【MTG】サイクリングデッキ解説

戦略記事

今回はスタンダードのサイクリングデッキを取り上げて解説していきます。ずっと前から存在しているデッキでメタゲームの使用率は浮き沈みがありながらも一定割合は常に存在するデッキです。筆者の所感ではありますが、国内では特に使用率が高いイメージがあります。

デッキについての解説と共にサイクリングデッキを使う方にとってはプレイするためのポイントについて、また逆にサイクリングを相手にしたときにはどうやってサイクリングに勝つのかに焦点をあてながら述べていきます。

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デッキリスト

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デッキリストのバリエーション

青白赤のジェスカイ型が一番メジャーな形ですが、上記のリストのようにタッチ黒にして《記憶漏出》を唱えられるようにしている形もあります。《記憶漏出》は基本的にサイクリング要員ではありますが、特に強力なスペルが多いスゥルタイ根本原理に対しては唱えたいスペルになります。タッチ黒と言ってもジェスカイ型では基本土地となっている3枚を黒マナが出る小道に変えているだけなので、マナベースにほとんど負担はかかっていません。なお《記憶漏出》を使わないジェスカイ型では《記憶漏出》の代わりに《霜帳の奇襲》を使っています。とは言え《霜帳の奇襲》を普通に唱えることはまずありませんので、筆者としては上記の《記憶漏出》型のほうが良いと感じます。

また《ドラニスの癒し手》は採用しているリストはあまり多くありません。これは《ドラニスの刺突者》に比べるとプレイ優先度が低いという点と、《血の希求》といったカードとは異なりクリーチャーなので《影の評決》で墓地からついでのように取り除かれてしまうことを嫌っていることが理由です。墓地からサイクリングカードが減ってしまうと《天頂の閃光》の威力が下がってしまいますし、数点と言えどもそれが勝負を分けることがあります。

あとは、上記のリストのようにメインに二枚程度《軽蔑的な一撃》や《否認》のような打ち消し呪文を入れたりする場合があります。このあたりはメタゲームによって微調整する部分です。例えば赤単が多いのであれば《プリズマリの命令》を入れるのもありです。ただサイクリング要員を抜きすぎるとデッキが機能しなくなってしまうのでその点には注意が必要です。

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デッキの長所と短所

長所

多角的な攻め

サイクリングの主な勝ち方はサイクリングを繰り返して墓地にサイクリングカードを貯めた後に放つ《天頂の閃光》です。ですが《天頂の閃光》だけでなく盤面を埋め尽くすほどの1/1トークンの群れと《アイレンクラッグの紅蓮術師》だけでもゲームに勝てるポテンシャルがあります。また《繁栄の狐》も侮れない打点を持つクリーチャーであり、1ターン目に出たときや2ターン目に2体目の《繁栄の狐》を重ねた時などは序盤から強烈な打点を叩き出すこともあります。

対処する側としては盤面のクリーチャーを処理するだけでなく、特に後半になるほど《天頂の閃光》に対しても注意する必要があるため、多角的な攻めは簡単には対処することが出来ません。これがサイクリングデッキの一番の強みになっています。

《型破りな協力》が強い

サイクリングによってメリットを生み出すカードの中でも《型破りな協力》は最強の一枚と言えます。

生み出すトークンが飛行付きというのも強いのですが、何と言ってもエンチャントなので相手からすると簡単に対処することが出来ないのが強力です。メイン戦の場合は基本的に《古き神々への束縛》くらいしか対処されることがありません。(あとは《スカイクレイブの亡霊》くらい)

これにより相手の除去カードの価値を下げることもできます。サイクリングを使う側にとっては初手にほしいカードNo1でしょう。

1/1トークンの群れを突破できない相手には特に強い

サイクリングは盤面に大量の1/1トークンが場に出ることが多いです。そして、相手の攻撃クリーチャーは1/1でチャンプブロックしながらやり過ごしつつ、隙を見てこちらも1/1で攻撃しながらちまちまとライフを減らしていくのが基本戦法です。

そのため、相手のクリーチャーがトランプルを持たないものであればいくらサイズが大きくてもダメージが通り辛くなっています。具体的に言えば白単やティムールアドベンチャー、イゼットといったデッキは特にそういった傾向にあり、サイクリングが得意とする相手でもあります。

デッキの動きのムラが少なく安定性がある

同じ役割を持つサイクリング要員のカードが多数デッキに積まれていることと、カードを引くというサイクリングの性質もありデッキの動きにムラが出来にくくなっています。デッキによっては高コストが偏って手札にきてしまったり、同じ役割のカードばかり重ねて引いてしまうといったムラが出来てしまうことが稀に発生するものですが、サイクリングデッキはそういったムラが起こりにくいデッキです。

そのため安定性が高く比較的毎ゲーム同じような動きが出来る可能性が高いデッキになっています。デッキのプレイ難易度が低めなのもありがたいです。

短所

立ち上がりが遅い

《繁栄の狐》を重ね張りしたビートダウンというプランを除き、基本的にサイクリングの動き出しはゆっくりしたものになっています。

《型破りな協力》を盤面に出しても1/1トークンが生まれるのは最速でも3ターン目ですし、《型破りな協力》や《雄々しい救出者》を重ねて設置しないとトークンも大した数を生むことが出来ません。つまりトークンの量産体制が整うのには少し時間を要します。

それらの体制が整う前に早期にビートダウンを仕掛けられると1/1トークンの数が足りずにそのまま押し切られることもしばしばあります。

盤面にサイクリングによりメリットを生むパーマネントが必須

ただサイクリングを繰り返しても1マナで1枚引くという行為を繰り返すだけなので実質何もしていないのと同義ですから、《型破りな協力》のようなメリットを生む出すパーマネントは場に必ずと言っても良いほど必要なものになります。

そのため、これらのパーマネントが引けないもしくは適切に除去されてしまうと途端に弱いデッキとなってしまいます。幸いにもサイクリングという効果自体がカードドローが出来ることで引けないというパターンについては確率を下げることが出来ているというのはデッキのメリットでもあります。

ブン回りが弱い

長所の安定性という点に対する裏返しでもありますが、このデッキはブン回りが弱いです。と言うよりブン回りがないとも言えるかもしれません。

《繁栄の狐》を1ターンと2ターン目に出してビートダウンするのは強力ですが比較的対処されやすいです。その他このデッキのブン回りは《型破りな協力》を2ターン目と3ターン目に重ね張りした時とも言えますが、それでも3ターン目に1/1飛行が2体出るという程度です。どうしても高速アグロの動きに付いていけないケースがしばしば起こります。

ブン回りはデッキによっては特権とも言えるものですが、このデッキはその恩恵があまり受けられないものになっています。

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デッキのプレイアドバイス

初手と相手によってプランを考える

このデッキが最も盤面に置きたいカードは《型破りな協力》です。ですが、このカードは唱えるのに青と赤マナを必要とします。

そのため《繁栄の狐》を1ターン目に出した場合には少なくても《型破りな協力》を3ターン目まで唱えられなくなります。勿論《型破りな協力》は3ターン目でも問題はないカードなのですが、ネックなのは1ターン目に白マナを出すと3ターン目に白青赤というマナが必要になることです。これは意外と揃えるのは難しい場合も多いです。

しかも《繁栄の狐》は除去が効きやすいカードなので、1ターン目に出してそのままビートダウンを完遂するのは稀です。初手に《繁栄の狐》が複数枚あれば《繁栄の狐》プランを選択したほうが良いケースが多いですが、すぐに除去されて《型破りな協力》が出せなくなってしまうなら小道の土地は《型破りな協力》を優先して置くほうが良いことも多いです。また《繁栄の狐》は先手後手で強さがかなり変わってくるカードでもあります。

《雄々しい救出者》であれば《繁栄の狐》を出しても2ターン目に唱えることが出来ます。このあたりは相手や手札に応じて柔軟にプランを決めるようにしましょう。

生き残ることを重視する

1/1トークンは攻撃に回るよりもブロックに回ることを優先したほうが良いことが多いです。

このデッキは《天頂の閃光》というゴールがあるため、生き延びることがそのまま勝つことに繋がるデッキです。生き延びれば墓地にサイクリングカードがどんどん貯まっていきますので、クリーチャーで全くダメージを与えていなくても《天頂の閃光》を2回打つだけで勝ててしまうことも良くあります。

そのため、相手のクリーチャーの攻撃は1/1クリーチャーをブロックに回して早いターンからライフを守るように努めることが良いパターンが多いです。これは他のデッキであればあまり行わないプレイとも言えます。

場に出すべきパーマネントがない手札はしっかりマリガンする

《型破りな協力》《繁栄の狐》《雄々しい救出者》。この3種類が何れも手札にない場合はマリガンするようにしましょう。とにかくサイクリングでメリットを生むパーマネントを序盤に展開することがとても重要なデッキです。そのためマリガン判断は慎重に行いましょう。

《アイレンクラッグの紅蓮術師》のみだと実質4ターン目まで動けないので遅すぎることが多いです。

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サイクリングに勝つためには

サイクリングの体制が整う前に速攻で倒す

アグロやアドベンチャーデッキを使っているのであれば、とにかく速攻を意識することがポイントになります。

サイクリングの勝ちパターンは1/1トークンでブロックしながらも、1/1トークンで攻撃しつつ《天頂の閃光》を唱えることです。これを達成するのは1/1トークンの量産体制が整うことが必要になるため、サイクリングにはあまり時間を与えてはいけません。

理想は1/1トークンのブロックが間に合わないくらいに速攻で攻撃をしかけ続けることです。序盤から圧力をかけることが出来ない手札であればマリガンしましょう。

なお、アドベンチャーデッキであれば本来《エッジウォールの亭主》を1ターン目に出すのはためらわれるプレイなのですが、サイクリング相手には遠慮なく1ターン目にプレイして問題ありません。ドンドン出来事でカードを引いて圧力をかけていきましょう。

サイクリング同型対決でも序盤から圧力をかけることが出来れば有利にゲームを進めることができます。

トランプルでダメージを通す

1/1トークンでブロックすることが生命線なので、サイクリングはトランプル持ちには手を焼くことになります。

最もサイクリングが困るパーマネントは《エンバレスの宝剣》です。これを早期に出されるとサイクリング側にはほとんど勝ち目はありません。サイドボードだと《影槍》あたりもそういった意味で有効なカードになります。サイクリングを使っている側だと《エンバレスの宝剣》はマストで対処が必要なのでアーティファクト破壊は必ず用意しておきたいところです。

あとはスタンダードで大活躍でお馴染みの《長老ガーガロス》はサイクリングにとってもかなりキツイです。《天頂の閃光》以外ではほとんど除去出来ませんし、ブロックしてもトランプルで突き抜けてくるし能力もキツイし・・・で本当に強いクリーチャーです。

《天頂の閃光》に注意する

ロングゲームになると《天頂の閃光》のみで負けてしまうため、遅いデッキほど《天頂の閃光》に注意が必要になります。

このカードに対抗するには打ち消し、もしくは墓地のカードを取り除くの2択になります。

もっともサイクリングがきついカードなのは《エルズペスの悪夢》で、全ての章の効果がサイクリングにヒットするのでまさにサイクリングにとって文字通り悪夢そのものと言えるカードです。黒いデッキならこのカードがもっとも有効でしょう。

ディミーアローグを使っているのであれば、相手の墓地を消す行為はあまり行いたいものではありませんので、打ち消しを多めにとって《天頂の閃光》は絶対打ち消すという構えを取るようにしましょう。切削により《天頂の閃光》1枚で負けてしまうサイクリングはローグからすると相性が悪い相手ですが、《天頂の閃光》に注意すれば決して勝てない訳ではありません。後半には間違っても一瞬たりとも土地をフルタップしないようにしましょう。

アグロデッキであればロングゲームになってしまっている時点で負けなので墓地対策は取らなくても良いです。ただ《運命の神、クローティス》に関してはダメージ源にもなるという点でもサイクリングに有効です。

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サイクリングと各デッキの相性

サイクリングが有利な相手は「白単アグロ」「ディミーアローグ」「イゼットテンポ」、不利な相手は「赤単アグロ」「グルールアドベンチャー」です。それ以外は相手の構成にもよるものの概ね5分といったところになります。

赤単アグロに関しては相手の動きが悪ければ《アイレンクラッグの紅蓮術師》で完封出来ることもありますが、グルールアドベンチャーは勝てないレベルでキツイです。特に旧型とも言える《探索する獣》や《山火事の精霊》を有するタイプはお手上げです。

スゥルタイ根本原理は相手の構成やサイクリングの構成(カウンター有無)によって変わりますが、総じて若干有利という程度かと思います。ただしカウンターが無ければメイン戦は不利だと思います。

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サイドボード

サイドアウトするカードは基本的には相手にあまり使用しないサイクリングカードが中心です。特に抜けやすいのは《血の希求》あたりでしょう。《願い与えの加護》は唱えることも多いカードですし、《驚くべき発育》は意外と唱えることがしばしば発生するスペルです。これらを数枚サイドボードと交換することが多いです。ただし、サイクリングを抜きすぎるとデッキが機能しなくなるので注意しましょう。

《アイレンクラッグの紅蓮術師》はスゥルタイ根本原理のような3点ダメージでクリーチャーを除去出来ない相手には抜いてしまいましょう。サイドから結構な枚数のカウンターを入れるので、サイクリング以外のカードも抜いていく必要があります。

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