打たれることが多かったので、打たれたことを想定して「山札を2つの束に分ける」というだけの練習を繰り返し積み重ねていたプレイヤーも少なくなく、このカードの影響力はそれほど多大なものがありました。当然ながらこのカードがスタンダードで使用できた時には多くの青デッキで使用されていました。
抹消

この呪文は打ち消されない。
すべてのアーティファクトと、すべてのクリーチャーと、すべての土地を破壊する。それらは再生できない。
強いカードであるのは間違いありませんが、打たれる側としては恐怖と嫌悪感を抱くカードであったことから嫌いなカードと考えるプレイヤーも決して少なくなかったことでしょう。
効果はド派手かつシンプル。打ち消せないので避ける方法はほとんどなく、土地も含めてエンチャント以外のパーマネントが全て吹き飛ぶので打たれた側はゲームを1からやり直しするようなものです。
当時は生け贄に捧げることで2マナを生み出す土地と組み合わせることで早々にこのカードを打ち、打つときにこのカードのコストである8マナ以上捻出して《抹消》を唱えた直後に余ったマナから自分だけ攻撃力の高いクリーチャーを続けて唱えることでゲームを終わらせるといったデッキを生み出しました。
近年は土地を破壊するといったカードは打たれた側が何もできずゲームとして面白くないという側面からか殆ど見かけなくなりました。何にしても打ち消せないリセット呪文が如何に強力であるかということはこのカードが教えてくれたといっても良いかもしれません。
部族の炎

クリーチャー1体かプレインズウォーカー1体かプレイヤー1人を対象とする。部族の炎は、それにX点のダメージを与える。Xは、あなたがコントロールする土地の中の基本土地タイプの数に等しい。
モダンマスターズ等で再録されているこのカードの初出はインベイジョンでした。当然ながら多くの基本土地タイプをコントロールしていないと弱い呪文で、初出のときには土地サーチを多用した多色デッキでその居場所を見つけているカードでした。
当時でも決して弱いカードではありませんでしたが、後に新しいカードが刷られるにつれてより強力になるカードの一例としてわかりやすいカードになります。それはショックランドで、複数の基本土地タイプを持つショックランドによってこの手のカードは容易に条件を満たせるようになり強さが大幅にあがりました。
このカードのように強さが他のカード次第で変わるカードは環境次第で一気に化けることがあるというのはカードの強さを考える上で一つのポイントとなりえます。
はね返り / 排除


Recoil / はね返り
パーマネント1つを対象とし、それをオーナーの手札に戻す。その後そのプレイヤーはカードを1枚捨てる。
Repulse / 排撃
クリーチャー1体を対象とし、それをオーナーの手札に戻す。
カードを1枚引く。
強すぎたかと言われるとそうではないかもしれませんが、アドバンテージで損をしないバウンスとして基準になっているであろうカードがこの2枚です。効果も違うのですが似た要素を持っているので合わせて紹介します。
現代のMTGは2マナ域から神話レアのクリーチャーを筆頭に強力なクリーチャーが多数存在しておりゲームスピートが当時より早くなっているためこのカードが今使えたとしてもどこまで使われるかは悩ましいところですが、後に刷られたバウンス呪文の数々を見てもこのカードが一つの基準になっているのは明らかでしょう。当時の青いデッキではこの2枚は頻繁に使用されていました。
もし今後この2種と比較しても強いバウンス呪文が登場したら間違いなく強いカードと考えて良いでしょう。
火炎舌のカヴー

火炎舌のカヴーが戦場に出たとき、クリーチャー1体を対象とする。火炎舌のカヴーは、それに4点のダメージを与える。
場に出たときにクリーチャーを除去する赤いクリーチャーの代名詞とも言えるのがこのカードです。
4点ダメージともなれば大半のクリーチャーを除去できますし、それに4/2という攻撃的なサイズまで内蔵しているのですから現代基準で見ても強力。クリーチャーが弱かった当時では破格の強さです。現代でも赤のクリーチャーに似た能力を持ったクリーチャーはいますが、明らかに《火炎舌のカヴー》は一つの基準としてカードパワーを調整されていますのでカードを見るときの一つの見方として参考になります。
このカードのようにクリーチャーでありながら除去を有しているカードは簡単にテンポやカードアドバンテージを得ることができるので要注目です。近年では色は違いますが《スカイクレイブの亡霊》のように白のこの手のカードの強さは際立っています。
ドラコ

この呪文を唱えるためのコストは、あなたがコントロールする土地の中の基本土地タイプ1種につき、(2)少なくなる。
飛行
あなたのアップキープの開始時に、あなたが(10)を支払わないかぎりドラコを生け贄に捧げる。このコストは、あなたがコントロールする土地の中の基本土地タイプ1種につき、(2)少なくなる。
かなりド派手なカードである《ドラコ》。あまりの派手さに見た感じはファンデッキに使うカードを思ってしまいがちなカードですが、どんなカードも使い方次第であるというのを教えてくれるカードでもあります。
普通にキャストして使うというよりもポイントとなるのはMTGのカードの中でも最高クラスに高いマナコストにあります。

このコストの高さを利用して《渦まく知識》などで山札のトップに《ドラコ》を仕込んでおいた状態で《うつろう爆発》を唱えることで相手プレイヤーに直接16点ダメージを叩き込むデッキのキーカードとして利用されました。もはやカードそのものの効果は関係ない使い方ですが、このデッキは「ドラコ爆発」の名前で強力なコンボデッキとして名を馳せました。
尖った特徴を持つカードは何らか強力な使い道があるということの好例でしょう。
破滅的な行為

(X),破滅的な行為を生け贄に捧げる:マナ総量がX以下の、すべてのアーティファクトとすべてのクリーチャーとすべてのエンチャントを破壊する。
当時としては画期的であった対抗色をフィーチャーしたセットであるアポカリプス。《魂売り》《死のわしづかみ》《名誉回復》など強力な対抗色カードのオンパレードであるエキスパンションでしたが、現代基準で見るとこのカードくらいしか明確に強いと言えなくなったのは時代の流れを感じるところです。
このカードの強さに関しては見たままわかりやすいですが、リセット範囲を絞って調節できる上にいつでも起動できる全体リセットが弱い訳がありません。このカードがリーガルな間は非常に高い頻度で使われ続けたカードです。近年ではあまり見かけなくなった類の効果です。
また当時はプレインズウォーカーというカードタイプが存在しなかったこともあり、このリセット効果ではプレインズウォーカーを破壊できないのは今見ると逆に斬新ですね。
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