イニストラード:真夜中の狩りがMTGアリーナに実装されたことで、スタンダードはローテーションを迎え新環境となりました。
執筆時点ではイニストラード:真夜中の狩りがリリースされてまだ5日程度しか経っていないというタイミングの中、現時点で新スタンダードを彩るデッキについて紹介していきます。
赤緑アグロ
赤緑のアグロデッキは「イニストラード:真夜中の狩り」の恩恵を強く受けています。それによりいくつかの形に分岐して登場しています。
グルールマグダ

前環境のスタンダードでも猛威を振るっていたグルールマグダの新環境版。
《エンバレスの宝剣》を失ったとはいえ《ヤスペラの歩哨》と《厚顔の無法者、マグダ》から繰り出されるロケットスタートは健在です。
特にこのリストに1~2枚しているクリーチャーカードについてはまだまだ検討の余地を残していますが、新戦力の《無謀な嵐探し》に関しては既に4枚固定で定着した感が強く、赤を使う理由の1つになるほどに程に強力なカードです。《エシカの戦車》が速攻を持って攻撃してくるなんて相手側からすると想像すらしたくありませんね。
そして《エシカの戦車》《レンジャー・クラス》《群れの希望、アーリン》と一筋縄では対処できないパーマネントが多く、コントロールデッキであってもこれらのカードには容易に対処できないことがこのデッキの強さを支えています。新環境ではTier1になっても不思議ではないというくらいのパワーが緑赤にはあると感じます。
このデッキに限った話ではありませんが《エシカの戦車》は相当に強力なカードであり、現状の狭いカードプールという状態の中でこのカードが使えるという時点で緑はアドバンテージを得ているといっても過言ではありません。
グルール狼男

こちらは狼男のシナジーを軸に構成されているグルール。
「イニストラード:真夜中の狩り」の赤緑のテーマである狼男の新カードの数々によってもたらされたデッキです。何気に《レンジャー・クラス》で生み出すトークンも狼という点も見逃せません。
《ヤスペラの歩哨》がない分、1ターン目には確定で動けず初速の早さには若干かけるところが除去で時間を稼がれやすいというところにも繋がってくる側面があるものの、狼シナジーが機能し始める中盤以降の強さは圧倒的です。
当然夜になると強力になりますが(相手のデッキを考えなかった場合)デッキの性質的に夜になり辛いというのは少し気になるところです。ですが《深夜の災い魔、トヴォラー》がその欠点を埋めている上に、表面でも充分強力であるのは本デッキの長所とも言えるでしょう。
緑単アグロ

スタンダード2022のトップメタであった緑単アグロは当然新スタンダード環境でも有力デッキの1つです。
イニストラード:真夜中の狩りからは、3マナ域の優秀なクリーチャーである《茨橋の追跡者》が採用されています。トークンであればパワーが+2されるため《エシカの戦車》や《レンジャー・クラス》でもパワーを維持しやすく、調査も比較的行いやすいため使いやすいクリーチャーです。警戒もアグロ同士の殴り合いにおいては役に立つ能力です。
そしてこのリストでは《不自然な成長》が採用されているのが目を引きます。トランプル持ちのクリーチャーを組み合わせれば、まるで《エンバレスの宝剣》のように前のターンには想像の出来ない打点を叩き込むことができます。
コストが重く状況を選ぶカードではあるため採用枚数のバランスは難しいところがありますが、一考の余地を持つ新戦力です。
白系アグロ
白単アグロ

白単アグロはいつの時代にも存在しているようなイメージがありますが、それは新スタンダード環境でも例外ではありません。
そして《エンバレスの宝剣》が去った新スタンダード環境の最速デッキ筆頭はこの白単アグロでしょう。
現在の白単は3マナ域の優秀さに目が行きがちですが、1マナ域と2マナ域のクリーチャーもそれに負けず劣らず優秀なクリーチャーが多くあります。特に《素拳のモンク》が優秀で《クラリオンのスピリット》も踏まえると、もっと軽い構成にしてみるのも面白いかもしれません。
私は初見ですっかり勘違いしていたのですが新戦力の《輝かしい聖戦士、エーデリン》は自身のアタックでなくても能力が誘発するため、クリーチャーを横並べにすることに非常に長けているのも特徴です。そんなデッキで真価を発揮する《剛胆な敵対者》もまさに白単アグロが求めていたクリーチャーでしょう。
とにかく速攻で相手を倒したいという方には最もおすすめするデッキです。
ボロスアグロ

ボロス型のアグロデッキ。ボロスと言えば前環境からお馴染みの《スカルドの決戦》。このリストでもしっかり採用されています。
このリストは《月の帳の執政》が採用されているところが最も目を引きます。普通に4/4飛行が強いですし《スカルドの決戦》のようなマルチカラー呪文を唱えるとそれだけでアドバンテージを稼いでくれるというのは注目に値します。そして《スカイクレイブの亡霊》と《粗暴な聖戦士》の8枚体制でクリーチャーを除去していく構成になっていることに加えて《ポータブル・ホール》を採用しているため、どちらかというとやや中盤以降の戦いを見据えたリストとなっています。
ボロスと言えば速攻型のアプローチが一般的ですが、アグロ同士の対決が多いことを踏まえてこのようなアプローチで構築するというのはデッキ作成者のセンスが光りますね。
青赤テンポ系
イゼットドラゴン

前スタンダード環境でもメタゲーム上位に存在していたイゼットドラゴンはローテーションで失ったパーツもあまり多くなく、新環境においても殆どそのままの形で存在しています。
それどころか、イニストラード:真夜中の狩りで優秀なカードが多数登場したことから更に強化された可能性すらあります。
そんな新カードの中から採用されているのは《くすぶる卵》。序盤は0/4の壁として身を守りながら変身することでフィニッシャーになるという逸材です。まさに青赤が求めていたカードの1つと言えるでしょう。
このリストでは他は既存のデッキリストとあまり差異はありませんが《月の帳の執政》をはじめ、イニストラード:真夜中の狩りには青赤のデッキで採用を検討するに値するカードは他にもありますので、今後は進化したリストのイゼットドラゴンが現れても不思議ではないでしょう。
引き続き対戦相手として要警戒のデッキです。
イゼットデルバー

イニストラード:真夜中の狩りにおいて大注目の再録カードである《秘密を掘り下げる者》。このカードを用いたイゼットデルバーが生まれるのは自然の流れとも言えます。
デルバーデッキは早々にデルバーを変身させ、相手の攻勢をカウンターや除去バウンスでいなしながら押し切るというのが一般的ですが、変身条件の都合からデッキ構築に一定の制限がかかり、繊細な構築が求められるカードです。
そういった意味でもこのリストはまだ粗削りな感が感じられますし環境初期の叩き台レベルと考えたほうが良さそうです。今後リストがどんどん洗練されていくのは間違いないでしょう。新環境でデルバーがどこまで活躍するのか要注目です。
セレズニアランプ

ハイレベルなトーナメントという訳ではありませんが、9/20のとあるオンライントーナメントで優勝という結果を残したのがこのセレズニアランプです。
ランプして唱える呪文の中心となっているのが新カードである《レンと七番》と《収穫祭の襲撃》。《レンと六番》は-3能力で生み出されるトークンのサイズが概ね5/5以上であるためコンバットで《レンと七番》を落され辛く、事前に想像していたよりも強力なプレインズウォーカーです。
《収穫祭の襲撃》はどうしても当たりはずれがある面が気にはなりますが、フラッシュバックを持っているためランプデッキがただランプしただけで唱える呪文がないという負けるケースを緩和してくれる点でもランプデッキを噛み合っています。
セレズニアは《鎮まらぬ大地、ヤシャーン》を採用することで土地を確保しやすいというのはシミックランプとの大きな相違点でしょう。
やはりランプデッキの宿命として高速デッキに弱いというのは抱えていますが、メタゲームがミッドレンジ寄りになってくれば出番は増えてくるかもしれません。
オルゾフミッドレンジ

スタンダード2022でも上位メタであったオルゾフミッドレンジ。
盤面のクリーチャーを対処する手段に長けたデッキになっており、単体除去に加えて多数の全体除去でアグロデッキに対抗するタイプのデッキです。《よろめく怪異》と《命取りの論争》が生み出す宝物トークンでマナ加速できるため重たいと感じる《雪上の血痕》も意外と苦にすることなく唱えることができるのが特徴です。
《蜘蛛の女王、ロルス》は速度感が環境に合っていなかったためローテーション前はあまり活躍出来なかったものの、新環境では活躍が期待されるプレインズウォーカーの1つです。このデッキでは仮に倒されても《雪上の血痕》で帰ってくることも可能になっていますし、数少ないカードアドバンテージ源でもありますからこのデッキのキーカードとも言えます。
アグロデッキに勝ちたいというときにはこのデッキを手に取ってみるのも良いかもしれません。
マルドゥサクリファイス

こちらもスタンダード2022で存在していたデッキであるマルドゥサクリファイス。
《よろめく怪異》や《ひきつり目》など、ただでは死なないクリーチャーを展開し《血の化身の目覚め》の餌にすることで勝負を決めるのが基本戦略になっています。
新戦力としては《ネファリアのグール呼び、ジャダー》が挙げられます。《ネファリアのグール呼び、ジャダー》は腐乱の2/2を半永久的に生み出してくれるので、サクリファイスの種としてはうってつけです。
全体的に単体でのカードパワーが低いカードが多いのはウィークポイントとなっていますが、相手を翻弄するようなトリッキーな動きをするのが特徴でそういったデッキが好きな方におすすめのデッキです。
コメント