スタンダード「カルドハイム」~「イニストラード:真夜中の狩り」環境における白単アグロについての解説になります。
デッキリスト
白単アグロにはいくつかのバリエーションがありますが大きく二つに分かれます。
ポピュラーなタイプ

特徴
白単アグロの最もポピュラーな形。全体的に単体で強く質の良いクリーチャーを採用しているため粘り強い攻めが特徴です。
1ターン目からクリーチャーを展開して怒涛の攻めを展開する白単アグロならではの展開を持ち味。加えて3マナ域の《精鋭呪文縛り》《傑士の神、レーデイン》《スカイクレイブの亡霊》《粗暴な聖戦士》がこのデッキの肝になっており、攻めを継続しながらも相手の妨害を務めるため相手からしても簡単には対処することが難しいアグロデッキになっています。
また追放する類のカードが多いため《石縛りの使い魔》がドンドン大きくなっていくのも特徴で特に《日金の歩哨》と組み合わせの良さは特筆すべきところです。3/3以上は割と簡単に育ちます。
カードの見た目はサイズが小さいクリーチャーが多いですが《石縛りの使い魔》だけでなく《光輝王の野心家》や《剛胆な敵対者》によってもサイズが大きくなるため、見た目以上に打点も高いデッキになっています。
長所短所
白単アグロは現スタンダード環境のアグロデッキの中でも最もキルターンの早いデッキであることが最大の特徴で、序盤に相手がもたついている場合にはその隙を見逃さずあっという間に対戦相手を倒してしまうことができるのが最大の魅力です。
また特に3マナ圏のクリーチャーが優秀で、メタゲームやサイドボード後など対戦相手に応じた適切な妨害能力を持つクリーチャーを選択できることで相手にある程度順応した戦い方ができるのも強みの一つです。
反面、このリストではいくらかカバーできているとは言え単体で弱いカードが多く《光輝王の野心家》や《剛胆な敵対者》等を的確に除去されてしまうと全体的にサイズも貧弱、中後半にはカードパワーで劣り気味で勝ち切ることが難しくなります。
特にスタンダード環境屈指のパワーカードである《エシカの戦車》が場に出てしまうとその対処には手を焼かされるでしょう。
高速ビートダウン型

特徴
白単アグロの中でもより前のめりな構造となっているのがこのタイプ。
全体的に非常にマナコストが軽いカードを中心となっており「1ターンに2回呪文を唱える」を簡単に達成しやすいようになっています。怒涛のように1~2マナ圏のクリーチャーや《クラリオンのスピリット》によるトークンを含めたクリーチャーを数多く展開し、それらを《レオニンの光写し》や《希望の儀式》で強化しながら強引に押し切ってしまうことをコンセプトとしています。
序盤からの攻勢が成功したら勝利、一旦凌がれてしまうと逆に勝利が遠のく。そんな潔さがあります。
前述のポピュラーなタイプの白単アグロより更に早い攻撃を可能としており、その速度はスタンダード環境ではトップクラスでしょう。
長所短所
とにかく相手へのクロックが早いのが最大の長所です。軽コスト除去の連打だったり《燃えがら地獄》のような全体除去が打たれなければこの攻勢を簡単には止めることができません。2マナのクリーチャー単体除去を数発撃つ程度であれば、とてもこのデッキの展開速度に追い付くことができないケースも多いでしょう。
それ程に前のめりなデッキになっている分、カード単体は弱くなっているため一旦攻勢が凌がれてしまうとそこから体制を立て直すことは難しく、そこから勝利を目指すことはかなり厳しくなってしまいます。
シーソーゲームのようなゲームではなく「押し切る」か「敗北」かが割とハッキリしやすいゲームが多いです。土地を少しでも多めに引いてしまうと厳しいデッキになるので、そういう意味でもBO3よりBO1に向いているリストとも言えます。
白単アグロの採用候補
1マナクリーチャー









1マナクリーチャーとしては上記あたりが白単アグロの採用候補になります。
最も癖がなく使いやすいのは《堕ちたる者の案内者》。《素拳のモンク》も屈指の性能を持っていますがどうしてもコストを軽めに組まざるを得ないという側面がありますのでデッキ構築に影響を与えることになります。
《石縛りの使い魔》か《素拳のモンク》か。この選択によってデッキ全体の構築に影響を与えざるを得ないでしょう。
2マナクリーチャー






《光輝王の野心家》は白単アグロの肝とも言えるカードなので4枚必須。《剛胆な敵対者》も強力なカードなのでこちらも採用したいところです。
その他にも優秀な2マナ圏のクリーチャーは多く存在しています。《クラリオンのスピリット》は前環境から活躍しており強さはお墨付きですが3マナ圏のクリーチャーにも強力なカードが多く共生することが少し難しいのが悩みの種です。
3マナクリーチャー








このマナ域の層の厚さが白単アグロの強さを支えていると言っても過言ではありません。それほどまでに強力なクリーチャーが多数存在しています。
中でも汎用性の高い《精鋭呪文縛り》。トークンを生み出すだけでなく単体でも強い《輝かしい聖戦士、エーデリン》。緑単、イゼットなど環境主要デッキに軒並み効果的な《傑士の神、レーデイン》あたりは是非とも採用したいカードです。
《スカイクレイブの亡霊》《粗暴な聖戦士》は相手がクリーチャーデッキであれば必ず使用したいカード。メタゲームによってメインボードの枚数は調整が必要になってきますが、少なくてもサイドボードには一定の枚数を確保しておきたいところです。《神に愛された者、シグリッド》は先の2枚を採用した上で追加の除去と考えましょう。
《ガーディアン・オヴ・フェイス》は主にクリーチャー全体除去を唱えてくる相手に役立ちます。
4マナクリーチャー


前述のように3マナ圏が優秀なのでデッキが重たくなることを避けるために4マナ域を採用しないデッキも多いですが、採用するなら《軍団の天使》一択でしょう。《軍団の天使》がいるだけでもデッキの粘り強さが大幅にあがります。
《戦闘の神、ハルヴァール》は装備品を多めに採用するのであれば使用する価値はありますが《消えゆく希望》のようなバウンスが多く存在する環境であれば、装備品自体が環境に適さないこともありますのでそのあたりの見極めが必要です。
その他






《スカイクレイブの大鎚》は白の装備品の中でも群を抜いて強力。特に飛行が止まらない緑単アグロに強力です。
《運命的不在》は白単アグロだからこそ使いやすい一枚。白単アグロのように早いアグロデッキであれば調査トークンからカードを引く暇を与え辛いため使い勝手は大きくあがります。
《静寂の呪い》は打たれたらキツイという高コストカードが蔓延しているのであれば採用する価値はあります。ただこの手のカードは裏目を引くと何もしないカードになってしまう点には注意が必要でプレイヤーの腕を問われるカードの1つです。
《高貴なる行いの書》は《不詳の安息地》とのコンボがメインになります。最近は採用されていない傾向にありますが白単アグロを使うならこのカードの存在も覚えておきましょう。
プレイングガイド
デッキの扱いとしては基本的に難しい点はありません。クリーチャーを展開し《精鋭呪文縛り》や《スカイクレイブの亡霊》で相手を妨害したり、クリーチャー除去しながらビートダウンを仕掛けるという真っ直ぐなデッキです。
《精鋭呪文縛り》で相手の手札を覗くことができるのもプレイの裏目を引き起こす確率を下げることに役立ちます。
このデッキに限らずMTGのコンバットという点には腕の差が表れやすいですが、このデッキならではの点として《光輝王の野心家》による+1/+1カウンターの乗せ方は腕を問われる部分と言えます。
- 相手のブロッククリーチャーを踏まえどのクリーチャーにカウンターを乗せれば最大打点を与えられるのか。
- 相手の次ターンに出てくるクリーチャーを予測してカウンターを乗せておく。
- 火力除去の圏外になるように除去されない間にタフネスを引き上げておく。
- 相手の全体除去を考慮して《不詳の安息地》にカウンターを乗せる。
などなど、カウンター1つ置くだけでも悩ましいケースは多々あります。様々なケースを考慮しながらカウンターを乗せる必要があるというのは覚えておきましょう。
サイドボードガイド
特定の使用デッキを元にしたサイドボードガイドではなく一般的にメインとサイドに存在する可能性のあるカードを考慮して掲載しています。
緑単アグロ、赤緑アグロ、白単アグロ
OUT


IN



《精鋭呪文縛り》はアグロのような軽コストが多い相手には有効性が下がります。サイドインする枚数次第ではいくらか残しても問題ないカードですが、サイドアウトの候補になります。ただ《エシカの戦車》に対して《精鋭呪文縛り》は《傑士の神、レーデイン》と並んで唯一の回答となり得ます。そういった意味でも先行ならいくらか残しても問題ありませんが、後攻なら間に合わないことも間々あるので全部抜いても良いでしょう。
《輝かしい聖戦士、エーデリン》は能力によって生み出される1/1トークンがアグロ相手にはただのチャンプアタック(ブロックされて一方的に打ち取られるアタック)になりがちなので有効性がやや下がります。サイドインするカードも3マナ圏になるので、3マナ渋滞にならないように調整しましょう。
イゼット、ディミーアコントロール
OUT



IN



イゼットと一口に言ってもイゼット天啓、イゼットドラゴン、グリクシス天啓がありますが、何れにしてもあまりサイズ修正が意味を成さずクリーチャー除去でテンポを取られてしまう《スカイクレイブの大鎚》は抜きます。
また生かしておくとやっかいなクリーチャーを入れていることも多いためクリーチャー除去は必要ですが《くすぶる卵》や《溺神の信奉者、リーア》《黄金架のドラゴン》が主なターゲットとなることに際して、《スカイクレイブの亡霊》のようなコスト参照により裏目を引きやすいものは排除し《運命的不在》のように何に対しても効果のあるカードに差し替えることを推奨します。
《ガーディアン・オヴ・フェイス》は相手のクリーチャー除去に合わせて使うようにしましょう。
スゥルタイ、セレズニアランプ
OUT

IN



《レンと七番》のトークンはサイズが大きく白単アグロで乗り越えるにはやっかいな存在ですので、ツリーフォークトークンをしっかり除去できるカードを用いることが重要です。
そういった意味で《スカイクレイブの亡霊》より《粗暴な聖戦士》のほうが、ランプデッキに対する採用価値は上がります。《ポータブル・ホール》も同様ですが、さらに相手の2マナのマナクリーチャーも除去することにも役立ちます。
入れたいカードに対して抜きたいカードが少ない相手ですので、2マナの《日金の歩哨》や《剛胆な敵対者》あたりの枚数を調整するのも悪くはないでしょう。
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