イニストラード・真夜中の狩りレビュー後編(両面・多色他・注目カード)

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2021年9月24日に発売となる新エキスパンション「イニストラード・真夜中の狩り」について、発売前の時点で構築フォーマットに影響を与えるカードという観点で各カードを考察します。

本記事では前編で触れた(白・黒・赤・青・緑)以外のカードについて触れていきます。総括や注目カードについても記載しています。

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多色

天使火の覚醒

こういったソーサリータイプのクリーチャー強化呪文はクリーチャー除去と合わせられるとキツイので構築ではあまりお呼びではないのですが、付与される効果が中々に強力なのでアグロ同型で使うならワンチャンあるかもと思われてくれるカードです。

秘儀の注入

如何にも青赤らしい効果を持つカード。実際のところ4枚からインスタントとソーサリーしか選べないとなると、デッキの大半がソーサリーインスタントで占められていない限り結構な割合でスカります。いくらフラッシュバックがあるとは言えスカる確率が高いなら使えないです。

もしソーサリーインスタントが大半を占めるデッキが作れたら間違いなく使うカードでしょう。

未練残り

カードを使うタイミング(状況)を選ぶ上に効果もそこまで強くない。そのようなカードにいくらフラッシュバックがついていてもスタンダードでは使うことは殆どないでしょう。3マナ以下ならスタンダードでリアニメイト戦略も取り辛いですからね。

凶兆の血の暴行

テキスト長すぎて途中で読むのを諦めそうになるカード。

土地を破壊するのであれば自分の土地を破壊することでマナ加速ができ、相手のエンチャントアーティファクト土地にも対処できますよ、という感じのカードですね。どちらかというと自分の土地を壊してマナ加速するほうがメインで、他にも少しできることがついたカードと考えたほうが良い可能性すらあります。

ランプデッキなら採用する価値はあるかもしれません。

ヴォルダーレンの末裔、フロリアン

誘発する条件がライフさえ失っていたら方法は何でも良いというのはかなり達成しやすい条件ですし、誘発する能力も強力ですからスタンダードでの使用に値するクリーチャーです。他のカードよく見かけるようなこれ自身がダメージを与えている必要がないというのはかなり大きなメリットです。

火力呪文でライフを減らしても誘発させられますから、火力が火力を呼び・・・みたいな展開もありえますね。相手からすると生かしておきたくないクリーチャーと考えるとその強さが伺い知れます。

忘れられた大天使、リーサ

5マナ4/5飛行絆魂だけでもダメージレースを大きく有利にしてくれますが、クリーチャーが死亡しても全部帰ってきてしまうとなれば相手からするとコンバットし辛いことこの上ありません。

白黒天使デッキはスタンダード2022でも有力デッキの1つでしたが、充分新戦力として活躍してくれそうなスペックを持っています。天使デッキでなくても充分採用する価値はあるでしょう。

ドーンハルトの主導者、カティルダ

プロテクションはおまけと考えたほうが良さそうですが、マナ加速もできる上に後半役に立つ能力まで付与されているため伝説というのは少し引っかかるものの2マナのマナクリーチャーとしては強力です。人間デッキで使うのが望ましいですが6マナの起動型能力は人間かどうかは問わないので、人間デッキ以外でも問題なく使えるというのは好印象です。

年経た枝指

墓地にカードを落とす効果を持つものでクリーチャーといった固有のカードタイプのみを墓地に落とすというのは比較的珍しいですね。墓地にクリーチャーがいないとタフネス0ですが、唱えたときに誘発するため3マナであれば墓地にクリーチャーがいなくても唱えて問題ないデザインになっています。

本セットの緑黒のカードには墓地参照するカードが多いので、そういったデッキで使ってくださいというデザインの意図がはっきりと伝わってきますね。同セットの《戦墓の再誕》もまさにそういった趣のカードです。

確固たる討伐者、レム・カロラス

赤白アグロ向けの伝説クリーチャー。赤白で火力を積んでいるタイプなら採用する候補にはあがってくるでしょう。

呪文のダメージ軽減効果は赤のように特定のデッキにしか効果がありませんが、次期スタンダードでもアグロの天敵カードとなる《燃えがら地獄》を自然と対策してくれるという点は素晴らしいです。

下段の1点ダメージ追加というのは全ての火力の底上げにはなるものの、後に述べる《聖なる火》が《稲妻のらせん》になるよと直球で言われてるような気がしてなりませんね。

聖なる火

《稲妻のらせん》が2点になってフラッシュバックがつきました。フラッシュバックコストは6マナとかなり重めなので、あまりフラッシュバックを期待しすぎないほうが良いかもしれません。

所詮は2点の火力なので2点ダメージが刺さりやすい環境でなければ使い辛いように思います。前述のレム・カロラスがセットなら採用する価値は上がります。

秘儀の注入

有名なカードである緑1マナの《垣間見る自然》の上位互換とも言える能力を持つカード。

緑白ですから《クラリオンのスピリット》を用いたトークン戦略のデッキで使うのが最も素直な方法かもしれません。何気にインスタントなので、これと相性の良さそうな《ブレタガルドをかけた戦い》といった英雄譚の誘発能力に合わせて唱えられるようになっているのも使い勝手の良さに貢献していますね。

スタンダードでも使えそうですが、ヒストリックや下環境のほうが活躍してくれる可能性を感じるカードです。

光の勇者、シガルダ

4マナ4/4飛行トランプルというスタッツに加えて、人間のロード効果まで併せ持つ強力な天使。

これだけでも充分構築レベルですが集会能力がこれまた強力です。このカードのパワーが4なので人間デッキでは他とパワーが被りにくいことから集会条件も比較的達成しやすそうに感じます。流石に集会まで起動できるようになったらお化け以外の何物でもありません。

緑白の人間デッキは次期スタンダードで活躍しそうですが、その率先役となるのは間違いないでしょう。

大スライム、スローグルク

今回の緑には《レンと七番》のように土地を絡めた能力を持つカードが多いですが、中でもこのカードはそういったデッキで使うことを意図してデザインされているようです。《寓話の小道》があればベストパートナーだったのですが、スタン落ちしてしまったのが悔やまれます。

加えて全体的に能力が悠長なので、構築での活躍は難しいかもしれません。今後のセットでフェッチランドのような土地が収録されたら出番が出てくる可能性はあります。

日の出の騎兵

3マナ3/3トランプルに加えて、クリーチャー強化できる(かもしれない)能力まで備えているとなると充分構築レベルです。

ただ他の白い3マナクリーチャーの充実具合が半端ではないので、そこに割って入れるかどうかとなると難しいかもしれません。

日没を遅らせる者、テフェリー

青白のマルチカラーテフェリーとしては歴代強力なものが多かったので、それだけで強く見えてしまうのは私だけではないだろうと思います。

今回のテフェリーは盤面にあまり影響しない能力ばかりで、プラス効果に関しては自分のターンのみの一時的なタップなので次の自分のターンまで守るという行動には繋がりません。そのため今までのテフェリーと違ってデッキを選ぶような印象を受けます。5ターン目に出すと実質2マナ浮かせられるとは言え、それでは結局2ライフ得られるだけというのも少しイマイチに感じます。

マイナス能力や奥義に関しては強力だと思います。

決して弱いという訳ではありませんが、いままでのテフェリーが強かったからか念入りに調整されたことを感じさせられるデザインに仕上がっています。どこまで活躍してくれるのかが楽しみなカードです。

吸血鬼の社交家

赤黒の吸血鬼デッキのエースになるであろうカード。1ターン目に《ファルケンラスの闘技士》から2ターン目にこれを出すだけでお手軽に《ファルケンラスの闘技士》が3/2になるというのはわかりやすい強力なムーブです。

星の大魔導師、ヴァドリック

コスト軽減効果がドンドン上がっていく能力を持ったウィザード。こういった軽減効果はお供となるスペルの強さに依存するところがあり、特にコンボデッキのようなデッキで使われやすいですが、次期スタンダードではそういったデッキが作れるのかは現時点では未知数です。

ですが3マナで基本タフネスが2のクリーチャーとなると簡単に処理されてしまいやすい上にテンポまで逆に取られかねません。そういった意味では結構厳しいかなと思います。

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土地

3ターン目からアンタップインするという新種の土地。フォーゴトンレルムのミシュラランドは逆に2ターン目までアンタップインなので、このランドとは対比的です。そういったスタンダードのタイミングを意図してデザインされたのではないかと思われます。

勿論強力なランドなのでこれからしばらくお世話になることでしょう。

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両面カード

粗暴な聖戦士

度々登場する白3マナの相手クリーチャーを追放する能力を持つクリーチャーの中でもかなり良質なクリーチャー。

もし夜明で再度表面になって2体追放できたならとんでもないコストパフォーマンスになります。そうでなくても表面でもパワーが2ある上、裏面では更に3/3先制攻撃と殴りに行くクリーチャーとしての素質も備えているのは素晴らしいです。

不朽の天使

本体呪禁は活躍するシーンが結構限られますし、スタンダードとなると尚更微妙な感はぬぐえません。

白マナシンボルが3つもある5マナでこのスペックとなるとイマイチな印象です。確かに裏面に変身することでアグロに対して逆転できるケースもありそうですが、そういったケースは稀な気がします。

月皇の古参兵

《魂の管理人》の能力が自分のクリーチャーのみに誘発するようになった代わりに降霊できるようになりました。

降霊コストも安く、降霊には飛行がついているというのは良いですね。スタンダードで使われるようになっても全く不思議ではありません。

秘密を掘り下げる者

英語名から通称デルバーで通っているカード。本セットの両面カードで最も注目されているカードといえばこのカードで間違いないでしょう。

旧イニストラードからの再録。当時のスタンダードでも大活躍、現在もレガシーのような下環境をプレイする方にとっては知らない人はいないであろう有名なカードです。

次期スタンダードであれば青赤で使用するのが有力でしょうが、今回もスタンダードで大暴れすることになるかどうか注目です。

心悪しき隠遁者

コントロールデッキから見ると邪魔な能力ばかり持っているカード。2マナでパワー2あるのである程度クロックをかけられることもコントロールにとっては頭痛の種になりそうです。

サイドボードに入れるカードとしても優秀だと思います。

戯れ児の縫い師

放っておくとあっという間に盤面をトークンで埋め尽くしてくれる上に、裏面でトークンが一気に強化されるためフィニッシュ手段も充分に見込める強力なカード。

3マナ域のカードがフィニッシュ手段になれるというのは弱いわけがありません。今後カードプールが増えてインスタントソーサリーが増える程強さを増してくるという意味でも期待充分です。

堕落した司教、ジェレン

裏面のオーメンダールになれたらさすがに強力ですが、条件がきつすぎるのでそれは期待しないほうが良いでしょう。

このカードを出すだけで2/3に加えて1/1も出てくることから人間トークンを場に出すことでシナジーを生むようなデッキであれば採用する価値が生まれますが、そうでもない限りは使い辛い印象です。

無謀な嵐探し

このカード自体が3/3速攻と考えても良い能力ですし、これ以降のクリーチャーがほぼ全て+1/0速攻で出てくるとなると強力極まりない能力です。裏面でもになろうものならダメージレースで負けることは早々無いでしょう

もっさりしがちな緑クリーチャーとの相性は抜群です。

くすぶる卵

氷の中の存在》のリメイクカード。《氷の中の存在》は良く使われたカードでしたが、このカードもそういった可能性を充分に感じます。変身もしやすい上に、変身するとインスタントかソーサリーを使う度に2点もダメージが飛ぶというのは破格です。

青赤スペルデッキで使われるのは間違いありませんが、青赤スペルデッキのパーツは他にも良いカードが多く嬉しい悲鳴ですが構築に頭を悩まされそうですね。

シボウタケの若芽

毎ターン切削してくれる上に、結構な確率で3/3に変身する1マナクリーチャーとなると強力であることは疑いようがありません。

特に切削して墓地活用するようなデッキは初動の立ち上がりに時間を要する傾向にありますが、このカードは1マナなのでそういった要素をカバーできるというのは頼もしい限りです。

不吉な首領、トヴォラー

赤緑という色であるにも関わらず多大なアドバンテージを生み出しかねない強力なクリーチャー。

裏面も当然強力ですが、表面でも充分強いので赤緑の鍵となれるクリーチャーでしょう。

何気に《レンジャー・クラス》で出てくるトークンクリーチャーも狼だったりします。

群れの希望、アーリン

緑赤のプレインズウォーカーとしては久しぶりに期待できそうな一枚。

2/2狼トークンを2体並べられるというのも強力ですし、その上裏面の5/5破壊不能トランプルで攻撃できるというのも非常に強力です。狼はコストが重めなので複数並べるのが大変ですが、それを簡単に2体用意してくれるというのは部族的な意味でのメリットも大きいでしょう。

特に前述の《不吉な首領、トヴォラー》とは相性抜群ですし一緒に使ってねと言われる気がしてなりませんね。

敵意ある宿屋

生け贄シナジーのあるデッキであれば非常に強力な土地になりますが、ローテーション直後のカードプールでは生け贄シナジーのデッキは組みにくそうな印象です。今後どこかのタイミングで頭角を現してくるタイプのカードかもしれません。

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セット全体の総評

セット全体通して、ローテーション直後に相応しく優良カードが多いエキスパンションというのが率直な印象です。飛びぬけて強いカードがあるというよりはバランスの取れた強いカードが多いという印象を受けますし、次期スタンダードを盛り上げてくれるセットになるのは間違いなしといったところです。

スタンダード2022で有力デッキだった緑単といったデッキは引き続き存在し続けるでしょうが、ガラッと環境は変わることになるでしょう。それくらいインパクトのあるカードが粒揃いです。

本セットは部族にフィーチャーしている側面も大きく特に「人間、吸血鬼、狼(男)」あたりの部族デッキは次期スタンダードで必ず頭角を現してくるのではないかと思います。やはり白系のアグロなんかは環境で真っ先に出てくるであろうアーキタイプになりそうです。

しかし、最も注目であろうカラーリングは青赤になると思います。

青赤はインスタントソーサリーを多めに搭載したイゼットスペル型のデッキは必ず出てきますし、それもデルバー型のアグロ寄りテンポデッキからミッドレンジ~コントロール寄りのデッキまで多岐に渡るタイプが出てくるのは想像に難くありません。前環境のイゼットドラゴンも引き続き存在しますし、色々なイゼットデッキを見かけることになるでしょう。

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注目カード

個人的な好みも多少あるかもしれませんが、とにかく青赤に関するカードは目を引きます。デルバーは当然なのでさておき最も注目しているのは《月の帳の執政》です。どう見ても強いですが、特にデルバー型の青赤で使われるようになるのではないかと思います。(デルバー型じゃなくても強そうですが)

他にも《記憶の氾濫》《戯れ児の縫い師》《くすぶる卵》と構築意欲を引き立たせるカードばかりです。

他のカラーでも本当に注目カードが多くて1枚1枚上げていくとキリがないくらいです。最近のエキスパンションの中でここまで注目カードが多いと感じることはあまりありませんでしたから、ローテーション後のスタンダードが楽しみです。

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