スタンダードの緑単フード(Mono-Green Food)について解説します。実際にどういう点に強みがあるのか、また現在の環境に対しての立ち位置はどうかも含めて解説していきます。
デッキリスト

デッキの特徴
緑単の食物シナジーを中心に据えたミッドレンジデッキです。《グレートヘンジ》に加えて《パンくずの道標》により緑単でありながらアドバンテージを得る手段に優れており、コントロール並みにロングゲームに強いデッキです。アドバンテージを得ながら《貪るトロールの王》を中心にビートダウンをしかけて勝利を目指していきます。
デッキの強み
長期戦に強い
《グレートヘンジ》は他の緑を使用するデッキにも頻繁に採用されているものですが、緑単フードはその名の通り食物シナジーを軸に構築されており、《パンくずの道標》によりコントロール以上にカードを引く(正確には手札に加える)ことが得意です。


そのため、盤面のクリーチャーでビートダウンしたり《意地悪な狼》で凌ぎつつも、それらで相手とアドバンテージ差をつけることで徐々に有利な盤面を気付いていくという横綱相撲のようなゲーム展開を得意とします。盤面を作っていく力は環境随一とも言えるデッキです。
土地が強い
単色の利点とも言えますが、緑単フードは能力を持った土地を採用できます。


《ギャレンブリグ城》の能力で5マナを6マナに変換できるのはこのデッキではとても重要で、《貪るトロールの王》や《巨大猿、コグラ》等の6マナクリーチャーが盤面に出せるターンが1ターン早くなるため非常に効果的です。この土地のおかげて最速3ターンで《貪るトロールの王》を出せるとも稀にあります。
また《不詳の安息地》はカルドハイムから加わった新戦力で、3マナで警戒の4/3クリーチャーになれるというミシュラランドの中でも強いクリーチャーです。普通にビートダウンできるだけで強いですが警戒というのも地味に助かるポイントで、このデッキは《パンくずの道標》や《金のガチョウ》などでマナ食い虫なデッキですので、攻撃後にこの土地から使える1マナを効果的に使えることも多いです。
もう一点見逃せないポイントは、この土地により《精霊龍、ウギン》への耐性が大幅に向上することです。

築き上げた盤面はリセットはされてしまうものの、この土地があればリセット後に《精霊龍、ウギン》を倒すことが可能です。《精霊龍、ウギン》にやや弱いデッキでもあるので、この土地のおかげで勝てるゲームも生まれてくるほどです。
《貪るトロールの王》が強い
緑単フードというデッキではありますが、このデッキは《貪るトロールの王》デッキと言っても過言ではないほど、《貪るトロールの王》が強いです。

盤面に出た時に食物を3つ出す効果、7/6トランプル警戒、墓地から食物トークンで帰ってこれる効果、この全てがこのデッキにとって重要な効果です。頼もしいボディもさることながら《魔女のかまど》と《パンくずの道標》との相性が素晴らしいです。
- 《魔女のかまど》があれば、《精霊龍、ウギン》や等のリムーブする除去を交わしつつ、食物により墓地から帰ってきてプレッシャーを掛け続けられる
- 食物を3つ生け贄に捧げて盤面に帰ってきつつ《パンくずの道標》で手札を大量に増やせる。《グレートヘンジ》があれば尚良し。
- 場合によっては、積極的に《魔女のかまど》で《貪るトロールの王》を生け贄に捧げてカードを引きにいくことプレイも出来る
このカードが一度盤面に出るとそれ以降の展開が非常に楽になり、ゲームの勝敗に大きく左右します。
尚、《貪るトロールの王》が4枚採用されていない緑単フードデッキを見かけることがありますが、管理人としては必ず4枚するべきであると思います。
デッキの弱み
動きがほぼソーサリータイミング
特にメインボードではインスタントタイミングでスペルを唱えることはありませんので、相手からするとインスタントタイミングの動きは警戒する必要がありません。
相手からするとプレイングの選択肢に影響を与えるようなケースが少なく動きがわかりやすいデッキです。特にインタントでクリーチャー除去される可能性がないというのは相手からすると助かることも多いでしょう。
マナ域に偏りがある
デッキ内のカードを見て貰えればわかりやすいですが、3マナ以下のカードと6マナ以上のカードが大半を占めていますので、その間のマナ域の動きに難があります。
またクリーチャーを除去された上で6マナ以降のカードを引いてまとまって引いてしまうと4ターン目前後に何もできないターンが生まれてしまうこともあり、そのもっさりした動きがゲームの敗着となってしまうことがしばしばあります。
その他
《魔女のかまど》の枚数

緑単フードでは《魔女のかまど》を2枚にするか、3枚にするか悩ましいところがあります。
《魔女のかまど》のメリットは以下になります。
- 相手の除去を食物トークンに返ることが出来るため、《貪るトロールの王》を強く使える
- 《精霊龍、ウギン》や《絶滅の契機》による《貪るトロールの王》の追放を避けることができる
- 《アクロス戦争/The Akroan War》をただの除去に変えることが出来る
ただし《魔女のかまど》は1枚場にあれば充分であることも多いというのが悩まされるポイントです。《魔女のかまど》が必ずほしいとも言える相手はディミーアローグと、ヨーリオン系のデッキです。次点でラクドスミッドレンジあたりでしょう。
特にディミーアローグに対しては《凪魔道士の威圧》を避けたり、切削で墓地に落ちた《貪るトロールの王》が帰ってこれやすくなるため非常に有効です。これらのデッキが多いというメタゲームであれば3枚採用したほうが良いと思います。
《アクロス戦争/The Akroan War》はサイド後にはエンチャント破壊を入れることもあり、それを加味してサイドインアウトを検討します。
カルドハイムの新戦力
カルドハイムで緑単フードに採用される可能性があるのは、以下のカード達です。




《不詳の安息地》に関しては土地の項で述べましたので割愛します。《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》は特に英雄譚を無効化できる能力と速攻が強く使える相手に強いのでヨーリオン系デッキに有効です。緑相手の《グレートヘンジ》合戦にも有効ですが、これが決定打となることはあまりないかもしれません。後は白相手には+1/+1カウンターを乗せられなくすることが有効に働くこともあります。6マナクリーチャーなので《ギャレンブリグ城》と相性が良いです。
《吹雪の乱闘》は1マナでほぼ何でも除去できるというのが強く、後手でも相手の3ターン目の《恋煩いの野獣》を返せることが出来るのも素晴らしいです。(マナ加速から《恋煩いの野獣》や《カザンドゥのマンモス》を展開しつつ《吹雪の乱闘》を唱える)
同じ格闘ソーサリーである《原初の力》と比較するとマナコストの差がもっさり気味の緑単フードにとっては大きな違いとなります。
《老樹林のトロール》は個人的には緑単フードに採用するのは懐疑的です。3ターン目に出したとしてもパワーが4であるため、4ターン目《グレートヘンジ》に繋がりにくく、クリーチャーのスペックとして見ても4/4トランプルとこのデッキの中においては中途半端な感が否めません。このデッキは主に《貪るトロールの王》で盤面を制圧していくデッキということを考えると、他のカードを押しのけてまで採用するほどではないと思っています。どちらかというと《老樹林のトロール》は緑単アグロで使用するカードのように思います。
メタゲームの立ち位置
メタゲームに存在するデッキに対しての相性は以下の通りです。
有利:グルールアドベンチャー、ナヤアドベンチャー、イゼットテンポ、予言された壊滅
不利:ディミーアローグ、ティムールランプ、スゥルタイランプ
互角:コントロール各種(やや有利かも)、ラクドスミッドレンジ
アドベンチャー相手にはクリーチャーの質で優れるため有利です。またイゼットテンポやコントロール相手には《パンくずの道標》を始めとしたアドバンテージ能力で優れるため有利に戦うことが出来ます。
ディミーアローグは特に《遺跡ガニ》が厳しく、あまり除去することも出来ないので不利です。1ターン目に出されると辛いですね。尚、負けるときはライフではなく、ほぼライブラリーアウトです。あとはランプの根本原理各種には基本的に対処できないので不利です。カルドハイムの《風化したルーン石》で根本原理を封じるか、速攻クリーチャーで先に倒してしまうかで対策すると良いでしょう。
ラクドスミッドレンジはカルドハイム前は有利だったのですが、《イマースタームの捕食者》や《死の神、イーガン》の登場により5分(もしくは少し不利かも)程度の相性になりました。相変わらず《漁る軟泥》による墓地対策は非常に有効ですから、勝てない相手というわけではありません。
サイドボード
想定される対戦相手毎にサイドアウト、サイドインの目安を記載します。サイドインには一部サンプルのデッキレシピでは採用していないカードについても記載していますので、サイドボードを検討する時の参考としてください。
対戦相手 | サイドアウト | サイドイン |
アドベンチャー各種 | 《パンくずの道標》 《魔女のかまど》数枚 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》(ナヤには残す) | 《萎れ》 《吹雪の乱闘》 《壊れた翼》 《自然の報復者、ビビアン》 |
ディミーアローグ | 《パンくずの道標》数枚 《恋煩いの野獣》数枚 《巨大猿、コグラ》 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 《打ち壊すブロントドン》 | 《鎖巣網のアラクニル》 《漁る軟泥》 《自然の報復者、ビビアン》 《魔女のかまど》 |
コントロール各種 (ヨーリオン含む) | 《吹雪の乱闘》 《巨大猿、コグラ》 《意地悪な狼》数枚 《打ち壊すブロントドン》 | 《自然の報復者、ビビアン》 《探索する獣》 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 |
ランプ各種 | 《吹雪の乱闘》 《パンくずの道標》数枚 《意地悪な狼》数枚 《巨大猿、コグラ》 《打ち壊すブロントドン》 | 《探索する獣》 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 《風化したルーン石》 《魔術遠眼鏡》 |
ラクドスミッドレンジ | 《恋煩いの野獣》 《巨大猿、コグラ》 | 《漁る軟泥》 《自然の報復者、ビビアン》 《巻き添え》 |
イゼットテンポ | 《打ち壊すブロントドン》 《巨大猿、コグラ》 《巨怪な略奪者、ヴォリンクレックス》 | 《巻き添え》 《壊れた翼》 《自然の報復者、ビビアン》 |
まとめ:特にアドベンチャー相手にはめっぽう強いデッキ
緑単フードは特にグルールやナヤアドベンチャーには有利ですが、緑単という色であるにも関わらずアドバンテージを稼ぐことに長けているためコントロール相手にも戦うことができるデッキになっています。
特にそれらがメタゲームに多い場合には有効な選択肢となるデッキでしょう。
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