イニストラード:真紅の契りレビュー(Part3+総括)

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2021年11月19日に発売(MTGアリーナには11月11日実装予定)となる新エキスパンション「イニストラード:真紅の契り」について、いくつかのPartに分けて各カードを考察します。本記事はPart3になります。

またセット全体の注目カードや総括も後半に記載しています。

Part1はこちら

Part2はこちら

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監禁の円環

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★★

下段の能力はおまけで殆ど誘発することはないでしょうが、上段のクリーチャー除去能力は非常に優秀でアグロデッキに対する優秀なサイドボードになります。メタゲーム次第ではメインでも問題のないカードです。

能力は地味ですがこういった便利で小回りの利くカードの存在はデッキの強さを押し上げてくれます。

勇敢な姿勢

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★★

誘発回数は1ターン一回と制限されてはいるものの、ほぼ《弱者の師》の上位互換といっても良いカード。2/3となり更に飛行まで持っているため《弱者の師》と違って本体自体もコンバットでそれなりの活躍が期待できます。タフネス3という点も、2と比べるとこのカードを使うデッキにサイドインされそうな2点火力では沈まなくなり除去耐性が大きく上がるので加点要素です。

何と言ってもカードを引くのにマナがかからないことで後の展開を阻害しないというのは大きく《弱者の師》と比べるとこれにより使い勝手が大幅に向上しています。充分構築フォーマットでも使用できる性能を有しています。

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墓所の照光者

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★★

ちょっとした墓地対策にもなる上に、生存しているとアドバンテージを稼いでくれる可能性もある飛行クリーチャーと3マナにしては能力てんこ盛りなクリーチャー。

能力は3マナの飛行クリーチャーが持っているものとしては優秀ではあるものの、本体のサイズが2/3なため攻めにも守りにもどっち付かずな感がある点はやや残念です。折角の飛行持ちなのでパワーが3だったら大きく評価は上がった感はあります。

継ぎ接ぎの槍馬

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★

1ターン目に出すことはほぼ不可能とは言え1マナ3/3は驚異的。そんなスタッツでがゾンビであるというのはかなり希少です。何気に自身が墓地に落ちているときにメリットがあるというのも見逃せません。

ゾンビは基本的にパワータフネスが低いので殴り合いに弱いというのが共通的な欠点としてありますが、珍しくそれとは逆行するこのゾンビは青黒ゾンビデッキの立役者となるのか注目です。

船砕きの怪物

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★

打ち消されないという効果を持っていることもあり、青同型には非常に強力に機能します。下段のパーマネントバウンス効果も良い効果ですが、本体が打ち消されないため上段の呪文バウンスはさながら《ドビンの拒否権》のように確定で相手の脅威なスペルに合わせることができるので安定した働きが期待できます。

下段の効果もあるのでメインボードでも活躍することはできますが、青相手のサイドボードとしての活躍に期待できるでしょう。

嵐追いのドレイク

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★

このような能力を持った青の攻撃的な低コストクリーチャーは珍しいですね。ひとまず2マナ2/1飛行ですから単純なスタッツだけでも及第点はあります。

勿論注目なのはその能力で特にヒストリックの有力デッキであるオーラデッキと相性抜群です。ヒストリックのオーラデッキは是が非でもドローしたいドローエンジンが《コーの精霊の踊り手》と《上級建設官、スラム》の8枚体制で、引けない時も度々ある上に狙ったように除去されるのでもう少し追加のドローエンジンが欲しいときも多いのですが、このドレイクはまさにそういった使い方に的しています。

スタンダードよりもヒストリックで活躍するカードとなるかもしれません。

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墓所の門番

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★

赤系のアグロデッキ期待のホープとなるクリーチャーの登場です。

クリーチャーとして攻撃で打点でダメージを稼ぐだけでなく、中盤以降でも突っ立っているだけでジワジワと相手のライフを削ってくれるというのは2マナクリーチャーができる役割としては充分なものがあります。特にインスタントやソーサリーを連打するデッキにとっては死活問題となる効果で、ヒストリックであればイゼットフェニックスがそのようなデッキの例として挙げることができます。その性質からスタンダードよりは細かいスペルの応酬が多い下環境のほうが活躍すると思いますが、スタンダードでも充分使えるレベルでしょう。

ただ、どうしても気になるのは特にスタンダードでは2ターン目に出しても墓地にカードが存在せず効果を発揮できない可能性が高いことです。それがなければ★5にしていました。(下環境だとあまり問題にならなさそうですが)

対戦相手だけでなく自分自身も2点ダメージが飛んでくることもありますが、このクリーチャーを採用するようなアグロデッキであればそのデメリットよりもメリットのほうが大きいです。

不気味なくぐつ師

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★★

これ以外のちょうど1体という誘発条件があるために使い勝手は若干悪くなってしまってはいるものの《ヤスペラの歩哨》のような中盤以降にコンバットの役に立たないようなクリーチャーを活用することができるのは非常に助かります。ただ本体のタフネスが3しかなく、これが攻撃しないと誘発しないことからコンバットでも倒されやすいのでハマったときには強いというタイプのクリーチャーのような感じもします。

他のカラーを含めて現在のスタンダードにおいて4マナ域のクリーチャーは比較的優秀なクリーチャーが多く存在するのでこのクリーチャーの優先順位はそこまで高くはならなさそうですが、赤単であれば充分選択肢に入ってくるでしょう。

オリヴィアの付き人

  • 構築   :★★
  • リミテッド:★★★★

ゲームスピードが遅いリミテッドであれば鬼のような働きを見せてくれそうですが、構築フォーマットにおいてはこのコストの重さに見合った性能を持っているとはとても言えそうにありません。

炎恵みの稲妻

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★

マグマのしぶき》の別名版かな?と始めは思ったのですが、よく見るとこのカードはプレインズウォーカーにダメージが飛ばせるようになっており《マグマのしぶき》の完全上位互換になっています。とは言え《マグマのしぶき》と同様の良きサイドボードカードとして活躍するであることには違いありません。

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遠吠えの月

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★

狼や狼男は単体で優れたスタッツをしているクリーチャーが多いのでこういったカードで強化せずとも充分強力である場合が多くこのカードを入れたことで逆にクリーチャー不足になる懸念がありますが、それを下段の能力で補っているため上段下段の能力が非常によく噛み合っている点は素晴らしいです。

とは言え特に下段は相手に依存するので相手プレイヤーのプレイスキルが高いほど効果は期待し辛くなります。そういったこともあり現在のところ評価はそこまで高くないのですが実際に使ってみることで評価が変わる可能性も感じるカードです。

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マルチ

税血の収穫者

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★

2マナ3/2という優れたスタッツに加えて血トークンを生み出しつつクリーチャー除去能力まで備えているという非常に優秀な吸血鬼。ソーサリータイミングなのでコンバットトリックとして使えなくなってはいるものの、赤黒吸血鬼デッキには採用候補筆頭となるカードでしょう。

霊狩り、ケイヤ

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★

「トークン」に尖った性能をしている今回のケイヤ。かなりの尖りっぷりであるためトークンデッキ以外では使えない性能になっていますが、トークンデッキだと3マナという軽さもあり使いやすくはありそうです。マイナス能力を使って2倍になると一瞬で圧倒的な盤面を築けることもあるでしょう。

問題はそのトークンデッキで強力なデッキが組めるのかどうかという点。黒白もトークンを生むカードはそれなりにありますが、緑をタッチしたアブザンで使ってみるのも良いかもしれません。

血に呪われた者、オドリック

  • 構築   :★★
  • リミテッド:★★★

血トークンが2個以上出すことができるのであればコストに見合った働きと言えそうですが、これ単体では一個すら生まないのはどうしても気になります。

それにこの誘発条件は若干達成し辛い寄りの条件であるように感じますので、総じて構築フォーマットでのプレイには値しないように思います。

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両面カード

捜査員、ジェイコブ・ハーキン

  • 構築   :★★
  • リミテッド:★★

表面が手札を循環させる以外の仕事を全くしませんし、せめてカードを捨てて墓地に落ちるならまだ使い道はありそうなものの裏面の効果の影響もあって追放なので相当使い辛そうなカードです。

青いコントロール同士の対決でノンビリするゲーム展開であれば悪くありませんが、そうでもない限りはダメそうな感じです。

不機嫌な一匹狼

  • 構築   :★★★★
  • リミテッド:★★★★

クリーチャーのスタッツ自体は低めなものの、ダメージに対する耐性があまりにも高く特に赤や緑のようにダメージ以外でクリーチャーを倒す手段を持たないカラーにとっては対処にかなり困りますし、カード2枚分の働きは期待できるでしょう。

もし裏面になると相手からするとコンバットも非常にやり辛くなり一方的に有利になるような状況まで作り出してくれます。加えて《家の焼き払い》のようなダメージによる全体除去にも耐性を持つことにもなりますから、見た目以上に強いカードであると感じます。

特にアグロ同士の対決ではかなり強そうなのでサイドボードに採用するのもありかもしれません。

不機嫌な一匹狼

  • 構築   :★★★
  • リミテッド:★★★★

ロード持ちとしては4マナは若干重いものの、このカード自身は実質不死身になっており追放されない限りは裏面のトークンと合わせて継続して戦線を構築してくれるため粘り強く戦えるという強みを持っています。

色が赤黒ではなく白黒なのは少し残念ですが、このカード自体が単体で能力が完結しているというのも素晴らしいですね。

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セット全体の印象

前セットの「イニストラード:真夜中の狩り」と比較すると総合的にはカードパワーは低いようには感じますが、同じイニストラードを冠したセットであることもあり前セットで足りなかった部族関連のパーツが「イニストラード:真紅の契り」によって補完されたというのが一番の印象です。

具体的には特に「ゾンビ」「吸血鬼」といった部族は明確に今回のセットによって強くなる部族であり、前はデッキを組むには若干パーツが足りない印象でしたが今回のセットによりそういった問題が大きく解消され、メタゲームにこれらの部族デッキが登場するようになる予感も充分に感じさせられます。

ただこの2つの部族は《エシカの戦車》がキツイという壁を抱えているのも事実。現環境の白単アグロにようにどこまでメタゲームに食い込んでいけるかは注目しています。

「狼(男)」については現環境で既に活躍していますが、今回のセットで得られたカードも少なくなく引き続き目にすることは間違いないでしょう。

「スピリット」に関しては他の部族に比べると若干質が劣る印象です。勿論今回のセットにより強化されていることは間違いありませんが、戦線を支えるにはもう一声といった印象を持ちました。少なくてもスタンダードでは他の部族のほうが活躍しそうに思います。

部族以外では、現在活躍中の白単アグロにとっては得るものが多いセットになっており《スレイベンの守護者、サリア》は勿論のこと《オリバクの救済者》も優秀。《歓迎する吸血鬼》もデッキの形は多少選びますが新しい選択肢としての素質は充分でしょう。アンコモン以下でも《監禁の円環》や《勇敢な姿勢》を得るといった充実振りです。
※後日追記)《オリバクの救済者》に関しては訓練の効果を誤認識していたので取り下げます。。失礼しました。そこまで優秀ではないと思います。

一方トップメタ筆頭である緑単アグロにとっては得るものが全くないという訳ではないものの、確実にこのカードは緑単アグロに入ると言えるカードは無く他のアーキタイプのほうが強化の恩恵を受けそうなので相対的に地位を落とすのではないかと思います。

またイゼットやコントロールにとっては《中略》を得たことは大きな収穫でしょう。2ターン目から安定して唱えられるカウンターは喉から手が出るほど欲しかったものでこの1枚がもたらす影響は大きいものがあります。

また後述の注目カードにも上げますが《マナ形成のヘルカイト》はセット内でも注目度が高いカードで、イゼットを大きく強化する可能性があります。《黄金架のドラゴン》とマナ域が異なる4マナというのも素晴らしく《くすぶる卵》と同じ方向性を持ったカードという点でも噛み合っています。《アールンドの天啓》との相性も最高で新しい選択肢となるのは間違いないでしょう。

総じて「イニストラード:真紅の契り」によりスタンダードはまた変化を遂げることは間違いありません。

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注目カード

カード単体で見て特にセット内で注目しているカードです。注目度の高いカードから順に並べています。

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