渦巻く知識が強いカードである理由

戦略記事

《渦まく知識》。英語名ブレインストームであるため、通称ブレストとも呼ばれるこのカード。MTGアリーナではヒストリックで使用が認められているカードですが、このカードは一見して強さがわかりにくいカードと言えるでしょう。

競技プレイヤーの間では強いカードとして名が通っているカードなのですが、効果としては都合「3枚引いて2枚ライブラリーに戻すだけ」なのに本当に強いの?と懐疑的になるのも全く不思議ではありません。同じく青1マナである古のパワーナインの壊れカードのように唱えて手札が増えるわけでもありませんから。

そんな《渦まく知識》ですが、具体的にどこが強いのかについてフォーカスして解説していきます。

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前提:青1マナのインスタントであるということ

まず見たらわかる話なのですが、コストがたったの青1マナかつインスタントということで最も唱えやすい部類のカードです。

これから述べることが全てこの軽コストで実現出来るということを念頭においてもらえたらと思います。

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手札の質を大きく向上させる

《渦まく知識》が最も強さを発揮するであろうポイントは「手札の質を大きく向上させること」です。

MTGではデッキに無駄なカードは1枚も入っていないものですが、現在のタイミング(ターン)、相手のデッキ、自身のデッキコンセプト等によって引くと無駄になってしまうカードがどうしても存在してくるものです。例えば以下のようなケースが挙げられます。

  • ノンクリーチャーデッキ相手を相手にしたときのクリーチャー除去カード
  • デッキコンセプト的にライブラリーに残しておきたいカード
  • 伝説カード等、役割的に1枚で充分なのに複数枚引いてしまったカード
  • 序盤の高コストのカード、ゲーム後半の軽コストカード
  • ゲーム後半の土地カード

まだまだあげることは出来ますが、上記のような場合には手札にあっても実質無駄カードに近い存在となってしまうでしょう。いくら手札にあってもそれを握りしめたまま負けてしまうということはそのカードは手札に無いのも同じなのです。

加えて、MTGは確率のゲームですから一定の偏りは必ず存在してしまいます。ランダムにカードを引くために不運としか言えないような手札がきてしまうことも往々にして起こります。

《渦まく知識》はこれらを解決するために一役買ってくれるカードなのです。引けるカードは3枚もあるのでその時に欲しいと思うカードが見つかる可能性は高いです。またゲーム序盤であれば土地カードを探したいときもありますが、3枚も引ければ大体は見つけることができるでしょう。そしてそのタイミングで不要なカードを2枚戻してあげれば《渦まく知識》たった一枚で唱える前とは見違える程の良い手札になることでしょう。

「手札が土地だらけなら3枚引いて土地を2枚戻す」「土地がない時には3枚で土地を引いて不要なスペルを戻す」「3枚引いて引きたくなかったカードを戻す」これらがたった青1マナで実現出来るのが渦巻く知識の強さです。手札の総枚数は増えませんが効果的に使えるカードの枚数は増えるという結果になります。そして確率によって左右されてしまうゲーム性を持つMTGで、確率による不運を跳ね返すように安定性を大きくあげてくれるのです。

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ただし「とりあえず唱える」だけでは真価を発揮しない

前述のメリットの恩恵を享受するためには「手札から戻した不要な2枚」は当然引きたくはありません。いくらライブラリーに戻しても1,2ターン後に引いてしまったら単に問題を先送りしただけです。そのためライブラリーに戻した不要なカードを引かないようにするための手段が必要になってきます。この手段がないと《渦まく知識》の強さは大きく下がってしまう(弱いまである)のです。逆に言えばこの手段が豊富であるほど《渦まく知識》は真価を発揮するのです。

これに対する最も容易な方法としてライブラリーをシャッフルしてしまうことがあげられます。ライブラリーをシャッフルするカードはいくつかありますが、無理なく行える方法は土地カードによりシャッフルしてしまうことです。具体的には以下のようなカードです。

上記の類のカードであれば《渦まく知識》のためにデッキを構築する必要もなく容易にライブラリーをシャッフルすることが出来ます。《沸騰する小湖》をはじめとしたフェッチランドに関してはヒストリックでは使用できないカードです。モダンやレガシーといったフォーマットでは定番の土地でバンバン使われていますが、モダンで《渦まく知識》の使用が許されていないのにヒストリックで現状使用が許されているのはフェッチランドを使用できるか否かという部分は大きいでしょう。セットで使うにはあまりにも簡単すぎる条件です。

他に、ライブラリー操作は青のお家芸でもありますので、以下のようなカードも《渦まく知識》の良い相棒となります。

青赤の強いカードとして定番となった《表現の反復》では戻したカード毎まとめて追放することが出来ます。《嵐翼の精体》は見るからに《渦まく知識》と相性が抜群で《渦まく知識》を唱えた後に2マナで《嵐翼の精体》をキャスト後、占術2によりライブラリーに戻した2枚共をライブラリーの底に送ることができます。少し余談ですが、この両方を含んでいるヒストリックのイゼットフェニックスはいかに《渦まく知識》を強力に使えるデッキなのかということがよくわかりますね。

つまり《渦まく知識》は単純に唱えるだけで強いというカードではなく、ライブラリー操作という相棒が居てはじめて強いと言えるカードとなります。ただ唱えるだけであれば《選択》のほうが強いとすら言えるでしょう。

実際《渦まく知識》はスタンダードで使用出来ていた20年以上前の時にはあまり使用されていないカードでした。その時にはフェッチランドをはじめとした良きお供が存在していなかったからです。

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ライブラリーに戻すことで手札を隠せる

《渦まく知識》により手札のカードをライブラリーに戻すのは、必ずしも不要なカードだけではありません。むしろ大事に残したいカードをあえてライブラリーに戻すときがあります。

それは相手が《思考囲い》等の手札破壊カードを唱えてきた場合です。手札からカードを捨てさせるという効果は文字通りカードが手札にあるカードのみを対象に取ることが出来ます。手札破壊カードに対応して《渦まく知識》により山札に戻されてしまうと手札から捨てさせることが出来なくなります。つまり《渦まく知識》は手札破壊の効果を半減させることもできます。あまり多くは発生しないケースだと思いますが《渦まく知識》で手札を全部土地にしてしまえば《思考囲い》を無駄カードにすることだって可能なのです。また《思考囲い》を打った側からすると、対応して《渦まく知識》を打たれると《思考囲い》で手札を確認しても間違いなく直後に何らかの有効なカードを引かれるということで安心してプレイすることも出来なくなります。

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ライブラリーのトップを任意のカードに出来る

デッキコンセプトによって恩恵を受けられる効果となりますが、ライブラリーにカードを戻すということはライブラリーのトップを任意のカードにすることが出来るとも言いかえることができます。

MTGのカードには「ライブラリーの一番上のカードを見る。それが〇〇なら〇〇する。」といった類のカードは多くあります。任意のカードを戻すことでこれらの効果を最大限発揮することが出来ます。過去にはドラコ爆発というコンボデッキもあったりしました。(詳細はmtgwiki参照)

レガシーだと奇跡(※)というキーワードを持つ能力を発揮するためにも活用することが出来ます。
※「あなたがこのカードを引いたとき、これがこのターンに最初に引いたカードだった場合、あなたはこれの奇跡コストを支払うことでこれを唱えてもよい。」というキーワード能力

つまり《渦まく知識》はコンボパーツになることも可能ということです。ヒストリックにおいてはまだこのメリットはあまり活かすことは出来ないかもしれません。

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まとめ:渦巻く知識は強力だが上手く使うには一工夫必要なカード

これまで述べたように《渦まく知識》は強力なのですが、単体で強さを発揮するタイプのカードではなくお供となるカードがいてはじめて強さを発揮するカードです。それが一見して強さが分かり辛いという理由でもあるでしょう。

単体で強さを発揮しないということは単に唱えるというプレイではダメということになりますし、プレイするタイミングも含めて腕を問う面白いカードでもあります。1ターン目に唱えるのが必ずしも正しいという訳ではありません。その分ゲーム序盤でも後半でも常に強力なカードです。

現状ヒストリックでは使用が許可されているものの、カードプールが増えていくにしたがって強さを増していくカードですから将来的にはヒストリックでも使用禁止となる可能性は高いであろうカードです。

MTGアリーナをプレイされている方であれば是非使用できる間に《渦まく知識》を使ってみて、その強さと面白さを体験してみてください。

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