【MTG】ヒストリックグルールアグロ徹底分析(MPLリーグ 2021/01)

ヒストリック

2020/12月上旬時点でヒストリックのグルールアグロを実際に使用して記事をアップしていました。

グルールアグロ解説(ヒストリック/ZNR)
ヒストリック環境におけるグルールアグロについて、MTGアリーナのミシックランクで順位3桁以内にランクインする程度には戦えていますので、現時点で管理人が使用しているデッキリストを公開+解説します。※ZNR+カラデシュリマスター時点のヒストリ...

その時点ではまだメタゲーム上にはほとんどグルールアグロは存在していませんでしたが、それから徐々に数を伸ばし、2021/01月のMPLリーグウィークエンドでは24名中5名が使用し、使用率も3位となるほど注目を集めています。

ヒストリックのグルールアグロはデッキの動きから見ると意外とも思える事実なのですが、実は構築が非常に難しいデッキで《炎樹族の使者》等の固定パーツはあるものの、土地の枚数や種類の選択をする時点から選択肢が多く、実際に私も12月にグルールアグロを使っていたときは非常にデッキ構築に悩まされました。

実際にMPLリークウィークエンドで5名の選手が使用された各グルールも違いがあり面白い結果になりました。そこで、MPL各選手の選択したグルールを分析することで今後の参考とするべく、その違いを分析していきます。

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ヒストリックグルールアグロ徹底分析(MPLリーグ 2012/01)

土地

早速ですが、土地の枚数から悩まされるのがグルールアグロです。

グルールアグロは非常に高速で展開するアグロデッキで、手札を比較的すぐに使い切ってしまうようなデッキですから多くの土地を採用したくはありません。概ね20枚前後になります。切り詰めて20枚を切る枚数にすることも可能ですが、そうすると今度は土地が初手にないという理由でマリガンをすることが増えてしまうのがネックで安定感に欠けてしまいます。

加えて《カザンドゥのマンモス》と《髑髏砕きの一撃》を採用するか否か、また採用する場合にはその枚数と土地を結局何枚にするのか、というのが更なる選択肢になってきます。実際に各選手のリストを見てもそのあたりで苦労したのであろうことが読み取れます。次点で《ラムナプの遺跡》のような砂漠土地の採用有無も判断することになります。

《踏み鳴らされる地》と《岩山被りの小道》は4枚ずつ採用するのは確定事項のため、それ以外の要素について一覧にまとめたのが以下になります。番号と各選手の名前も併せて記載します。

ラムナプの遺跡ハシェプのオアシスカザンドゥのマンモス髑髏砕き土地総数(スペル土地除く)
53202318
55000219(根縛りの岩山1枚)
53004218
43232220
81400221
①:Braun-Duin,Brian ②:Burchett, Autumn ③:Carvalho, Márcio ④:Damo da Rosa, Paulo Vitor ⑤:Jůza, Martin

見事に各選手ともに違いがあります。スペル土地を含めると、21~24枚が総数になっています。土地の総数から見ると《カザンドゥのマンモス》は採用している選手でも土地としてカウントしているというよりは基本的にクリーチャーとして数えているようです。《カザンドゥのマンモス》は《集合した中隊》から出せるというのも大きなメリットなので、そのあたりも考慮しての採用と思われます。

私は解説記事に書いた通りタップインである《カザンドゥのマンモス》はあまり採用したくない派なのですが、これを見て2枚くらいであれば採用するのも良いようにも感じました。

④と⑤の選手のように土地をやや多めに採用してその分砂漠土地を多めに採用しているのは安定性を少しでも高めるためという要因もあると思います。実際土地が少ないとマリガンする確率はその分上がってしまいます。加えて、両選手は《探索する獣》を3枚採用しているため総数だけでなく森とハシェプのオアシスが多く採用されています。

⑤のPV選手のみが採用している《ハシェプのオアシス》は驚きましたが《エンバレスの宝剣》を4枚採用していることもあり、盤面のクリーチャーで押していくことを重視しているようです。実際にクリーチャーのコンバットにおいて活躍を見せていましたので、採用する価値は充分にあります。

まとめると、主に《探索する獣》《エンバレスの宝剣》の採用有無とその枚数、それにより土地枚数と内訳を決定していく必要があるということになります。《カザンドゥのマンモス》は4枚フルで採用するのはタップインのデメリットもあるためやや厳しいと思います。《集合した中隊》とのシナジーというメリットも考慮してデメリットとのバランスを取るのが無難な選択を言えそうです。

クリーチャー

クリーチャーの選択にも各選手により違いがあります。

共通して4枚採用されているクリーチャー

まず、各選手共通して4枚採用されているクリーチャーは以下になります。これらは新規に有望なカードがない限りは概ね4枚になるでしょう。ただし、例外としてMartin Juza 選手のみ《砕骨の巨人》が2枚採用になっています。

採用のバラつきがあるクリーチャー

まず2マナクリーチャーから見ていきます。特に2マナ域のクリーチャーは選択肢が多いので悩ましいところでもあります。

通電の喧嘩屋終わりなき踊りのガリア漁る軟泥ザル=ターのゴブリン
4200
4230
0024
4040
0222
①:Braun-Duin,Brian ②:Burchett, Autumn ③:Carvalho, Márcio ④:Damo da Rosa, Paulo Vitor ⑤:Jůza, Martin

まず考えるポイントとなるのは《通電の喧嘩屋》か《ザル=ターのゴブリン》のどちらを優先するかという点です。

単体性能で見れば《通電の喧嘩屋》のほうが強いと思いますが、《ザル=ターのゴブリン》のメリットは速攻とタフネスが3になることを選択できることにあります。

速攻があるため《集合した中隊》をメインに唱えたときに、そのターン中にダメージを稼ぐリソースを増やすことができます。またタフネス3というのは軽視出来ない要素で、《砕骨の巨人》で除去されない点と《肉儀場の叫び》で流されないという点がヒストリック環境における強みになります。特に《肉儀場の叫び》は《炎樹族の使者》等、巻き込まれるクリーチャーは他にもいるので、それに少しでも耐性が付くのは良い点です。

また《ザル=ターのゴブリン》は《終わりなき踊りのガリア》と相性が良いので合わせて採用すると強さを発揮しやすいです。

《漁る軟泥》については環境的に是非とも採用したいクリーチャーで、特にグルールにとって負け目になる《自然の怒りのタイタン、ウーロ》を見据えたものになっています。ただ複数枚引いてしまうと弱いのはデメリットとしてありますが、PV選手はそれでも4枚採用しているあたりその能力を重要視しているようです。またPV選手は《終わりなき踊りのガリア》も採用していないため、全体的に単体性能が高いクリーチャーを選択しているのが特徴です。

尚、ここには上がっていない《義賊》についてですが、速攻が多いデッキということもありコンバット前にマナを使い切ってしまうことも多く、その能力を生かし辛い点もあり採用されていないものと思います。

次に3マナ以上のクリーチャーを見ていきます。クリーチャーではないですがその性質上《集合した中隊》も併記します。

運命の神、クローティス探索する獣アン一門の壊し屋暴れ回るフェロキドン集合した中隊
22004
10024
21004
03001
03404
①:Braun-Duin,Brian ②:Burchett, Autumn ③:Carvalho, Márcio ④:Damo da Rosa, Paulo Vitor ⑤:Jůza, Martin

《運命の神、クローティス》は《漁る軟泥》の重ね引きによるデメリットを散らした上での《自然の怒りのタイタン、ウーロ》対策という点に加えて、除去呪文で流されない継続的なダメージ源としての採用になっています。ただ、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》はこれを乗り越えて脱出してくることもある点とダメージ源としては悠長なのがウィークポイントです。PV選手は《漁る軟泥》を4枚取っていることもありメインには取っていません。

《探索する獣》は単体で非常に強いクリーチャーなので、デッキパワーの底上げとして採用していると思います。《集合した中隊》とのアンシナジーが気になるところですが、PVは《集合した中隊》1枚しか取っていないあたり、安定性を重視しているのがここからも読み取れます。

Autumn Burchett 選手は土地の枚数も少なめにしているためか《探索する獣》も不採用となっており、より爆発力を重視した構成になっています。

注目は《アン一門の壊し屋》を採用している Martin Juza 選手で、《自然の怒りのタイタン、ウーロ》が場に出てしまったとしてもブロックさせないようする形で乗り越えるゲームプランを取っています。確かに毎回毎回《自然の怒りのタイタン、ウーロ》がすぐに脱出してくるわけではないですから、それに合わせるよりも盤面で押していくというのも納得できます。ここは好みもありそうです。

その他

《エンバレスの宝剣》ですが、概ね3枚採用されており、PV選手のみ4枚採用されています。単体で強いクリーチャーを採用しているため、より《エンバレスの宝剣》を活かすことが出来ることから4枚採用されているのではないかと思います。それに特にグルール同型にめっぽう強いカードでもあります。

スタンダードのグルールもそうですが《エンバレスの宝剣》を何枚採用するのかはデッキの一貫性も考慮して決める必要があり、なかなか難しいところです。

除去呪文に関しては全選手ともにメインボードには採用されていません。これはスゥルタイミッドレンジを倒すためのグルール選択ということもあり、そのためには除去は不要であるためとなっています。現在のメタゲームであれば除去はメインには取らないほうが良さそうです。《砕骨の巨人》があるというのも理由の一つでしょう。

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サイドボード

全選手共有して採用しているのは《削剥》のみです。アーティファクトも破壊できるという汎用性も魅力ですが、主に3点火力としてジャンドサクリファイスを想定しての採用です。ジャンドサクリファイスの《波乱の悪魔》と《忘れられた神々の僧侶》は必ず除去したいクリーチャーです。

その他《墓掘りの檻》は3選手が採用しています。これも主にジャンドサクリファイス、次点でゴブリンを意識したものですが、《墓掘りの檻》は自身でもフル採用している《集合した中隊》とアンシナジーなのが非常に気になります。PV選手のように《集合した中隊》を減らしているのであれば無理なく採用できますが、そうでないならば他のカードで対策を取ったほうが良いと私は思います。

他は選手によってバラバラです、主に《マグマのしぶき》《レッドキャップの乱闘》といった追加の除去。《運命の神、クローティス》や《漁る軟泥》といった墓地対策。コントロール相手の《反逆の先導者、チャンドラ》《ガラクの先触れ》《解き放たれた者、ガラク》あたりです。

BBD選手はサイドに《長老ガーガロス》を取っています。これもジャンドサクリファイスを見据えたものであると思いますが、土地の枚数が少なくサイド後は《波乱の悪魔》で簡単に除去される《ラノワールのエルフ》を抜くことが多いので、場に出せるのかが懸念するところです。

尚、スゥルタイミッドレンジ相手には主に《砕骨の巨人》全てと《ラノワールのエルフ》を数枚抜くと良いと思います。

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まとめ

グルールアグロは各選手で違いがあるようになかなか正解と言える構築が難しいです。今後グルールアグロの形が決まっていく可能性もありますが、それくらい振り幅があるとも言えますし、構築を検討する価値のあるデッキになっています。

ただし、何れの構築をするにしても一貫性を持たせることは重要で、実際に各選手ともにデッキの違いはあったとしても一貫性を持って構築されていることが伺えるものになっています。

どのような意図を持って採用されているのかを参考にしながら、ヒストリックにおけるグルールアグロのデッキ構築を検討する一助になれば幸いです。

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