本記事では管理人が独自に調整を進めたティムールアドベンチャーについて解説します。
このデッキで参加した5/15~16にMTGアリーナ上で行われたストリクスヘイヴンリーグウィークエンド予選で、幸いにもストリクスヘイヴンチャンピオンシップ本選の参加権利を得ることが出来ました。せっかくですのでデッキを公開して解説したいと思います。
なお、先に断りを入れておきますがいわゆる一般的なオボシュを相棒に据えたタイプだったり、《銅纏いののけ者、ルーカ》から《星界の大蛇、コーマ》を出すといったタイプではありません。
デッキリスト

デッキ 4 恋煩いの野獣 (ELD) 165 2 山 (UST) 215 4 エッジウォールの亭主 (ELD) 151 4 厚かましい借り手 (ELD) 39 2 森 (UST) 216 4 砕骨の巨人 (ELD) 115 4 寓話の小道 (ELD) 244 3 ガラゼス・プリズマリ (STX) 189 4 黄金架のドラゴン (KHM) 139 1 マグマ・オパス (STX) 203 4 岩山被りの小道 (ZNR) 261 4 ケトリアのトライオーム (IKO) 250 1 運命の神、クローティス (THB) 220 4 アールンドの天啓 (KHM) 41 4 河川滑りの小道 (ZNR) 264 4 樹皮路の小道 (KHM) 251 2 島 (UST) 213 2 エシカの戦車 (KHM) 169 3 神秘の論争 (ELD) 58 サイドボード 1 才能の試験 (STX) 59 1 レッドキャップの乱闘 (ELD) 135 3 軽蔑的な一撃 (KHM) 54 4 焦熱の竜火 (M21) 158 2 アゴナスの雄牛 (THB) 147 1 弱者粉砕 (KHM) 128 1 レッドキャップの乱闘 (ELD) 135 2 長老ガーガロス (M21) 179
デッキ作成の経緯
一言で言うとイゼットテンポの戦略は受けより能動的に動けるデッキのほうが光りそうと思ったのが経緯です。
デッキリストの通り、デッキ自体は従来のティムールアドベンチャーよりもイゼットテンポに近い形となっています。
ティムールアドベンチャーは3色アドベンチャーという性質上デッキパワーは高いものの、特にマナベースの安定性に難を抱えているのがネックで実際に使っていても気になるポイントです。また、執筆時点で数を減らしているのは主にスゥルタイ根本原理に対する相性があまり良くないことにあるためでしょう。これらを改善できる形でティムールアドベンチャーが作成できたら良いなと思って試してみたら好感触を得られたため使い始めました。
特徴
マナベースの改善


一般的なティムールアドベンチャーと比較すると《グレートヘンジ》と《カザンドゥのマンモス》を不採用としていることで、緑のダブルシンボルの必要性を下げて緑は1マナあれば動けるようにしていることは大きく意識したポイントです。加えて、両カードはスゥルタイ根本原理に対してはあまり効果的ではないことも理由の一つです。特に《カザンドゥのマンモス》はティムールで使うと弱いと感じていて、これを裏面の土地で出してしまうとすぐマナフラッドするし、かと言って3ターン目に出すと後に赤や青のダブルシンボルカードに支障が出てくることがあります。ティムールで使っていてすごく難儀に思ったカードですね。折角出しても《霜噛み》であっさり焼かれてしまうのも難点。
これにより色マナの事故率は大分減らせていますし、プレイしていても色マナが気になることはかなり少なくなりました。
サイドボードは例外的に《長老ガーガロス》を取っていますが、5ターン目であればマナは確保しやすくもなりますので影響は少なく、それよりも得られるメリットのほうが大きいです。
《ガラゼス・プリズマリ》と《アールンドの天啓》
イゼットテンポでお馴染みとなりつつある《ガラゼス・プリズマリ》と《アールンドの天啓》の組み合わせ。これをティムールに融合させたような構成としています。
《アールンドの天啓》は得るターンを有効に使うとなると、受けるデッキよりも能動的なデッキのほうがメリットを享受しやすくなります。また最近はティムールアドベンチャーに《アールンドの天啓》を外すデッキもありますが、外すとスゥルタイ根本原理に対しての相性が悪くなるのも気になっていたところです。
出来事パッケージを有するティムールアドベンチャーに《ガラゼス・プリズマリ》を搭載することで《アールンドの天啓》を唱えやすくしつつ、より《アールンドの天啓》のメリットを享受できる形としたというのがこのデッキの狙いです。
ですので、《アールンドの天啓》は4枚採用したいデッキです。《マグマ・オパス》は追加の《アールンドの天啓》に近い働きをします。1枚差していますが、これに関してはもう少し検討しても良いポイントだとは思っています。実際重いカードを増やすと稀に手札に偏ってきてしまってマリガンの元になったりするのが気になるところでもありますね。
《運命の神、クローティス》と《エシカの戦車》
特に《運命の神、クローティス》がメインに1枚差してあるのは違和感があるかもしれません。ですがこれには理由があります。
一つは《カザンドゥのマンモス》が抜けた分の3マナ域を少しでも埋めること、もう一つは1枚とは言えサイドボードの枠を開けることです。
《運命の神、クローティス》は効果が悠長なのがウィークポイントですが、その分《アールンドの天啓》とは相性が良いカードです。また4ターン目に5マナ出せることで《黄金架のドラゴン》を1ターン早くキャストできるというのもこのデッキにとっては大きいメリットです。サイドボードも現在の多様な環境ではサイドに取りたいカードは多いですし1枚でも多く席を確保しておきたいです。
また《運命の神、クローティス》はメインに入れても完全には腐るわけではなく、対スゥルタイ根本原理だったりとむしろ入れたい相手が多いカードでもあります。かと言って2枚目は腐るのでこれらの理由から総合的に判断してメインに1枚差しています。
《エシカの戦車》は私もはじめは見落としていたことなのですが、実は戦車本体が《ガラゼス・プリズマリ》の能力と相性が良く、戦車をタップすることで1マナ生み出すことが可能です。これにより5ターンに《ガラゼス・プリズマリ》を出すと2マナのカウンターを構えたりすることも出来ます。
また《エシカの戦車》は使えば使うほど印象が良くなったカードで、戦車本体が割られても2/2が2体残るのは単純に強いです。スゥルタイ根本原理相手だと特に頼りになります。またこのデッキだとクリーチャーだけでなく宝物トークンもコピーすることが出来ます。このカードも調整ポイントとは思っていますが、いまのところ強いと感じることが多く2枚入れています。
デッキ相性
基本的にはティムールアドベンチャーと大きな差はありませんが、スゥルタイ根本原理に少なくても5分くらいにはなっているであろうところが違うところだと思っています。
デッキの試行回数がまだそこまで大きくないため断言はできませんが、スゥルタイ根本原理に対しては今のところ大きく勝ち越ししています。やはり《アールンドの天啓》の力は大きいです。でも決して油断はできない相手ですね。
そしてイゼットテンポ相手は正直まだ測りかねていますが(5分以上はありそうな感触)、赤単やアドベンチャーには有利。ディミーアローグ、白単、サイクリングあたりはやや不利でしょう。ただサイクリングは不利といってもイゼットテンポよりはこのデッキのほうが能動的に動けることと、《長老ガーガロス》を使えることからイゼットよりは有利に戦えるでしょう。白単は《ドラニスの判事》がとにかくキツイですね。ウィークエンド予選でも《ドラニスの判事》には悶絶させられました。
サイドボード
基本的には追加の打ち消しと除去の枠がほとんどを占めています。赤単などのアグロデッキには重いところと除去を差し替えますし、スゥルタイ相手には《砕骨の巨人》をカウンターに差し替えることが多いです。
《長老ガーガロス》で一番気にしたのはサイクリングです。とは言え赤いデッキ、イゼット相手にも強いですから、大半の相手に強い万能枠でもありますね。一時期《影槍》を使っていたのですが、サイクリングはアーティファクト破壊を必ず入れているのであっさり割られてしまうことも多く、いまのところ《長老ガーガロス》を採用しています。
あと、《レッドキャップの乱闘》と《焦熱の竜火》はどちらも赤単に非常に有効なカードですが、この2枚が想定している相手は異なります。《レッドキャップの乱闘》はサイクリングとイゼット、《焦熱の竜火》はディミーアローグや白単です。赤単は両カード共に有効なため結果的に厚めに対策出来ているという感じです。
まとめ:安定性を少しでも上げたティムールの一つの選択肢
少なくても旧来のティムールアドベンチャーよりはマナトラブルの確率は下がっていますし、《ガラゼス・プリズマリ》により《アールンドの天啓》にアクセスしやすくなっているのが特徴であるデッキです。
やはり使っていても《アールンドの天啓》のカードパワーは伊達ではないと感じます。
ティムールの一つの選択肢として、気になった方は是非一度試してみてください。
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