2021年11月19日に発売(MTGアリーナには11月11日実装予定)となる新エキスパンション「イニストラード:真紅の契り」について、発売前の時点で構築フォーマットに影響を与えるカードという観点でいくつかのPartに分けて各カードを考察します。本記事はPart1になります。
白
招待制

一見わかり辛いですが、要するに新しいクリーチャー全体除去カードの登場と考えるのが良さそうです。
優れているというのは生け贄であるという点で、破壊不能のクリーチャーも問題なく除去できる点で非常に便りになります。さすがに現在の主流である《ドゥームスカール》のほうが優秀であるのは間違いありませんが、このカードも充分全体除去として優秀です。
もう一つの使い方としては自身がトークンクリーチャーを並べるようなタイプのデッキで使用することでしょう。自身のトークンクリーチャーと相手のクリーチャーという有利なトレードを強いる使い方もできます。むしろ《ドゥームスカール》が存在する間はこっちの使い方のほうがメインとなるかもしれません。
オリバクの救済者

※訓練の効果を誤認していたので内容を書き換えています。
能力そのものは非常に強力であるものの、訓練だと場に出たターンでは何も仕事をしないのでクリーチャー除去は即効性が重要という観点からも《粗暴な聖戦士》といったカードよりは見劣りします。
いまの白3マナ激戦区の中にあっては採用する優先度は下から数えたほうが早そうです。
神聖なる憑依

スタンダードのカードプールではこのカードを活用するほど優秀なエンチャントが少ないので流石にスタンダードでは厳しそうなカードですが、最近にわかに注目を浴びているヒストリックのエンチャントレスデッキであれば採用する価値はあるかもしれません。
墓所の守護者

一見地味であまり神話レアっぽくない能力を持ったクリーチャー。
白系のアグロデッキで採用するには中途半端感がありますが、瞬速を持っていることもあり白を含むコントロールのフィニッシャーとしてであればなかなかに強力であるように見えます。アグロよりもそういったデッキのほうが活躍できそうに思います。
スレイベンの守護者、サリア

ヒストリックの人間デッキでもお馴染みのカードが再録されます。
勿論スタンダードでは白単アグロの2マナ域の採用候補となりますし《オリバクの救済者》の登場も合わせて、次環境の白単アグロはますます有力なデッキとなりそうですね。
祝福されし者の声

優秀な2マナクリーチャーでライフゲインデッキではあっという間に強力なクリーチャーに育つクリーチャー。
スタンダードだと《月皇の古参兵》と組み合わせて使うことになりそうですが、ライフゲインデッキはスタンダードのカードプール的に白緑で組みたいように感じますのでマナコストがダブルシンボルなのが結構痛いところです。どちらかというとヒストリックのほうが使いやすそうなクリーチャーです。
青
飲み込む潮

軽コストで序盤からクリーチャーを並べてくるアグロデッキに対して唱えることで盤面をイーヴン以上にリカバリーできるというのが強そうな使い方として考えられますが、そこまでして使うかと言われてば「う~ん」となってしまうカードです。多人数戦で楽しむカードと考えたほうが良いかもしれませんね。
サイドボードならワンチャンあるかも?
先見的な縫い師、ゲラルフ

ゾンビデッキはゾンビの数を並べることが大事になるケースが多いという点を考えると、このカードがそこまで強いカードのようには感じませんが、ゾンビが並んだ時に飛行を持つことで一気に対戦相手を倒せてしまう可能性を考えると1枚か2枚くらいなら採用しても悪くないかもしれません。
どうでも良いことではあるのですがゾンビが全部飛行を持つというのは世界観的には何だか違和感を感じるのは私だけでしょうか?
過充電縫合体

4マナで呪文を打ち消す能力を持ったクリーチャーはこれまでいくつか登場していますが、本体が3/3飛行という及第点なスペックを持っているのは前例にはなかったと思います。それを考えてもかなり優秀なクリーチャーだと言えます。
青黒のゾンビデッキで使うのが最も良さそうですが繁用するクリーチャーにあまり困らないデッキであれば採用する価値はあるでしょう。何と言っても現在のスタンダードにおいて《アールンドの天啓》に無理なく対抗できるというのは見逃せないポイントです。
月の拒絶

相手が緑であれば《レンジャー・クラス》や《群れ率いの人狼》といったターゲットがいるので相当に強力なカードになりますが、4マナで打っても悪くはないので充分構築級のカードでしょう。
対象が狼でもあえて切除で唱えられるという点でも《くすぶる卵》と相性が良いカードです。
黒
悪魔の取り引き

13枚も追放すると欲しかったカードが追放されてしまうリスクも大きいので非常に使い辛そうなカード。本セットの外れ枠という印象が否めません。
戦慄宴の悪魔

場に出たらそこそこ強いですが、構築であればこのマナ域は出た時点である程度仕事をしてほしいところですね。リミテッドなら流石に強いですが。。
危難の道

コストの重い全体除去の弱点を見事にカバーしている良いデザインのカード。
白黒のボードコントロールの類のデッキで特に活躍してくれそうなカードですが、惜しむべきはそういったデッキは現状のスタンダードでは《アールンドの天啓》に手も足も出ないということでしょう。そう考えるとエスパーコントロールのほうが良いかもしれませんね。
不笑のソリン

プレインズウォーカーのソリンは久々の登場です。
能力的には中段の能力がちょっと弱い感じがしますのでもう一声欲しかったなという気がします。それでもスタンダードの吸血鬼デッキであれば充分採用候補にはなるでしょう。流石にヒストリックの吸血鬼デッキではお呼びではないですね。
蝕むもの、トクスリル

コストは重いものの、それに見合う能力を備えており《大修道士、エリシュ・ノーン》並みにクリーチャーを完封することができます。
コントロールデッキのフィニッシャーやリアニメイトデッキの釣り先として充分価値のある強力なクリーチャーです。
赤
錬金術師の計略

近年の傾向を見てもターンを得る類のカードは非常に注意を払ってデザインされていると思いますが、このカードもそんな印象を受けるデザインになっています。ダメージ経験は追加効果としてはかなり弱いですし積極的に使いたいとは思えないカードになっています。
勝負服纏い、チャンドラ

チャンドラといえば歴代活躍している印象の強い赤の代表的なプレインズウォーカーですが、今回のチャンドラはどうでしょうか。
一番上の能力はクリーチャーに飛ばないというのも気になりますし、中段の能力も結局何もしないという可能性も結構高い効果です。総じて今回のチャンドラはあまり使えないように感じます。
運命の改変

「このターンに」という記述がポイントで、このカード以外で捨てたカードもカウントされるのでそういった意味で何らか悪そうな使い方ができるかもしれません。
一見使えないカードであるのは間違いありませんし、現時点では思いつかないですがコンボデッキのパーツにはなる可能性は秘めています。
威圧する吸血鬼

レイコマこと《命令の光》を内蔵している吸血鬼。
相手がアグロデッキでダメージレースになるときには一気にレースを引っ繰り返すくらいのインパクトはあります。吸血鬼デッキの対アグロへの切り札になりえる性能を有しています。
ケッシグの狼乗り

起動型能力はおまけとして悪くありませんが、どこまで行っても打点が1点というのは引っかかる要素です。いくらアグロデッキでも少し使い辛い印象です。
マナ形成のヘルカイト

見るからに強力なドラゴン。まだセットのカードが全部わかっていませんがこのセットのトップレアになるかもしれません。
能力的には当然青赤で使うのが最も良さそうな使い方でしょう。4マナクリーチャーであるにも関わらずこのカードの生存を許してしまうとあと2,3ターンでゲームの決着をつけてしまうほどの押しの強さはあります。
ただし攻めていくように能力を使うには自分のターンでスペルを使う必要がありインスタントを構えるタイプでは若干使い辛いです。ただインスタントであっても相手のクリーチャーのアタック時に使ってブロッカーを製造する使い方もできるので、これがいるだけで相手としては非常にアタックもし辛くなります。
勿論これが場にいるときの《アールンドの天啓》は殆どゲームセット。確実に構築で使われること間違いなしのドラゴンでしょう。
《アールンドの天啓》は次のスタンダードでひょっとすると禁止措置となる可能性がありますが、既に公式から「イニストラード:真紅の契り」のリリース後の影響を見てから判断するとアナウンスが出ています。あくまで可能性の話ではありますが、そんな「イニストラード:真紅の契り」のカードがもし禁止の立役者になってしまったとしたら皮肉な物ですね。
緑
墓所のうろつくもの

対象とする墓地は自分でも相手でも良いので、このカードが是非対象にしたいであろうクリーチャーを取り除くのは容易のように感じます。単純に相手の墓地対策として使うこともできますので、墓地活用デッキに対するカードとしても使い道があります。
ただ現状の同じ3マナ域である《カザンドゥのマンモス》や《老樹林のトロール》といったカードにはどうしても見劣りしてしまう印象です。
耕作する巨躯

何とも豪快な能力を持ったクリーチャー。手札の土地の枚数分誘発できますし、この能力で土地を引けばチェインするというのも中々に面白いです。
《レンと七番》との相性も抜群。《世界を彫る者、ファイラス》と一緒にランプデッキで使うと面白そうです。
掘り起こし

序盤は土地カードサーチとして、後半は何でも引っ張ってこれるカードとして非常に便利なユーティリティカード。
こういったカードはミッドレンジ系のデッキと相性が良いです。・・・がそういったデッキは《アールンドの天啓》がキツイというのがまたしても頭をよぎってしまいますね。
マルチ
面汚しの乙女、エインジー

4マナ4/5という吸血鬼にあるまじきスタッツ。加えて血トークンがすべて2点砲台になるのは相当強力です。
本セットまでの吸血鬼デッキはあと一歩感が拭えませんでしたが、本セットのリリースにより吸血鬼デッキは相当に強化されそうです。
雑食するもの、グロルナク

かなりのアドバンテージを生み出すカエル。カエルと言われると《カエル声の写し身》くらいしか他には無さそうなので、相当使い辛そうな印象です。
能力自体は強力なのですが、如何せん本体スペックが微妙です。
結ばれた者、ハラナとアレイナ

赤緑の4マナ域クリーチャーとしてエース格になる可能性を秘めているクリーチャー。さすがにこのクリーチャー自身は対象に取れないようになってはいますが、毎ターン+2/+2を永続的に与えるのはゲームに大きなインパクトをもたらします。後発に速攻を与えるのも素晴らしいの一言です。
真紅の花嫁、オリヴィア

返ってきたオリヴィア(ヴォルダーレン)。オリヴィア・ヴォルダーレンは構築フォーマットでも活躍しているカードでしたが、今回のオリビィアはちょっと厳しいかもという印象です。
能力は強力ですが能力的にアグロ寄りの構築にならざるを得ないデッキにとって6マナというのは流石に厳しいです。コストを踏む倒す方法があればまだ良いのですが。。
天使の拳、トーレンズ

白緑のトークンデッキで使いたくなる能力を持っていますが、誘発条件がクリーチャー呪文なのでソーサリーでトークンを生み出すようなカードとは相性が悪いのが何とも歯痒いクリーチャーです。
リミテッドだと強いんだけどなぁ・・・という感じで収まってしまいそうです。
アーティファクト
調査官の日誌

とりあえずクリーチャーが一体でもいる状態で置けばアドバンテージを取ることはできますが、場に出すときの状況を選ぶというのは置けるときに置いておきたいこの類のアーティファクトでは減点要素になりますし使い辛そうな印象です。
両面カード
婚礼の発表


能力としては面白いのですが、アグロデッキで主に裏面のクリーチャー全体強化として活用したいカードであると考えると表面の能力は冗長すぎるように思います。3マナ域なら他にもっと良いカードは沢山あります。
ヴォルダーレンの投血士


2マナ2/1飛行となると構築では採用するギリギリのラインになります。5つの血トークンは流石に変身する条件としてはなかなか達成し辛いということもあり、若干
隠し幕


《難題の予見者》が黒くなって帰ってきました。

このカード自身が倒されなくてもカードを1枚引かれてしまうようになったのは弱体化したといっても良いですが、その分威圧を持っていることでアタックが通しやすくなっています。黒で対処することが難しい《エシカの戦車》を取り除くように使えるのは良いですね。
移り気な放火魔


裏面の強さには目を見張るものがありますが表面でも充分に強力です。攻撃時に相手本体に一点飛ばせるため実質的に5マナでパワー5持っているとも考えることができます。特に白単アグロのように線の細いデッキ相手には除去として充分使えるため強力なカードです。
威圧を持っているためブロックされ辛く継続的に攻撃しやすいことが大きな加点要素です。赤緑狼男デッキの5マナ域としての素質は充分でしょう。
ウルヴェンワルドの奇異


4マナ4/4速攻トランプルとなかなかのスタッツですが、やはり目を引くのは裏面の巨大なサイズですね。
変身に7マナもかかるのは流石に重たいですが、変身後の強さは本物です。同じ4マナ域の《エシカの戦車》と相打ちしてしまうのはどうしても気になってしまいます。せめてタフネスが5だったら・・・と思わされるクリーチャーです。
復讐に燃えた犠牲者、ドロテア


《聖トラフトの霊》を思い起こさせるクリーチャー。

表面が一回の戦闘しか行えないのは結構厳しく、ただの本体4点ダメージよりはブロッカーとして相手のクリーチャーと相打ちするように使いたいところです。エンチャントクリーチャーはどうしてもエンチャント先のクリーチャーを除去されたときのディスアドバンテージが気になりますし、それに対しての耐性がないのは残念なところです。
流城のルノ


変身したらかなり強力なクリーチャーになりますが、墓地に6マナクリーチャーを落としておかないと変身することが非常に難しいです。《異世界の凝視》のようなカードと組み合わせて使うと面白いデッキが組めるかもしれません。
土地
2色ランドサイクル





前セットである「イニストラード:真夜中の狩り」で不足していた対抗色の2色ランドが本セットにより補完されます。
これによりこれらの2色以上のデッキが組みやすくなるのは見た目以上の大きな変化でしょう。ストリクスヘイブンの通称見せランドのレア土地サイクルはこの土地の登場により出番が無くなりそうです。
Amazon:イニストラード真紅の契り
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